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賜りもの
しおりを挟む「栄人、栄人…栄人!!」
「…んん」
耳元で大声で自分の名前を呼ばれたから何事かと思ってカッと目を開ける。
眩しい光とともに見えてきたのはいつものメンバーの心配そうな顔。
あれ?俺、何して……あぁ突き落とされて気絶、っじゃなかった。寝てたんだ。
皆がいるってことは助けに来てくれたんだ。
「心配した。俺が付いていながらすまない…」
「栄人クン、ごめん。謝っても済むことじゃないけど本当にごめん。俺たちが何か対策取るべきだったのに…」
会長と会計が深刻そうな顔で謝って来るけど、お二人のせいじゃなくないか?突き落とされたのはあの生徒のせいであって二人には関係のないこと。まぁ多分自分たちと関わってるから妬まれて起きたことって思っての謝罪なんだろうけど…
「えっと…お二人のせいじゃないので謝罪は大丈夫ですよ?それよりあの、助けていただいてありがとうございます。」
いくら寝ていたとは言え、俺だってちょっとは怖かったんだ。だって見つからなかったらここで人生終わるのかとか思うだろ。
「…んで、なんでそんなに…」
「ほんと、お人好し…」
会計がなんでって言われるけど、本当に感謝しかないのだから仕方ない。あと、尊がボソッと何か言った気がしたけど、聞こえなかったんだよな。どうせ大したことでもないだろうし、まぁいっか。
「栄人君全身ケガだらけなんだよ…?もっと怒っていいのに…」
瑠季の言葉に自分の身体を見直すと手足に処置をした後があちこち見られる。木の枝とかで切ったんだろう。でも、先輩たちには怒ってないだけで、これでも大分怒ってるんだけどなぁ。主犯の子には特に。
「別に怒ってない訳じゃないよ?怒る対象が先輩たちじゃないだけで…ね?」
そう言って俺は笑った。
「ふっ、それでこそ栄人だ。主犯の生徒を含めた今回関わっているであろう生徒の拘束は終わっている。処罰は風紀からも考えているが、栄人の意見に委ねよう。」
そんな俺に何故か誇らし気な輝樹先輩から処罰の実権を賜った。ふふふ、さてなんも考えてなかってけど何にしよう?
「ありがとうございます。決定の期限はいつまでですか?」
「そうだなぁ、早い方がいいが一週間までなら待てるぞ。」
「分かりました。考えておきます。」
こうなったら非公式親衛隊とやらも一緒に葬りたいよな。
風紀委員長様から直々に許可を貰った権利をどう使うべきか…今から考えて内心ウキウキしている俺の周りは最後まで心配そうに俺を見ていた。痛々しそうって悠希先輩に言われたしなぁ。見た目ほど痛くもない。お風呂が沁みそうで怖いけど。
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