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第22話
しおりを挟むルードリヒ殿下の話はこうだ。
「エリザベート夫人とクロエ妃陛下とは共に、アレクセイ陛下の兄君で在らせられる故デイビッド殿下の婚約者候補であったと聞いております。
その時、デイビッド殿下はクロエ妃陛下を婚約者にと…そう強く願っていたと…。
しかし、エリザベート夫人はサーチェス公爵のお力添えもあって、デイビッド殿下の正式な婚約者になられたとか…。
その時から、エリザベート夫人はクロエ妃陛下に並々ならぬライバル意識と嫌悪を抱いていっしゃったと」
とまぁ、物凄く昔から私はエリザベート様に嫌われていたらしい。そんなの初耳だ。
なんなら、私はロッテン様が処女で無いことも、エリザベート様の『ざまぁ』の為に隠してきたつもりだったし、エリザベート様のような完璧淑女の代わりを務めなければならない自分を何度も鼓舞してきた。
それなのに…本人からはめちゃくちゃ嫌われていたなんて…何だか馬鹿らしくなる。
ルードリヒ殿下は続けて、
「ここではどのような悪口であったのか…は割愛させて頂きますが、クロエ妃陛下が自分の代わりにアレクセイ陛下の婚約者になったと聞いた時には、永遠に愛されぬ相手と結婚をするクロエ妃陛下を思うと笑いが止まらなかった…と仰っていたそうです。
しかし、蓋を開けてみれば、ラインハルト国王夫妻の仲睦まじさは、我が国でも噂される程。
それを聞いて益々クロエ妃陛下に憎悪を募らせていたように聞いております」
それを聞いて驚いたのは陛下だ。
「兄上がクロエを?そうだったのか…。確かに、中々兄上が婚約者を決めないと思ってはいたが…そうか…兄上はクロエを…」
と黙りこんでしまった。
その様子を見たルードリヒ殿下は慌てて、
「しかし、お2人は噂通り…本当に仲睦まじいのですね」
と笑顔を作った。
ヘリッジ公爵云々の件から、話が長くなりそうだからと、皆で腰を落ち着かせて話している。
そして、長椅子に2人して腰かけている陛下の手はずっと私の腰に回されている。
仲睦まじく見えるのも当然と言えば当然だ。
「そうだな。確かに私に至らぬ所が多々あったばかりに、クロエには迷惑をかける事も多かったように思うが。今はこうして仲良くしているよ」
と陛下は笑う。
…そんな事、わざわざ言う必要がないのでは?と思うが…。
ルードリヒ殿下は、
「僕もリンダと、お2人の様な夫婦になりたいと常々思っております。お2人は僕達の憧れなのです」
と目をキラキラさせた。
…口煩い王妃と尻に敷かれた国王に憧れるのもどうかと思うが。
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