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宰相の息子?
しおりを挟む今日はジルと遊ぶ日。朝早くから王城に来ていた。遊ぶといってもジルが剣術や魔術を習っているのを見たり、中庭を探索したり、一緒に本を読んだりとか。うん、とてもじゃないけど子供の遊びじゃないよね。私もそう思う。
「やぁ、ナオ久しぶりだね。」
「いや、3日前ぐらい前にも会ったよねジルさんや。」
「3日も空いてるじゃないか。毎日でも会いたいぐらいなのにね。」
そんな同意を求められても…
「1週間に1回ぐらいでいいかな。」
立派な雄っぱ…ゴホンッガチムチなら毎日拝みたいけど。隣でのの字を書いてるジルは放っておいて侍女に王城内へ案内してもらう。
「あ、俺も行く。…そう言えばナオに紹介しておきたい人がいたんだった。」
「紹介したい人?」
その先の内容を催促した私にニッコリとした笑顔だけ残し進む。
会ってからのお楽しみってやつか。
そうして通された王城内の一室。頭の中で誰だろうと考えつつ目の前のドアを叩く。
大体の異世界系のゲームとか小説って宰相の息子で次期宰相候補とか騎士団長の息子…は私か。その辺りと仲良くなる時期なんじゃない?
「どうぞ。」
中からお許しが出たのでドアを開ける。そこにいたのは………知らない子。そりゃそうだよね、初対面だしね。通された一室で待っていたのは漆黒の髪に瞳を持った同年代くらいの男の子。まだ小さいのに整ったご尊顔をしている。この雰囲気は…もしや…
「ナオ、こっちは宰相の息子で次期宰相候補でもあるバルテルミー=ジェルマン。俺たちと同い年で中々の頭脳の持ち主だよ。ナオといい勝負してるんじゃないかな。」
はい、解釈一致~!絶対そうだと思った。ご尊顔でありつつも知的な雰囲気を隠しきれていない感じ。そして流れ的にそうだよね。
「初めましてジェルマン侯爵家が息子バルテルミー=ジェルマンです。以後お見知りおきを。」
「初めまして。騎士団長ロマン=デシャンが息子、ナオ=デシャンです。こちらこそよろしくお願いします。」
今は公式の場ではないし、表情をやや崩して挨拶を行う。そして、握手をお求められたから差し出された手を握るとそのまま口元へ持っていきチュッと可愛い音を鳴らす。
「…え」
「…はっ?」
「ふっ…」
思わず出た「え」と言う言葉。だって今の私は男なわけで、初対面で手の甲にキスをするのは女に対して男がダンスを申し込むときにするような挨拶の様なもの。それを男の私にするってどういうこと?って思うよね。
その後出たジルの聞いたことないほど低い声の「はっ?」は、私に向けてじゃないと思うけど怖かった。え、私に向けてじゃないよね?もしかしてこいつは俺の物なのに何誘惑してんだ的な?女の戦いならぬ男の戦い?
そして一番気になるのが、一番最後の鼻で笑うような声の後の本当に見下したような笑みをジルに向けて放つバル。
え、この二人仲悪いの?仲良くて私に紹介したわけじゃないの?
ちょっ、誰か説明プリーズ!
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