58 / 77
52.〇〇科特化型竜人一族(竜帝様視点)
しおりを挟む
「さぁ、兄上、あいつらを血祭りに上げてやる!!」
怒り狂ったバーサーカと化したヴィクトールがそう言った時、俺のテンションは割と低かった。その理由は別にこれからしなければいけないことのせいとかではない。
「兄上、どうした??」
「分身とはいえ朕以外が可愛いルーエリンを抱くのが辛い。でも抱かないとルーエリンの栄養が取れないからちゃんと補給のためにしないといけないけど辛い」
思わず辛すぎて本音が漏れたら、珍しくヴィクトールが俺に対して目が怖い顔をしている。
「兄上、今、割と国のピンチなのはわかっているよな??」
「知っている。もちろん国を救うために、実際、朕は分身を送ったんだ。でも辛い。ルーエリンのことを考えるととてもとても辛い」
「俺が言うのもなんだが、番に対してやはり竜人は狂うんだな。あの帝国の叡智と称えられた兄上でさぇこのありさまとは……」
物凄い多くなため息をつかれたが、敵は待ってはくれない。
帝国の王都まで敵が攻めてきたわけではないが、国境線付近に隣国が侵攻を行っている状態だ。本来なら辺境伯のヴィクトールが居るが色々あって王都にいる間に攻撃を仕掛けてきたようだ。
しかし、それに関して勿論問題はない。
ヴィクトールが居ればより良いが、辺境領は勿論隣国との争いがあるのでそれを制するために腕自慢の忠臣や精鋭がいる。
とりあえず、瞬間移動で国境線の砦に行くと、そこに難しい顔をしているヴィクトールの側近で副官であるカオロが何やら考えているようだった。
カオロは艶のある黒髪を後ろに1本に束ねた長髪で、眼鏡をかけていて赤い瞳の男である。
精悍というよりは知的な雰囲気のある彼を俺は物静かな男だと思っている。決して悪い男ではないがガーデニングが趣味なのかいつも少し土臭いような独特なにおいが彼からはする。
「カオロ、今の状況はどんな感じだ??」
「はい、とりあえず今進軍しているのはネコ科と蛇のものがほとんどです。彼等はガスマスクをしてマタタビ除けをしている模様です」
(……ガトーが色々やらかしたので警戒されているようだな)
しかし、その言葉に俺は違和感を感じた。隣国は獣人の国。ネコ科以外にも数多の獣人が居る。戦場となれば、ネコ科以外にイヌ科なんかがいてもおかしくないと思うのだが……。
そう疑問に思っているとヴィクトールがカオロを労うように肩を叩いた。
「カオロのイヌマン体質が役に立ったみたいだな」
「イヌマン体質??」
疑問に思って問いかけるとカオロは無表情のままこう答えた。
「私はイヌ科を骨抜きにするフェロモンがでます。それがイヌマン体質と言われる所以でございます。これに関しては我が一族あるあるなのでなんともですが……」
その言葉に、脳内に今現在、多分全裸で準備しているアホのマタタビ竜人の姿が浮かんだ。カオロはあいつと違いとても真面目に見えるが、一度気になると知識欲求に抗えなかった。
「その、カオロの身内にガトーという男はいるか??」
「はい。陛下の側近ですよね??ガトー兄さんは私の従兄弟でございます。竜帝陛下の側近になるほど優秀な方でいつか私もあのようになりたいと尊敬しております」
思わずチベットスナギツネのような顔をしてしまった。全裸でネコ科のところに飛び込んだり、番のパンツと貴重な人質を交換したり、アレを尊敬していると曇りなき眼でいわれるとカオロは全く悪くないのに複雑な気持ちだ。
「そうか……」
「カオロ、あの変態マタタビ竜人のようにはなるなんていうなよ。確かに実力はみとめるけど変態だし……」
ヴィクトールが思わずそう口にした瞬間、今まで冷静で静かな印象だったカオロの表情が変わる。それは恐ろしいほどの憤怒だった。
「辺境伯様とはいえ、ガトー兄さんを馬鹿にするヤツは許せない。兄さんは確かに変態っぽいところはありますが偉大な方です。我が一族の誇りです。それを侮辱はさせません」
「いや、あの、あいつは……」
「ガトー兄さんはすばらしい方です、ネコ科を従えて微笑む姿、まさに我らが誇り……」
その後も、狂ったような恍惚の表情でガトーを称えるカオロが居て、その狂信者っぽさに割と引いたけれどとりあえず今は国を救うのが先決なので一旦スルーすることにした。
怒り狂ったバーサーカと化したヴィクトールがそう言った時、俺のテンションは割と低かった。その理由は別にこれからしなければいけないことのせいとかではない。
「兄上、どうした??」
「分身とはいえ朕以外が可愛いルーエリンを抱くのが辛い。でも抱かないとルーエリンの栄養が取れないからちゃんと補給のためにしないといけないけど辛い」
思わず辛すぎて本音が漏れたら、珍しくヴィクトールが俺に対して目が怖い顔をしている。
「兄上、今、割と国のピンチなのはわかっているよな??」
「知っている。もちろん国を救うために、実際、朕は分身を送ったんだ。でも辛い。ルーエリンのことを考えるととてもとても辛い」
「俺が言うのもなんだが、番に対してやはり竜人は狂うんだな。あの帝国の叡智と称えられた兄上でさぇこのありさまとは……」
物凄い多くなため息をつかれたが、敵は待ってはくれない。
帝国の王都まで敵が攻めてきたわけではないが、国境線付近に隣国が侵攻を行っている状態だ。本来なら辺境伯のヴィクトールが居るが色々あって王都にいる間に攻撃を仕掛けてきたようだ。
しかし、それに関して勿論問題はない。
ヴィクトールが居ればより良いが、辺境領は勿論隣国との争いがあるのでそれを制するために腕自慢の忠臣や精鋭がいる。
とりあえず、瞬間移動で国境線の砦に行くと、そこに難しい顔をしているヴィクトールの側近で副官であるカオロが何やら考えているようだった。
カオロは艶のある黒髪を後ろに1本に束ねた長髪で、眼鏡をかけていて赤い瞳の男である。
精悍というよりは知的な雰囲気のある彼を俺は物静かな男だと思っている。決して悪い男ではないがガーデニングが趣味なのかいつも少し土臭いような独特なにおいが彼からはする。
「カオロ、今の状況はどんな感じだ??」
「はい、とりあえず今進軍しているのはネコ科と蛇のものがほとんどです。彼等はガスマスクをしてマタタビ除けをしている模様です」
(……ガトーが色々やらかしたので警戒されているようだな)
しかし、その言葉に俺は違和感を感じた。隣国は獣人の国。ネコ科以外にも数多の獣人が居る。戦場となれば、ネコ科以外にイヌ科なんかがいてもおかしくないと思うのだが……。
そう疑問に思っているとヴィクトールがカオロを労うように肩を叩いた。
「カオロのイヌマン体質が役に立ったみたいだな」
「イヌマン体質??」
疑問に思って問いかけるとカオロは無表情のままこう答えた。
「私はイヌ科を骨抜きにするフェロモンがでます。それがイヌマン体質と言われる所以でございます。これに関しては我が一族あるあるなのでなんともですが……」
その言葉に、脳内に今現在、多分全裸で準備しているアホのマタタビ竜人の姿が浮かんだ。カオロはあいつと違いとても真面目に見えるが、一度気になると知識欲求に抗えなかった。
「その、カオロの身内にガトーという男はいるか??」
「はい。陛下の側近ですよね??ガトー兄さんは私の従兄弟でございます。竜帝陛下の側近になるほど優秀な方でいつか私もあのようになりたいと尊敬しております」
思わずチベットスナギツネのような顔をしてしまった。全裸でネコ科のところに飛び込んだり、番のパンツと貴重な人質を交換したり、アレを尊敬していると曇りなき眼でいわれるとカオロは全く悪くないのに複雑な気持ちだ。
「そうか……」
「カオロ、あの変態マタタビ竜人のようにはなるなんていうなよ。確かに実力はみとめるけど変態だし……」
ヴィクトールが思わずそう口にした瞬間、今まで冷静で静かな印象だったカオロの表情が変わる。それは恐ろしいほどの憤怒だった。
「辺境伯様とはいえ、ガトー兄さんを馬鹿にするヤツは許せない。兄さんは確かに変態っぽいところはありますが偉大な方です。我が一族の誇りです。それを侮辱はさせません」
「いや、あの、あいつは……」
「ガトー兄さんはすばらしい方です、ネコ科を従えて微笑む姿、まさに我らが誇り……」
その後も、狂ったような恍惚の表情でガトーを称えるカオロが居て、その狂信者っぽさに割と引いたけれどとりあえず今は国を救うのが先決なので一旦スルーすることにした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
406
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる