2 / 65
第2話 目が覚めたらドアマット系主人公でした
しおりを挟む
「はっ!?ここは……」
周りを見渡してありえない光景に驚いていた。
少ない語彙力で頑張って説明するならば、そこはヨーロッパの王侯貴族の寝室のような場所だった。
天蓋のついたベッドの上で、見上げた天井には絢爛豪華な西洋画が描かれていた。
どう考えてもただの会社員がなんの記憶もなく居て良い場所ではなかった。
「ここは、確か……」
子供を庇って大型トラックに轢かれたはずだ。実際に体を動かして気づいたのだが、脇腹付近に鈍痛がしている。
少し怖いと思ったが、その場所を確認して驚いた。
体中、正確には服で見えない場所があざだらけだったのだ。
(大型トラックに轢かれたんだから当たり前か、むしろ骨折とかはしてないみたいだし、良かった方だよね)
子供を庇った瞬間を思い返しながら身震いした。あの状況では助からない方が普通だろうに、全身打撲程度ですんだなら上出来だ。
そこまで考えて、仕事が途中だったことを思い出したがこの状況ならば、上司かあの同期が仕事を引き継いだに違いない。
(……性格悪いかもしれないけどちょっとスッキリしたな)
わずかなスッキリと引き換えにするには代償が大きいが、過ぎたことは仕方ない。
体を労りながらゆっくりと起き上がると大きな姿見があることに気づいた。
「そう言えば顔に怪我とかしたかな??」
触れた感じは傷はないようだったが不安だったので、姿見の前に立って違和感に気づいた。
「えっ??嘘だろう!?」
そこには、いつもの見慣れた顔ではない、絶世の美少年が居た。
まるで、ベニスに死すのタッジオみたいな、儚げで怪しげな色香のあるその顔に思わず見惚れた。
輝くような黄金の髪は美しいウェーブを描いていて、瞳は極上のサファイアのような青で吸い込まれてしまいそうだ。さらに完璧な顔に泣きぼくろがあることでセクシーさもあり鏡の前で何時間も座っていられそうだった。
(こんな美少年が僕なんて、ありえないから夢かな……)
思考を巡らせながら思い出したのが、社畜生活で家に帰れないことで購読が止まってしまった愛読書だった。
僕はBLを嗜む腐男子で、特にお気に入りだったのが海外作品の『絶望はあなたのために』
という作品だった。
それは、男しかいない世界の話で、主人公はたしかフェリックスという名前の帝国の第2皇子だった。
しかし、母にあたる人物の身分が低い貴族だったために、皇后から嫌われていて陰湿ないじめを受けていた。
「そうそう、見えるところを傷つけたら皇帝陛下にバレるからって、何か小さな失敗をする度に見えない場所を叩かれて……」
そこまで考えた時、まさに自分の状況と一致している事実に気づいた。
「まさか、よりによって……この世界!?しかもフェリックス!?」
夢とはいえ、フェリックスになるなんて最低だった。
フェリックスは世に言うドアマットタイプの主人公だった。
つまり、不幸なのだ。
帝国で散々いじめ抜かれるが、和平を結んだ隣国の国王に政略で嫁ぐことになり、政略とはいえやっと穏やかな生活を手に入れたと思ったが待っていたのは初夜に、
『お前を愛するつもりはない』
と言われてしまい拒絶されて、そこから、『国王に愛されない王妃』として冷遇されフェリックスは徐々に心を蝕んでいき復讐を誓うという、僕が知る限り全く救いのない主人公だった。
さらに、悲しいのが社畜のせいで最終巻が先日発売されたが、読めないままに玄関に置いたままである。
つまり結末まで知らない状況なのだ。
「まぁ、夢だしなんとかなるだろう……」
まだ、この時の僕はそれを夢だと思っていた。
しかし、それが夢ではなく現実だと知ることになってしまうのだった。
周りを見渡してありえない光景に驚いていた。
少ない語彙力で頑張って説明するならば、そこはヨーロッパの王侯貴族の寝室のような場所だった。
天蓋のついたベッドの上で、見上げた天井には絢爛豪華な西洋画が描かれていた。
どう考えてもただの会社員がなんの記憶もなく居て良い場所ではなかった。
「ここは、確か……」
子供を庇って大型トラックに轢かれたはずだ。実際に体を動かして気づいたのだが、脇腹付近に鈍痛がしている。
少し怖いと思ったが、その場所を確認して驚いた。
体中、正確には服で見えない場所があざだらけだったのだ。
(大型トラックに轢かれたんだから当たり前か、むしろ骨折とかはしてないみたいだし、良かった方だよね)
子供を庇った瞬間を思い返しながら身震いした。あの状況では助からない方が普通だろうに、全身打撲程度ですんだなら上出来だ。
そこまで考えて、仕事が途中だったことを思い出したがこの状況ならば、上司かあの同期が仕事を引き継いだに違いない。
(……性格悪いかもしれないけどちょっとスッキリしたな)
わずかなスッキリと引き換えにするには代償が大きいが、過ぎたことは仕方ない。
体を労りながらゆっくりと起き上がると大きな姿見があることに気づいた。
「そう言えば顔に怪我とかしたかな??」
触れた感じは傷はないようだったが不安だったので、姿見の前に立って違和感に気づいた。
「えっ??嘘だろう!?」
そこには、いつもの見慣れた顔ではない、絶世の美少年が居た。
まるで、ベニスに死すのタッジオみたいな、儚げで怪しげな色香のあるその顔に思わず見惚れた。
輝くような黄金の髪は美しいウェーブを描いていて、瞳は極上のサファイアのような青で吸い込まれてしまいそうだ。さらに完璧な顔に泣きぼくろがあることでセクシーさもあり鏡の前で何時間も座っていられそうだった。
(こんな美少年が僕なんて、ありえないから夢かな……)
思考を巡らせながら思い出したのが、社畜生活で家に帰れないことで購読が止まってしまった愛読書だった。
僕はBLを嗜む腐男子で、特にお気に入りだったのが海外作品の『絶望はあなたのために』
という作品だった。
それは、男しかいない世界の話で、主人公はたしかフェリックスという名前の帝国の第2皇子だった。
しかし、母にあたる人物の身分が低い貴族だったために、皇后から嫌われていて陰湿ないじめを受けていた。
「そうそう、見えるところを傷つけたら皇帝陛下にバレるからって、何か小さな失敗をする度に見えない場所を叩かれて……」
そこまで考えた時、まさに自分の状況と一致している事実に気づいた。
「まさか、よりによって……この世界!?しかもフェリックス!?」
夢とはいえ、フェリックスになるなんて最低だった。
フェリックスは世に言うドアマットタイプの主人公だった。
つまり、不幸なのだ。
帝国で散々いじめ抜かれるが、和平を結んだ隣国の国王に政略で嫁ぐことになり、政略とはいえやっと穏やかな生活を手に入れたと思ったが待っていたのは初夜に、
『お前を愛するつもりはない』
と言われてしまい拒絶されて、そこから、『国王に愛されない王妃』として冷遇されフェリックスは徐々に心を蝕んでいき復讐を誓うという、僕が知る限り全く救いのない主人公だった。
さらに、悲しいのが社畜のせいで最終巻が先日発売されたが、読めないままに玄関に置いたままである。
つまり結末まで知らない状況なのだ。
「まぁ、夢だしなんとかなるだろう……」
まだ、この時の僕はそれを夢だと思っていた。
しかし、それが夢ではなく現実だと知ることになってしまうのだった。
1,296
あなたにおすすめの小説
婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました
多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。
ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。
ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。
攻め
ユキ(23)
会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。
受け
ケイ(18)
高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。
pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中
遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。
月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」
幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。
「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」
何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。
「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」
そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。
僕、殿下に嫌われちゃったの?
実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。
志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。
美形×平凡。
乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。
崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。
転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。
そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。
え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された
あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると…
「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」
気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
初めましてです。お手柔らかにお願いします。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しております
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる