【完結】俺は遠慮します。

抹茶らて

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寮長の部屋

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そうして始まった夏休み。
始まったばかりと言うのに寮の食堂はもうガラガラで、いつもの騒がしさとは違った静けさが広がっている。

「あっ、栄人様だ!栄人様も残るのかな。」

「キャー!それだったら僕たちラッキーだよね!」

……うん、ところどころはいつも通りかな。遅く起きちゃったから、朝昼兼の食事を食堂で終える。

いつも騒がしい隣の奴がいないと、なんかちょっと寂しく思える気もする。が、気のせいだろう。

「お前も残ってたのか。」

食事をしていた席で呆けていると、ズシッとした重みとともに気だるげな声が聞こえてきた。

「まぁ…そういう寮長も残ってるんですね。」

「寮長だからな。」

え、そういうもん?本人は満足げにドヤってるのだから、それ以上はツッコめまい。

「そうっすか。じゃあ俺帰るんで離してくれません?」

「そうつれないこと言うなって。俺の部屋行こうぜ?」

「遠慮します。」

「遠慮はなしだ。」

遠慮はなしって本当に遠慮してるわけじゃないのに…ただ行きたくないだけだっつーの。でも、それを言ってしまっていいものなのか、悩ましい。

「……単純に行きたくないんすけど。」

口が滑ったーっ!どうしよう、でも出てしまったものは仕方ない。相手の反応を待つしかない。

「へぇ?俺の部屋に行きたくないと?」

ニヤリと口角を上げて笑顔でこちらを見る寮長の目は笑ってない。
怖ぇ、なにこの人いつもダルそうな感じなのにこんな目するとか聞いてない!ダラダラと冷や汗がさっきから止まらないが、少しづつ気づかれないように距離を取る。

「ま、拒否権なんて元からないから。」

ミリ単位で後退していた俺を有無も言わさず俵担ぎして、その場を後にする寮長。

いや、いやいやいやいや。俺176㎝あるんだけどそれを担ぐって寮長中々の曲者だ。やる気ないフリして本当は何でもできるタイプか!ギャップ萌えを狙っているのか!?
担がれている間、現実逃避をするが俺の意見は関係なく進んでいく現実に嫌でも引き戻される。

とういうか、俺が担がれてる姿を結構な生徒に見られたくない?俺にも羞恥ってやつあるんですけど知ってました?寮長。
チキンな俺は直接言えないから、心の中にとどめる。

するといきなりの浮遊感の後、ボフンと柔らかい衝撃とともに自分がベッドにいることを理解する。
え?真面目にヤバい感じ?俺のお尻ピンチな感じ?

「おーい、いい加減戻って来い。別に取って食いやしねぇよ。」

寮長のその言葉にホッとする。

「そこで安心されるのはなんかムカつくな。」

そう言い終わるな否や、チュっと軽いキスをされ、そのまま深くなっていく。

「っん、あぁんっ…」

舌先からビリビリと甘い痺れが全身を巡っていく感覚がする。それに伴って力も抜け、必死の抵抗が寮長の腕に縋りつく形になって、それに満足したのか寮長は満面の笑みで顔を離した。

「フッ、気持ちよすぎてもっと欲しくなるだろう?」

気だるげな妖しい色気全開でそう言われると頷きそうになるが、もうほとんどない理性をフル稼働して踏みとどまる。

いきなりのキスに息が上がるのと同時に、脳に酸素が行かず頭が回らないから言い返したいのに言葉が出てこない。代わりにジトっと睨んでおいた。

そんな俺の様子を見て、顔をクシャッとさせながら笑った寮長はサラッと





「可愛いなぁ。」






…………………えっ?










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