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第55話 帝国との話し合い03
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翌日の話し合いは、帝国での用事により大公殿下が居ない以外は昨日と同じ形で話し合いが続くと思われたが、その雰囲気は昨日はずっと黙っていた皇后により打ち破られた。
「昨日は、お出し出来ていなかったが大公夫人暗殺事件には不可解な点があります。現場に鱗があったため、関与が疑われている王国の竜神の血筋を持つ人物、しかし、はたして本当にそんな人物は居たのでしょうか」
「それは、どう言うことですか?現場に鱗があった、それだけで隣国の人間の関与は疑われます!!」
皇后の言葉はこの会議の根底を揺るがしかねないものだったので、宰相が焦るのは無理もないがなぜ、あの人がそんな発言をしたのか不思議だった。
フェリックスから見た皇后は完璧で冷徹な存在だった。
そして、基本的には平等だが子爵令息の子であるフェリックスには冷徹さだけが目立つ人物で、少なくとも今まで一度も彼が有利になる発言などしたことはない。翻訳版でもそこは徹底しておりブレはないはずだ。
「しかし、発見された大公夫人の指先には血はついていなかった。そうだな、第一発見者」
そう言われて少し怯えたような男が前に出た。彼はほのかに薬の香りがして医療従事者に間違いないだろう。
「はい、大公夫人が刺された後、すぐに応急手当てをしましたが、その指先に鱗を剥がして出来たような爪の中にまで入り込むような血の跡はありませんでした」
「つまり、鱗をその場で無理やり引っぺがした訳ではないということだ。これについては他の病院関係者からも確認が取れた」
皇后の言葉に場にいる人間は全て驚いていた。
宰相は、味方に後ろから刺されたような顔をし、皇帝はなぜ皇后がという純粋に驚いた顔をしていた。
(……なぜ、帝国が握り潰した証拠の話をしてくれるんだろう……)
「しかし、それだけでは完璧な証拠とは言えません、鱗は現場にありましたし、その検査結果は……」
「鱗の検査結果は生体反応がないだったな」
突然、そう口を開いたのは皇帝だった。
「陛下、なぜ、それをおっしゃるのです?握り潰すと話を……」
あまりのことに宰相は思わず口を滑らした。宰相も気付いたのか黙り込むがその顔は青を通り越して白い。
「もはや、隠すだけ無駄だろう。大公夫人の暗殺現場に鱗が落ちていたのは間違いない。しかし……、それが王国側の人間に罪を着せるための陰謀である可能性がかなり高い」
きっぱりと言いきった皇帝に僕はずっと驚いていた。彼はエリックのために嘘を突き通すはずだと思っていたからだ。
「ならば、我々はこの話し合いには不用だな。しかし、我が王妃を薄い根拠で疑ったことは正式に抗議させていただく」
「昨日は、お出し出来ていなかったが大公夫人暗殺事件には不可解な点があります。現場に鱗があったため、関与が疑われている王国の竜神の血筋を持つ人物、しかし、はたして本当にそんな人物は居たのでしょうか」
「それは、どう言うことですか?現場に鱗があった、それだけで隣国の人間の関与は疑われます!!」
皇后の言葉はこの会議の根底を揺るがしかねないものだったので、宰相が焦るのは無理もないがなぜ、あの人がそんな発言をしたのか不思議だった。
フェリックスから見た皇后は完璧で冷徹な存在だった。
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「つまり、鱗をその場で無理やり引っぺがした訳ではないということだ。これについては他の病院関係者からも確認が取れた」
皇后の言葉に場にいる人間は全て驚いていた。
宰相は、味方に後ろから刺されたような顔をし、皇帝はなぜ皇后がという純粋に驚いた顔をしていた。
(……なぜ、帝国が握り潰した証拠の話をしてくれるんだろう……)
「しかし、それだけでは完璧な証拠とは言えません、鱗は現場にありましたし、その検査結果は……」
「鱗の検査結果は生体反応がないだったな」
突然、そう口を開いたのは皇帝だった。
「陛下、なぜ、それをおっしゃるのです?握り潰すと話を……」
あまりのことに宰相は思わず口を滑らした。宰相も気付いたのか黙り込むがその顔は青を通り越して白い。
「もはや、隠すだけ無駄だろう。大公夫人の暗殺現場に鱗が落ちていたのは間違いない。しかし……、それが王国側の人間に罪を着せるための陰謀である可能性がかなり高い」
きっぱりと言いきった皇帝に僕はずっと驚いていた。彼はエリックのために嘘を突き通すはずだと思っていたからだ。
「ならば、我々はこの話し合いには不用だな。しかし、我が王妃を薄い根拠で疑ったことは正式に抗議させていただく」
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