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しおりを挟む「それでは、いつでもどうぞ」
試験官のクロノは、自然体で立ったままマルコムにそう告げた。
一見して戦う気がないかのように見えるかもしれないが、大きな間違いだ。
隙を探ろうとすればわかるが、いつ相手が飛びかかって来ても対応できるように構えている。
油断して雑に斬りかかって行けば、あっという間に返り討ちにあうだろう。
――それに対してマルコムは、
「うりゃぁぁ!!!」
剣を引き抜いて、勢いよく飛びかかっていく。
おお振りの一撃。剣を構えてすらいない相手には、それで十分だと思ったのか。
だが、それは大きな間違いだった。
クロノは剣を抜くことさえせず、わずかなステップだけで、マルコムの攻撃をかわす。
「なに!?」
そして、クロノはそのまま右手をマルコムの剣を持っている手に添える。
次の瞬間、マルコムの剣を握る手が力を失う。
――派手なスキルは何一つ使われていない。
ただ身体運動だけでマルコムを無力化して見せたのだ。
「なるほど、わかりました」
クロノはそう得心したと深くうなづいた。
「……クソ!」
だが、負けを認められないマルコムはそのまま逆の手でパンチを繰り出す。
それをクロノは、再び手を添えるだけでいなして見せる。
体の重心を奪われて、踏ん張りがきかなくなったマルコムはそのまま顔から地面に倒れ込んだ。
「ぐッ!!!」
完全に勝負ありだった。
――これが王都のAランク冒険者の実力。
超レアユニークスキル“神聖剣”のステータス強化を得ている男に、なんのスキルも使わずに勝ってしまう。
とんでもない強さだ。
と、クロノは倒れたマルコムに手を差し伸べる。
マルコムはクロノの手を取らずに自分で立ち上がった。
いかにも負けを認められないと言う感じだった。
「そうですね、悪くはないと思います。王立ギルドでもやっていくだけの実力はあるかと」
全く歯が立たなかったわりには、マルコムに対する評価は決して低くなかった。
この試験自体、元から勝つことを想定してはいないのだろう。
「それでは、評価はいかがなされますか?」
ギルド職員がクロノに聞く。
「そうですね、Cランクでいいでしょう」
「ぼ、ボクがCランクだと!?」
マルコムはその評価に対して噛み付く。
「Cランクでもまぁ王立ギルドで仕事ができると言うのは名誉なことですよ」
と職員がなだめる。
「――ッ!」
マルコムは自分の評価がそんなに低いわけがないとばかりに歯ぎしりする。
「それでは、次はどなたが?」
「――お願いします」
俺は早くこの男と戦いたいと思って志願した。
Aランク冒険者の実力の高さはよくわかった。
きっと俺歯が立たないだろう。
だが、だからこそ、この男の力がどれほどのものなのか自ら体験して見たかった。
「それではいざ――」
クロノと俺は少し距離をとって相対する――――
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ギルドとダンジョンの位置(感想さん宛て)
歩いて行ける一番近いダンジョン&ギルド、だったんじゃね?(弟は馬車で)
(追い出されたとはいえ国外追放だの何だのではないし)
(恥ずかしいから実家近くのダンジョンやギルドには入れないぜ!ではないのでしょう)
ゴミ強化の面白さで笑ったw
それこそ折れる直前まで刃こぼれした程度の剣でも、耐久が持つまでの使い捨て武器にしたり、筋力があるなら投擲武器として使えるからなぁ。
完全に折れたり壊れたりだと同じゴミでも使いどころが難しくなるけど、武器として使える程度に原型を留めていれば、数さえ揃えれば良いって事になるからねw
発想が良いので今後の展開に期待してます
【ゴミ強化】というスキルの着想は面白いし、凄いと感じた。【ゴミ強化(10倍)】を更に強化して【ゴミ強化(100倍)】になる部分も!
しかし、ツッコミ所が多い…先ず地理的に主人公は公爵家の都市から近くの村を経て隣街まで移動している筈なのに、主人公と弟が同じダンジョンに入ったり、同じ街の同じギルドで登録しているみたいに書かれている。変な感じ、間違っている感じがしました。