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20.社畜サラリーマンは知らないうちに信仰される(セシル視点)※新キャラです
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「なぁ、竜帝陛下のペット様、めちゃくちゃ美人だよな」
「美人??」
ムッとして僕は同僚の近衛兵を睨みつけた。
「えっ、あ、お前、リュカ殿下派だっけ??」
気まずそうに聞いた同僚の胸ぐらを掴んで叫ぶ。
「違う!!ペット様は美人などではない、あのお方は天女だ!!異界から降臨された神の化身、女神のような尊きお方なのだ!!そのように軽率な言葉にするなんて汚らわしい!!」
「ああ、悪かった、悪かったよ。そうだった、お前そもそも竜帝陛下過激派、元番い様派閥だもんな、失言だったよ」
そう謝られたので、仕方なく僕は同僚から手を離す。その勢いで尻餅をついたようだが気にしはしない。
「……そうだ。だから間違えても僕の前でペット様を軽視する発言も悪辣殿下派閥などと言う胸糞悪い話もするな」
地面に尻をついたまま何か言いたげにこちらを見ている同僚を無視して、竜帝陛下のDアカウントを見る。
5秒前に新しく通知があったので、すぐに開いたのだが、今日も見目麗しいペット様が、竜帝陛下の超絶技巧なカメラセンスにより映し出されていた。
あまりの神々しいさに僕は涙を流す。
「ペット様、くはっ、なんて尊いのだ」
あまりの神々しいさに僕はその場で五体投地をした。
その様を立ち上がった同僚がチベットスナギツネみたいな顔で見ているが気にしない。
ペット様は間違いなく尊い方だ。我が一族は「真実の目」を持つ竜人の一族なので人を見極めることに秀でている。
そんな優れた一族から愚鈍でみる目のない従兄弟のアヴェルを排出したのは汚点でしかない。
悪辣殿下のようなただ見目の良いだけの暗君に仕え続け、番い様を死に追いやるなど万死に値する行いをしたので今は没交渉だ。
(クソっ、あの惨劇は我が身において生涯の不覚だ)
ズキリと失った半身の痛みが久々に蘇ってきた。
僕には学生時代、誰よりもお慕いしていたお方がいた。
ルゼル・ハトホル・アナン小公爵。誰よりも気高い黄金の髪を持つ神のような貴公子。
あのお方を一目見た瞬間から僕はずっとあの方をお慕いし、僭越ながらお側についていた。
誰よりも気高いお方がいくら母親のわからない私生児だったとはいえ、義弟のアナイス様を殺そうなど考えるはずがなかった。
だから、僕は、僕と同じ志を持つ同胞で最愛の番いターナーと最後まであの事件は事故だと主張したが、悪辣殿下は聞く耳を持たず、愚鈍な従兄弟のアヴェルに恥を忍んで頼みこんだが、願いは届かずあの方は殺された。
しかも、あの高貴な魂を悪趣味にも砕かれたのだ。
あまりの絶望にしばらく僕は後を追うことばかり考えたが、ターナーがそれだけはやめるように僕を諌めた。
そして……、
「セシル、君はあの邪悪な殿下と君の従兄弟を見張るためにココに残れ。僕はあの方をお守りすべく魂を引き裂く」
あの日のターナーの決意と言葉を僕は忘れたことはない。
『魂を引き裂く』ということは、この世界ではもっとも禁忌とされる。
何故なら魂とはコアであり、そのコアを引き裂いたり、壊したりされたら散り散りに散った魂が融合しなおす事は難しくなり、この世界に生まれるための魂量に足りなくなる。
結果、この高次の世界に魂が生まれ変われず地獄のような下等世界に魂の破片が融合しなおすその日まで根付き続けることになる。
下等世界に散った魂の融合には1000万年近い歳月が掛かるとされて例外を除きもっとも寿命が長い竜人ですらそこまでの寿命がないので、魂を壊されたり、引き裂かれたものは実質この世界から消滅した扱いとなる。
つまり、ターナーも自らの魂を引き裂いて下等世界にあの方を追って堕ちたのだ。
もっとも尊敬するお方と同胞いや僕の番いを失い、激しい絶望感と喪失感に苛まれたが、僕はひとりでも彼奴等と戦った。
そんな最中、外交先から急ぎ戻られた竜帝陛下が悪辣殿下の愚行を裁かれた。
小公爵様、いや番い様は罪を犯していなかった事実は白日の元に晒されたが魂を壊されたため2度と竜帝陛下は番い様に出会うことができなくなってしまった。
竜帝陛下と図らずしも同じ境遇となった僕は、あのお方の意思と番いの志を引き継ぐべく今も竜帝陛下に仕えている。
(あれから5千年……僕の心を占めて居たのは義務感で穏やかさなどは味わってこなかった、けれど……)
ペット様のお姿をはじめて、竜帝陛下がDにアップされたあの日からモノクロの世界が神々しく色付いた。
「ああ、ペット様、なんと尊いお方だ、全てを癒す存在とは彼の方のためにある言葉だ!!」
咽び泣きながら転がり続けていた時だった。
「……セシル小辺境伯殿」
「ヘイズ卿」
竜帝陛下の腹心の糸目の男がそこに音もなく現れた。
「何か御用か??」
首を傾げると、辺境伯はコクリと頷いて、1枚の手紙を手渡す。
「あなたの親類で、現在取り調べ中のアヴェル殿からこれをあなたに渡すように頼まれました」
「アヴェルだと!?あの愚鈍な男などすでに我が一族ではない」
そう怒り狂い、手紙を破こうとした私をヘイズ卿は止めた。
「気持ちはお察しするが、この手紙にはあなたに必要な情報につながる鍵があるようですぞ」
「……」
ヘイズ卿の言葉に本来は破り捨てたい気持ちを抑えて手紙を開封し、中身を見る。
「これは!!」
「美人??」
ムッとして僕は同僚の近衛兵を睨みつけた。
「えっ、あ、お前、リュカ殿下派だっけ??」
気まずそうに聞いた同僚の胸ぐらを掴んで叫ぶ。
「違う!!ペット様は美人などではない、あのお方は天女だ!!異界から降臨された神の化身、女神のような尊きお方なのだ!!そのように軽率な言葉にするなんて汚らわしい!!」
「ああ、悪かった、悪かったよ。そうだった、お前そもそも竜帝陛下過激派、元番い様派閥だもんな、失言だったよ」
そう謝られたので、仕方なく僕は同僚から手を離す。その勢いで尻餅をついたようだが気にしはしない。
「……そうだ。だから間違えても僕の前でペット様を軽視する発言も悪辣殿下派閥などと言う胸糞悪い話もするな」
地面に尻をついたまま何か言いたげにこちらを見ている同僚を無視して、竜帝陛下のDアカウントを見る。
5秒前に新しく通知があったので、すぐに開いたのだが、今日も見目麗しいペット様が、竜帝陛下の超絶技巧なカメラセンスにより映し出されていた。
あまりの神々しいさに僕は涙を流す。
「ペット様、くはっ、なんて尊いのだ」
あまりの神々しいさに僕はその場で五体投地をした。
その様を立ち上がった同僚がチベットスナギツネみたいな顔で見ているが気にしない。
ペット様は間違いなく尊い方だ。我が一族は「真実の目」を持つ竜人の一族なので人を見極めることに秀でている。
そんな優れた一族から愚鈍でみる目のない従兄弟のアヴェルを排出したのは汚点でしかない。
悪辣殿下のようなただ見目の良いだけの暗君に仕え続け、番い様を死に追いやるなど万死に値する行いをしたので今は没交渉だ。
(クソっ、あの惨劇は我が身において生涯の不覚だ)
ズキリと失った半身の痛みが久々に蘇ってきた。
僕には学生時代、誰よりもお慕いしていたお方がいた。
ルゼル・ハトホル・アナン小公爵。誰よりも気高い黄金の髪を持つ神のような貴公子。
あのお方を一目見た瞬間から僕はずっとあの方をお慕いし、僭越ながらお側についていた。
誰よりも気高いお方がいくら母親のわからない私生児だったとはいえ、義弟のアナイス様を殺そうなど考えるはずがなかった。
だから、僕は、僕と同じ志を持つ同胞で最愛の番いターナーと最後まであの事件は事故だと主張したが、悪辣殿下は聞く耳を持たず、愚鈍な従兄弟のアヴェルに恥を忍んで頼みこんだが、願いは届かずあの方は殺された。
しかも、あの高貴な魂を悪趣味にも砕かれたのだ。
あまりの絶望にしばらく僕は後を追うことばかり考えたが、ターナーがそれだけはやめるように僕を諌めた。
そして……、
「セシル、君はあの邪悪な殿下と君の従兄弟を見張るためにココに残れ。僕はあの方をお守りすべく魂を引き裂く」
あの日のターナーの決意と言葉を僕は忘れたことはない。
『魂を引き裂く』ということは、この世界ではもっとも禁忌とされる。
何故なら魂とはコアであり、そのコアを引き裂いたり、壊したりされたら散り散りに散った魂が融合しなおす事は難しくなり、この世界に生まれるための魂量に足りなくなる。
結果、この高次の世界に魂が生まれ変われず地獄のような下等世界に魂の破片が融合しなおすその日まで根付き続けることになる。
下等世界に散った魂の融合には1000万年近い歳月が掛かるとされて例外を除きもっとも寿命が長い竜人ですらそこまでの寿命がないので、魂を壊されたり、引き裂かれたものは実質この世界から消滅した扱いとなる。
つまり、ターナーも自らの魂を引き裂いて下等世界にあの方を追って堕ちたのだ。
もっとも尊敬するお方と同胞いや僕の番いを失い、激しい絶望感と喪失感に苛まれたが、僕はひとりでも彼奴等と戦った。
そんな最中、外交先から急ぎ戻られた竜帝陛下が悪辣殿下の愚行を裁かれた。
小公爵様、いや番い様は罪を犯していなかった事実は白日の元に晒されたが魂を壊されたため2度と竜帝陛下は番い様に出会うことができなくなってしまった。
竜帝陛下と図らずしも同じ境遇となった僕は、あのお方の意思と番いの志を引き継ぐべく今も竜帝陛下に仕えている。
(あれから5千年……僕の心を占めて居たのは義務感で穏やかさなどは味わってこなかった、けれど……)
ペット様のお姿をはじめて、竜帝陛下がDにアップされたあの日からモノクロの世界が神々しく色付いた。
「ああ、ペット様、なんと尊いお方だ、全てを癒す存在とは彼の方のためにある言葉だ!!」
咽び泣きながら転がり続けていた時だった。
「……セシル小辺境伯殿」
「ヘイズ卿」
竜帝陛下の腹心の糸目の男がそこに音もなく現れた。
「何か御用か??」
首を傾げると、辺境伯はコクリと頷いて、1枚の手紙を手渡す。
「あなたの親類で、現在取り調べ中のアヴェル殿からこれをあなたに渡すように頼まれました」
「アヴェルだと!?あの愚鈍な男などすでに我が一族ではない」
そう怒り狂い、手紙を破こうとした私をヘイズ卿は止めた。
「気持ちはお察しするが、この手紙にはあなたに必要な情報につながる鍵があるようですぞ」
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「これは!!」
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