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「昨日は夜中に騒がしくしてごめんね」
翌朝、朝食の前にルイ様が部屋まで来て謝ってくれた。
昨日も謝ってもらったし、今回のことはルイ様が悪いわけじゃないのに。
「いえ、そんなのは全然……」
「あのあとはちゃんと寝られた?」
「はい」
ルイ様が居てくれているって分かったから、あの後でも安心して寝ることができた。
「よかった。
ちゃんと魔法もかけ直したし、次は出かける時は代理を置いて出ることにしたから安心していいからね」
「代理?」
「この前うちに来たドラゴンの子。これから私がいない間はここに居てもらおうと思って」
ルイ様以外の人がここに来るのか……。
ルイ様がいないのは不安だから助かるけど、他の人が来るというのも変な気分だな。
「大丈夫。君には危害を加えないよう契約も結ぶし、ほとんどドラゴンの姿でいるだろうからこの家の中には入らないと思う。もし人に化けても入れないようにしておくから」
「そこまでしなくても、私は居候みたいなものですしルイ様が言うことであれば従いますよ」
「そんなふうに思わなくていい。居候というより同居人だと思ってほしいし、何かあった時は話し合って決めたいと思ってるよ。
だから、もし何か嫌だったり不安なことがあるなら教えて欲しい」
私なんてこの家に何も貢献していないどころか、いろいろとしてもらってばかりで、どう考えても迷惑しかかけてないし居候以下だと思うのに、こんなふうに言ってくれるなんて本当に優しい。
「嫌ではないんですが、ただあまりよく知らない方がいるのはちょっと不安だなって思っただけです。
でも基本的に外にいるならそんなに影響ないのかな。
入れないようにするのはさすがに申し訳ないというか……」
「じゃあ君の部屋には入れないようにしておくよ。私も君があれと長く一緒にいるのは心配だしね」
「はい、ありがとうございます」
「他に気になることは無い?」
「ドラゴンさんの件ではないんですが、最近森への侵入者が多いのってなぜなんでしょうか?」
「さあ?なんでだろうね」
「ルイ様も原因はわからないんですね」
「うん。お互いのためにもこういうのやめて欲しいんだけどな~」
「この森に関する噂も随分広まっているのに、みなさん勇気がありますね」
私なんて物心着いた頃から、どうにかして森に入らないわけにはいかないかと思考をめぐらせたというのに、自らすすんで入ってくるとは。
いや、もしかして、私と同じように周りの圧や誰かの安否がかかったりしていた人もいたのだろうか。
「所詮噂だし、信じてない人もいるんだろうね」
「そっか、そうですよね」
私の村では平和協定のこともあったからか、噂よりももっと大きい存在のように扱われてたけど、ここから離れた街や村だとそんなこともないのかな。
「そうだ。また話は変わっちゃうんだけど、君に手紙の返事を書いたんだ。あとで持ってくるね」
「ありがとうございます。
あの、手紙で思い出したんですけど」
「ん?」
「もしよかったら、私に字を教えてくれませんか?
ルイ様の魔法のおかげで文字は読めるんですけど、書くってなると本の中から似たようなところを探して~という感じで、ひとつの文を作るだけでもなかなか難しくて……」
「もちろんいいよ。
それにしても、そんなに手間をかけてあの手紙を書いてくれたんだね、ありがとう」
「私でも何かできることがあればいいなと思ったので」
「その気持ちはとても嬉しいけど、無理はしなくていいからね」
「はい」
「字を教えるのはすぐにでも始めようか?」
「ルイ様がよければぜひ!」
「じゃあ都合がいい時に広間においで。
ひとまずは朝食だね。きっともう準備ができてる頃だよ」
「そうですね。行きましょうか」
翌朝、朝食の前にルイ様が部屋まで来て謝ってくれた。
昨日も謝ってもらったし、今回のことはルイ様が悪いわけじゃないのに。
「いえ、そんなのは全然……」
「あのあとはちゃんと寝られた?」
「はい」
ルイ様が居てくれているって分かったから、あの後でも安心して寝ることができた。
「よかった。
ちゃんと魔法もかけ直したし、次は出かける時は代理を置いて出ることにしたから安心していいからね」
「代理?」
「この前うちに来たドラゴンの子。これから私がいない間はここに居てもらおうと思って」
ルイ様以外の人がここに来るのか……。
ルイ様がいないのは不安だから助かるけど、他の人が来るというのも変な気分だな。
「大丈夫。君には危害を加えないよう契約も結ぶし、ほとんどドラゴンの姿でいるだろうからこの家の中には入らないと思う。もし人に化けても入れないようにしておくから」
「そこまでしなくても、私は居候みたいなものですしルイ様が言うことであれば従いますよ」
「そんなふうに思わなくていい。居候というより同居人だと思ってほしいし、何かあった時は話し合って決めたいと思ってるよ。
だから、もし何か嫌だったり不安なことがあるなら教えて欲しい」
私なんてこの家に何も貢献していないどころか、いろいろとしてもらってばかりで、どう考えても迷惑しかかけてないし居候以下だと思うのに、こんなふうに言ってくれるなんて本当に優しい。
「嫌ではないんですが、ただあまりよく知らない方がいるのはちょっと不安だなって思っただけです。
でも基本的に外にいるならそんなに影響ないのかな。
入れないようにするのはさすがに申し訳ないというか……」
「じゃあ君の部屋には入れないようにしておくよ。私も君があれと長く一緒にいるのは心配だしね」
「はい、ありがとうございます」
「他に気になることは無い?」
「ドラゴンさんの件ではないんですが、最近森への侵入者が多いのってなぜなんでしょうか?」
「さあ?なんでだろうね」
「ルイ様も原因はわからないんですね」
「うん。お互いのためにもこういうのやめて欲しいんだけどな~」
「この森に関する噂も随分広まっているのに、みなさん勇気がありますね」
私なんて物心着いた頃から、どうにかして森に入らないわけにはいかないかと思考をめぐらせたというのに、自らすすんで入ってくるとは。
いや、もしかして、私と同じように周りの圧や誰かの安否がかかったりしていた人もいたのだろうか。
「所詮噂だし、信じてない人もいるんだろうね」
「そっか、そうですよね」
私の村では平和協定のこともあったからか、噂よりももっと大きい存在のように扱われてたけど、ここから離れた街や村だとそんなこともないのかな。
「そうだ。また話は変わっちゃうんだけど、君に手紙の返事を書いたんだ。あとで持ってくるね」
「ありがとうございます。
あの、手紙で思い出したんですけど」
「ん?」
「もしよかったら、私に字を教えてくれませんか?
ルイ様の魔法のおかげで文字は読めるんですけど、書くってなると本の中から似たようなところを探して~という感じで、ひとつの文を作るだけでもなかなか難しくて……」
「もちろんいいよ。
それにしても、そんなに手間をかけてあの手紙を書いてくれたんだね、ありがとう」
「私でも何かできることがあればいいなと思ったので」
「その気持ちはとても嬉しいけど、無理はしなくていいからね」
「はい」
「字を教えるのはすぐにでも始めようか?」
「ルイ様がよければぜひ!」
「じゃあ都合がいい時に広間においで。
ひとまずは朝食だね。きっともう準備ができてる頃だよ」
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