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6.
しおりを挟む俺は村人に見送られながら村を出た。
相変わらず無一文に等しかったが、村人たちが食べ物を持たせてくれたので、明るい気持ちで歩くことができた。
そして村から半日ほど歩いて、隣街にたどり着く。
それなりに冒険者もいる中規模の都市だった。
「さて、冒険者ギルドは……」
俺は期待と不安を合わせ持ちながら、ギルドへと向かった。
ギルドの建物に入ると、受付のお姉さんがとびきりの営業スマイルで話しかけてきた。
「いらっしゃいませ。今日はどのようなご依頼を?」
「あ、いや依頼ではなくて、冒険者登録をしたいのですが」
「ああ、冒険者さんでしたか。失礼しました。今、書類を用意しますね」
「えっと、ちなみに登録には何か手続きがいるんですか? テストとか?」
「ええ、テストがあります。と言っても簡単なステータス検査だけです。一瞬で終わりますよ」
「では、よろしくお願いします」
そう言ってお姉さんは、さっそく俺の方に手のひらを向けた。
どうやら鑑定スキルの持ち主らしい。
「“ディテクト”」
お姉さんがそう呟くと、その手のひらがわずかに光った。
――――
「え、えぇぇ!!??」
お姉さんは、ひっくり返りそうな勢いで驚く。
「ど、どうかしましたか?」
「いや、だって攻撃力・耐久力共にが2000超え!? こんなことあるんですか!? 王都のAランク冒険者でもこんなに高くはないですよ!?」
「あ……え、そうなんですか?」
俺はお姉さんの興奮気味な口調に若干たじろぐ。
「もしかして、王都でご活躍されていたのですか? もう一生分稼いだからこの街で余生を送るとか?」
もちろんそんなわけがない。
「いや、それどころかほとんど無一文でして……。なのでできれば今日から働きたいのですが」
俺が言うと、お姉さんが書類を用意してくれる。俺はそこに名前などを入れていった。
「レイ様、ですね。これだけのステータスがあれば冒険者登録できます。うちで扱っている全てのランクのクエストを受けられますよ!」
「そうなんですね……じゃぁ、まぁ半日で探索できるダンジョンを紹介してくれますか?」
俺が聞くと、お姉さんは「それなら……」と、棚の中から書類を取り出した。
「レイ様の実力からいうと低いBランクですが、お一人でということなので決して簡単ではないと思います」
確かにBランクといえば、かなり難しいランクのダンジョンというイメージがあった。
「街から一キロほど行ったところにある未攻略ダンジョンです。まずは3階層までマッピングしていただければ、5万ゴルになります」
「わかりました。ぜひ行かせてください」
こうして、俺は早速ダンジョン攻略に向かうことになった。
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