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第32話 話し合いに行きたい僕と行かせたくないエリアス
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あれから、目まぐるしい速度で日々が過ぎていき、いよいよ帝国との話し合いの日となった。
ディアスの方の準備も整ったとのことで、安心しているが、それ以上の問題があった。
話し合いが行われるのは帝国と王国の国境にある場所で停戦地帯とされている街だった。
普通に馬車で移動した場合、王都から2、3日かかるが、竜神の血筋には不思議な力がありワープみたいに一瞬で移動できてしまうらしい。
しかし、ここ数日、帝国との話し合いへの僕の参加の有無でエリアスと揉めていた。
ディアスの言葉もあり、エリアスが心配してくれているのはわかっている。
「ダメです。帝国側の狙いがダーリンの可能性がある以上、そんな危険なところに連れて行くなんてできません」
しかし、僕はこの件について皇帝陛下と話をしたかった。
翻訳版の話だが、皇帝陛下は本当に亡くなった僕の母を愛しており、僕のことも大切に思っているはずだ。
だから、異国に嫁いだ僕への心配から、今回の事態が起こったのだと考えている。
それは全て僕が隣国で不幸になっていると思ってのことのはずなので、直接、皇帝陛下に会って幸せであることを伝えれば帝国側の厄介ごとは解決すると思っている。
なので、少し嫌だが上目遣いを作りエリアスを見つめた。
「エリアス……行きたいです」
「可愛いですが、ダメです」
エリアスに笑顔ですげなく断られてしまった。
「ダーリン、本当に危険なんです。ダーリンに何かあれば私は自分を抑えられる自信がありません。間違いなく帝国は氷漬けになりますね。ですので、巣、もといふたりの部屋で大人しく待っていてください」
僕の額に優しくキスを落としながら、エリアスは言った。これ以上、ごねても変わらないことを理解する。
「……わかりました」
渋々、そう答えたが、エリアスは優しく微笑んだ。
「ダーリン、寂しいと思いますが話し合いが終わり次第、すぐに戻ります。マルクス、その間、しっかりダーリンを守るように」
「御意」
マルクスが誇らしげな表情を隠さずに跪いた。
それから、すぐにエリアスは話し合いにディアス、右大臣と行ってしまった。
重鎮がほとんどいないからか、いつもより王宮は静かだと感じたが、マルクスをはじめとしてたくさんの護衛が僕にはついていた。
この状況では、皇帝陛下に会いにいくことは難しいだろうと考えてまた別の機会に会おうと考えて、仕方なくマルクスらを引き連れて図書室で本を読むことにした。
王宮には、王国中の本が集まる図書室があるのだが、その中の恋愛小説、つまりBL小説を読むのが密かな楽しみになっていた。
特に、お気に入りの後悔系の話を読みたくていつものように書棚を漁っていた時、奇妙な違和感に気付いた。
ひどく視界がグラグラするのだ。
連日連夜エリアスに求められていたので疲労が溜まっていたのかとも思ったが、大運動会のような抱かれ方の割に初夜以降はあまり違和感も疲労もないという不思議な状況だった。
「この感覚は一体……」
体調不良なのかもしれないと思い、具合が悪いことをマルクスに告げようとしたその瞬間……、視界がグニャりと歪み黒い手のようなものが現れた。
「な、なに?」
驚いて逃げようとしたが、それは僕の足を掴みどころかへ連れ去ろうとした。
「番い様!!」
僕を救おうとマルクスが走ってきたが間に合わず、その手により僕は謎空間に引き込まれてしまった。
謎空間に引き込まれる寸前、どこか聞き覚えのある声が、
『お前さえ、いなければ』
と怨嗟の言葉をつぶやいた気がした。
ディアスの方の準備も整ったとのことで、安心しているが、それ以上の問題があった。
話し合いが行われるのは帝国と王国の国境にある場所で停戦地帯とされている街だった。
普通に馬車で移動した場合、王都から2、3日かかるが、竜神の血筋には不思議な力がありワープみたいに一瞬で移動できてしまうらしい。
しかし、ここ数日、帝国との話し合いへの僕の参加の有無でエリアスと揉めていた。
ディアスの言葉もあり、エリアスが心配してくれているのはわかっている。
「ダメです。帝国側の狙いがダーリンの可能性がある以上、そんな危険なところに連れて行くなんてできません」
しかし、僕はこの件について皇帝陛下と話をしたかった。
翻訳版の話だが、皇帝陛下は本当に亡くなった僕の母を愛しており、僕のことも大切に思っているはずだ。
だから、異国に嫁いだ僕への心配から、今回の事態が起こったのだと考えている。
それは全て僕が隣国で不幸になっていると思ってのことのはずなので、直接、皇帝陛下に会って幸せであることを伝えれば帝国側の厄介ごとは解決すると思っている。
なので、少し嫌だが上目遣いを作りエリアスを見つめた。
「エリアス……行きたいです」
「可愛いですが、ダメです」
エリアスに笑顔ですげなく断られてしまった。
「ダーリン、本当に危険なんです。ダーリンに何かあれば私は自分を抑えられる自信がありません。間違いなく帝国は氷漬けになりますね。ですので、巣、もといふたりの部屋で大人しく待っていてください」
僕の額に優しくキスを落としながら、エリアスは言った。これ以上、ごねても変わらないことを理解する。
「……わかりました」
渋々、そう答えたが、エリアスは優しく微笑んだ。
「ダーリン、寂しいと思いますが話し合いが終わり次第、すぐに戻ります。マルクス、その間、しっかりダーリンを守るように」
「御意」
マルクスが誇らしげな表情を隠さずに跪いた。
それから、すぐにエリアスは話し合いにディアス、右大臣と行ってしまった。
重鎮がほとんどいないからか、いつもより王宮は静かだと感じたが、マルクスをはじめとしてたくさんの護衛が僕にはついていた。
この状況では、皇帝陛下に会いにいくことは難しいだろうと考えてまた別の機会に会おうと考えて、仕方なくマルクスらを引き連れて図書室で本を読むことにした。
王宮には、王国中の本が集まる図書室があるのだが、その中の恋愛小説、つまりBL小説を読むのが密かな楽しみになっていた。
特に、お気に入りの後悔系の話を読みたくていつものように書棚を漁っていた時、奇妙な違和感に気付いた。
ひどく視界がグラグラするのだ。
連日連夜エリアスに求められていたので疲労が溜まっていたのかとも思ったが、大運動会のような抱かれ方の割に初夜以降はあまり違和感も疲労もないという不思議な状況だった。
「この感覚は一体……」
体調不良なのかもしれないと思い、具合が悪いことをマルクスに告げようとしたその瞬間……、視界がグニャりと歪み黒い手のようなものが現れた。
「な、なに?」
驚いて逃げようとしたが、それは僕の足を掴みどころかへ連れ去ろうとした。
「番い様!!」
僕を救おうとマルクスが走ってきたが間に合わず、その手により僕は謎空間に引き込まれてしまった。
謎空間に引き込まれる寸前、どこか聞き覚えのある声が、
『お前さえ、いなければ』
と怨嗟の言葉をつぶやいた気がした。
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