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第4話
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レニー様に呼び出されたのは、その翌日のことだった。
「何の御用でしょうか?」
「アリシアが茶会を開きたいと言っている。手伝ってやってくれないか?」
「私は侯爵家の使用人ではございませんが?」
「別に茶器を用意したり、飾り付けをしろと言っているわけではない。彼女はお茶会を開いたことがないんだ。彼女の実家も……然程裕福ではなかったし、子爵位ということもあって、そんな豪華な茶会は開いたことがないらしい。だからアドバイスをしてやれと言っているんだ」
アリシア様が侯爵に嫁いで一年半以上経つと聞いているが、それなのに一度も茶会を開いたことがない?それに私は驚いた。
確かに『ハルコン侯爵の茶会に招待された』という話はここに嫁ぐ前もあまり聞いたことがない。
「アドバイス……。私に務まるとは思えませんが」
侯爵家には侯爵家なりの……それに見合ったお茶会があるというもの。私は実家も伯爵位だったから、ここでは難なくこなせただけだ。
「そんなことはないだろう。先日のお茶会は盛況だったと聞いている」
私が嫁いでから初めてのお茶会ということもあって気合いを入れたことは確かだ。招待した人数もかなりのものだったが、皆様からは満足したとの声が多く聞かれた。
「ですが……」
── バンッ!
レニー様が机を叩いた音に、私は思わずビクッと体を震わせた。
「四の五の言わずに手伝ってやればいいだろう!そもそもこの前のお茶会でアリシアを除け者にするような意地悪をするからだろ?本当に君はつ──」
「『冷たい女だ』ですか?別にレニー様にどう思われようと構いませんけれど、仕方ありません。お手伝いはいたしますが、それについてレニー様が色々と文句をおっしゃらないと約束してくださいませ」
「約束などと大袈裟な。茶会のノウハウなど僕は知らないんだから、口を挟むことはない。話は以上だ」
レニー様はそう言うと、手元にあった書類に視線を落とした。もう出て行けとの合図だろう。
私は大きくため息をついて、その場を後にした。
「何の御用でしょうか?」
「アリシアが茶会を開きたいと言っている。手伝ってやってくれないか?」
「私は侯爵家の使用人ではございませんが?」
「別に茶器を用意したり、飾り付けをしろと言っているわけではない。彼女はお茶会を開いたことがないんだ。彼女の実家も……然程裕福ではなかったし、子爵位ということもあって、そんな豪華な茶会は開いたことがないらしい。だからアドバイスをしてやれと言っているんだ」
アリシア様が侯爵に嫁いで一年半以上経つと聞いているが、それなのに一度も茶会を開いたことがない?それに私は驚いた。
確かに『ハルコン侯爵の茶会に招待された』という話はここに嫁ぐ前もあまり聞いたことがない。
「アドバイス……。私に務まるとは思えませんが」
侯爵家には侯爵家なりの……それに見合ったお茶会があるというもの。私は実家も伯爵位だったから、ここでは難なくこなせただけだ。
「そんなことはないだろう。先日のお茶会は盛況だったと聞いている」
私が嫁いでから初めてのお茶会ということもあって気合いを入れたことは確かだ。招待した人数もかなりのものだったが、皆様からは満足したとの声が多く聞かれた。
「ですが……」
── バンッ!
レニー様が机を叩いた音に、私は思わずビクッと体を震わせた。
「四の五の言わずに手伝ってやればいいだろう!そもそもこの前のお茶会でアリシアを除け者にするような意地悪をするからだろ?本当に君はつ──」
「『冷たい女だ』ですか?別にレニー様にどう思われようと構いませんけれど、仕方ありません。お手伝いはいたしますが、それについてレニー様が色々と文句をおっしゃらないと約束してくださいませ」
「約束などと大袈裟な。茶会のノウハウなど僕は知らないんだから、口を挟むことはない。話は以上だ」
レニー様はそう言うと、手元にあった書類に視線を落とした。もう出て行けとの合図だろう。
私は大きくため息をついて、その場を後にした。
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