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高等部二年生
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風紀委員長の上村くんとの話し合いが終わり、食堂を出たぼくは購買部へと向かった。
親衛隊員から送られてきた七瀬くんのタイムスケジュールを見るに、どうやら彼は昼休み中ずっと保健室にいたらしい。
怜くんがずっと七瀬くんに付き添っていたのかまでは分からない。
ただ食堂に来なかったのは事実なので、食べ損ねているとき用に、購買部でパンでも買って怜くんに届けようと思ったんだ。
済ませていたら、それはそれで夜食にでもしたらいいし。
「怜のことだから、適当に誰かを使いにやって、お昼は済ませてると思うけどね」
「けど忙しいときとか、抜くこともあるでしょ」
「保は怜の世話を焼き過ぎだよ。そういうのは桜川くんに任せておけばいいんだから」
うーむ、怜くんが七瀬くんをお姫様抱っこしてから、眞宙くんが不機嫌だ。
一緒にいる南くんも、どうしたらいいかとチラチラ視線を送ってくる。
実は眞宙くんも怜くんにお姫様抱っこされたかったとか!?
「保、今、恐ろしいこと考えなかった?」
「えぇ!? 眞宙くんもお姫様抱っこされたいのかなぁって思っただけだよ!」
「やっぱり考えてたね……」
はぁーと目の前で盛大な溜息をつかれる。
「ほら、眞宙くんもすっかり身長が高くなっちゃったから、誰かに抱き上げられる機会もなくなったでしょ? そういう願望があってもおかしくないかなーって」
「そうなんですか!?」
「ない。ないからね、南くん。というかお姫様抱っこに憧れを持つのは、女の子の思考じゃないかな」
「男の子が憧れてもいいと思うよ!」
「いや、恥ずかしがってるわけじゃなくてね!? もうっ、保は可愛い顔して、どうしてそう変な考えに走るかな!?」
ぼくとしては普通に思案した結果なんだけども。
他にも眞宙くんの言葉に、小さな引っかかりを覚える。
「ぼく、可愛いかな……」
「どうしたの? 保は可愛いよ?」
「はい! 保くんは可愛いです! 時々、大人っぽい表情をするときなんかは、見ていてドキッてします!」
「南くん?」
「あああ、いえ、眞宙様、決して邪な目で見ていたわけじゃなくてですね!?」
南くんがぼくを可愛いと言ったことに対して、眞宙くんの笑顔が黒い。
おおっ、眞宙くんでも嫉妬するんだね! 大丈夫、南くんが眞宙くんを一途に思ってることは、ぼくが保証するよ!
しかしここで、ぼくはある事実に気付いてしまった。
そう……眞宙くんも、攻略キャラだということに……!
眞宙くんの周りに七瀬くんの気配が全くないから、うっかりしてたけど!
眞宙くんルートもあるんだよ!
ということは、眞宙くんはお姫様抱っこされたいんじゃなくて……。
「眞宙くんは、七瀬くんをお姫様抱っこしたかったの!?」
「えっ!? 眞宙様、本当ですか!?」
しまった。
驚きのあまり、つい口に出しちゃった。
そんなうっかりなぼくにも、眞宙くんが黒い笑みを向けてくる。
「たーもーつぅー?」
「……あっ! 惣菜パン三つください!」
つい視線を逸らして、購買部に駆け寄った。
よかった、まだパンが売り切れてなくて。
眞宙くんは怜くんみたいに手を出すことはないんだけど、目が笑ってない笑顔は、心底怖いんだよね。普段、優しい人ほど怒ると怖いと言われるのも頷けた。
後からやって来た南くんも、夜食用にとパンを買い込む。
小食な南くんにしては珍しいけど、自習中とかお腹空くもんね。
パンを購入後、怜くんのクラスに行ったんだけど、そこにも怜くんの姿はなかった。
もしかしてずっと七瀬くんと保健室にいるんだろうか?
訊きたい話もあるんだけどなぁ……と思いつつ、怜くんの机に買ってきたパンを置く。
何となく、どこにいるのか尋ねるのは躊躇われて、パンのことだけを伝えるメッセージを怜くんのスマホに送った。
購買部からずっと痛かった眞宙くんからの視線は、スルーに徹しました!
◆◆◆◆◆◆
あれからパンについては「分かった」とだけ、怜くんから返信があった。
怜くんのメッセージが素っ気ないのはいつものことだ。
午後の授業では教室を移動する必要があったので、その帰りに怜くんのクラスを覗いてみることにする。
眞宙くんは、ぼくが授業前に謝り倒したことで、機嫌を直してくれました。
「話を聞くなら放課後のほうがいいんじゃない?」
「そうなんだけど、お昼に会えなかったし、ちょっとでも顔を見られたらいいかなーって」
「……本当に保は怜のことが好きだね」
「えへへ」
こうして付き合わせてしまっているのは申し訳ない。
けど一人で行くって言っても、眞宙くんはぼくの単独行動を許してくれないんだよね。
何をしでかすか分からないからって。
失礼な、とは思うけど、昔から三人の中で一番注意を受ける回数が多いのも確かだから、大人しく引き下がる。
怜くんの席が見える場所まで来ると、足が自然に止まった。
そんなぼくに眞宙くんが話しかける。
「パン、食べてるみたいだね。七瀬くんと」
「うん……」
そこには、ぼくが買ってきたパンを、七瀬くんと二人で食べている怜くんの姿があった。
きっとお腹が空いてる七瀬くんに、怜くんが分けてあげたんだろう。
うん、別に何も悪いことじゃない。
ぼくは一つ頷くと、踵を返した。
「保? 怜に声かけなくていいの?」
「うん、いい。邪魔したら悪いし……っ」
「保……」
あぁ、なんで。
怜くんは何も悪いことしていないのに。
なんで、こんなに胸がモヤモヤするんだろう。
片手で自分の胸をさすっても、モヤモヤは全然消えてくれない。
嫌だ、こんな醜い自分は、嫌だ。
ただ二人でパンを食べていただけの姿に、嫉妬するなんて。
「保……!」
廊下を曲がったところで、突然眞宙くんに腕を引かれた。
そのまま人目を避けるように、階段下まで連れて行かれる。
「眞宙くん?」
どうしたの? と言うまでもなく、抱き締められた。
思わず南くんの姿を探してしまうけど、授業が終わって自分たちの教室に戻る途中だったから、いるはずがない。
「最近の保は見ていられないよ」
「ごめん……」
「保が謝ることじゃない」
ぎゅっと抱き締める腕に力を込められて、より密着度が増した。
温かい眞宙くんの体温に涙腺が緩む。
このままじゃダメだと、両手を眞宙くんの胸に置いてみるものの、距離を開けることは叶わなかった。
「ダメだよ、眞宙くん。ぼく、泣いちゃう……」
「泣けばいいよ。どうして保が我慢する必要があるの。嫌だったんでしょ? 保が買ってきたパンを、七瀬くんも食べてるのを見て」
「それ、は……っ……」
ダメだと思うのに、泣くほどのことじゃないと自分でも思うのに、目頭は勝手に熱くなって、目に涙が浮かんだ。
「悪い、ことじゃない。パンは誰が食べたっていいのに……なのにっ……こんな風に、思う……ぼくが、間違ってるんだ……」
こんな些細なことを、気にするほうがおかしい。
そりゃ怜くんだって……次第にぼくのことを……。
「うっ……っ……こんな、自分は、嫌なのに……っ」
どんどん自分が醜くなっているのを感じる。
冷静にならないと、そう思えば思うほど、感情に振り回された。
「保は間違ってない。ただ嫉妬しただけでしょ? 怜の傍にいるのが自分じゃないことに。保が悪いと思うことは、何もないよ」
「でも、こんな、勝手だ……っ」
誰も悪くないのに、一人で勝手に傷付いている。
なんて自分は独りよがりな人間なのか。
「そういうものだと、僕なんかは思うけどね」
よしよしと頭を撫でてくれる眞宙くんに、涙が止まらない。
どうして眞宙くんは、こんなぼくを甘やかしてくれるんだろう。
「僕は、保が怜のことを大好きなの知ってるし、怜の親衛隊長になった後も、色々と頑張ってるのを知ってる。南くんからも、よく保の話を聞くからね。だから保が少しぐらい我が侭でも、僕は可愛いと思うよ」
「可愛くなんか、ないよ」
可愛いというのは、南くんみたいな子を指すんだ。
いつも優しい笑顔で、周りの人を癒す、そんな子が。
「僕が可愛いと思ってるんだよ。保の意見は求めてない」
「……」
そう言われてしまうと、何も返せない。
眞宙くんは、ぼくが黙り込んだのを見ると、瞼や頬に唇を落とした。
まるで、唇で涙を拭うかのように。
「次の授業はお休みしようか。こんな顔の保を連れて教室に戻ったら、一騒動起こりそうだ」
「うぅ……顔洗いたい……」
きっととても酷い顔をしているに違いないから。
「もう少ししたらね。……ねぇ、保、キスしてもいい?」
「えっ!? ど、どこに……?」
「それは場所によったらしてもいいってこと? まぁ頬とかにはさせてくれるよね。口は?」
「口はダメだよ!?」
「そっか、残念」
急に何を言い出すの!?
驚くぼくを他所に、眞宙くんはあははと笑っている。
「もう、冗談は……」
「冗談じゃないよ」
「っ!?」
ちゅっ、と軽く唇が重なった感触に目を見開いた。
というか、目を見開くことしかできなかった。
「な、なんで……」
「保の驚く顔が見たかったから? 大成功だね」
「眞宙くんっ!」
結局ぼくをからかっただけじゃないか!
むっとしていると、今度は膨らませた頬にキスされた。
「やっぱり保は可愛いよ」
「可愛くない!」
ぼくの機嫌の悪い顔を見てそう思う眞宙くんは、どこかおかしいんじゃないだろうか。
親衛隊員から送られてきた七瀬くんのタイムスケジュールを見るに、どうやら彼は昼休み中ずっと保健室にいたらしい。
怜くんがずっと七瀬くんに付き添っていたのかまでは分からない。
ただ食堂に来なかったのは事実なので、食べ損ねているとき用に、購買部でパンでも買って怜くんに届けようと思ったんだ。
済ませていたら、それはそれで夜食にでもしたらいいし。
「怜のことだから、適当に誰かを使いにやって、お昼は済ませてると思うけどね」
「けど忙しいときとか、抜くこともあるでしょ」
「保は怜の世話を焼き過ぎだよ。そういうのは桜川くんに任せておけばいいんだから」
うーむ、怜くんが七瀬くんをお姫様抱っこしてから、眞宙くんが不機嫌だ。
一緒にいる南くんも、どうしたらいいかとチラチラ視線を送ってくる。
実は眞宙くんも怜くんにお姫様抱っこされたかったとか!?
「保、今、恐ろしいこと考えなかった?」
「えぇ!? 眞宙くんもお姫様抱っこされたいのかなぁって思っただけだよ!」
「やっぱり考えてたね……」
はぁーと目の前で盛大な溜息をつかれる。
「ほら、眞宙くんもすっかり身長が高くなっちゃったから、誰かに抱き上げられる機会もなくなったでしょ? そういう願望があってもおかしくないかなーって」
「そうなんですか!?」
「ない。ないからね、南くん。というかお姫様抱っこに憧れを持つのは、女の子の思考じゃないかな」
「男の子が憧れてもいいと思うよ!」
「いや、恥ずかしがってるわけじゃなくてね!? もうっ、保は可愛い顔して、どうしてそう変な考えに走るかな!?」
ぼくとしては普通に思案した結果なんだけども。
他にも眞宙くんの言葉に、小さな引っかかりを覚える。
「ぼく、可愛いかな……」
「どうしたの? 保は可愛いよ?」
「はい! 保くんは可愛いです! 時々、大人っぽい表情をするときなんかは、見ていてドキッてします!」
「南くん?」
「あああ、いえ、眞宙様、決して邪な目で見ていたわけじゃなくてですね!?」
南くんがぼくを可愛いと言ったことに対して、眞宙くんの笑顔が黒い。
おおっ、眞宙くんでも嫉妬するんだね! 大丈夫、南くんが眞宙くんを一途に思ってることは、ぼくが保証するよ!
しかしここで、ぼくはある事実に気付いてしまった。
そう……眞宙くんも、攻略キャラだということに……!
眞宙くんの周りに七瀬くんの気配が全くないから、うっかりしてたけど!
眞宙くんルートもあるんだよ!
ということは、眞宙くんはお姫様抱っこされたいんじゃなくて……。
「眞宙くんは、七瀬くんをお姫様抱っこしたかったの!?」
「えっ!? 眞宙様、本当ですか!?」
しまった。
驚きのあまり、つい口に出しちゃった。
そんなうっかりなぼくにも、眞宙くんが黒い笑みを向けてくる。
「たーもーつぅー?」
「……あっ! 惣菜パン三つください!」
つい視線を逸らして、購買部に駆け寄った。
よかった、まだパンが売り切れてなくて。
眞宙くんは怜くんみたいに手を出すことはないんだけど、目が笑ってない笑顔は、心底怖いんだよね。普段、優しい人ほど怒ると怖いと言われるのも頷けた。
後からやって来た南くんも、夜食用にとパンを買い込む。
小食な南くんにしては珍しいけど、自習中とかお腹空くもんね。
パンを購入後、怜くんのクラスに行ったんだけど、そこにも怜くんの姿はなかった。
もしかしてずっと七瀬くんと保健室にいるんだろうか?
訊きたい話もあるんだけどなぁ……と思いつつ、怜くんの机に買ってきたパンを置く。
何となく、どこにいるのか尋ねるのは躊躇われて、パンのことだけを伝えるメッセージを怜くんのスマホに送った。
購買部からずっと痛かった眞宙くんからの視線は、スルーに徹しました!
◆◆◆◆◆◆
あれからパンについては「分かった」とだけ、怜くんから返信があった。
怜くんのメッセージが素っ気ないのはいつものことだ。
午後の授業では教室を移動する必要があったので、その帰りに怜くんのクラスを覗いてみることにする。
眞宙くんは、ぼくが授業前に謝り倒したことで、機嫌を直してくれました。
「話を聞くなら放課後のほうがいいんじゃない?」
「そうなんだけど、お昼に会えなかったし、ちょっとでも顔を見られたらいいかなーって」
「……本当に保は怜のことが好きだね」
「えへへ」
こうして付き合わせてしまっているのは申し訳ない。
けど一人で行くって言っても、眞宙くんはぼくの単独行動を許してくれないんだよね。
何をしでかすか分からないからって。
失礼な、とは思うけど、昔から三人の中で一番注意を受ける回数が多いのも確かだから、大人しく引き下がる。
怜くんの席が見える場所まで来ると、足が自然に止まった。
そんなぼくに眞宙くんが話しかける。
「パン、食べてるみたいだね。七瀬くんと」
「うん……」
そこには、ぼくが買ってきたパンを、七瀬くんと二人で食べている怜くんの姿があった。
きっとお腹が空いてる七瀬くんに、怜くんが分けてあげたんだろう。
うん、別に何も悪いことじゃない。
ぼくは一つ頷くと、踵を返した。
「保? 怜に声かけなくていいの?」
「うん、いい。邪魔したら悪いし……っ」
「保……」
あぁ、なんで。
怜くんは何も悪いことしていないのに。
なんで、こんなに胸がモヤモヤするんだろう。
片手で自分の胸をさすっても、モヤモヤは全然消えてくれない。
嫌だ、こんな醜い自分は、嫌だ。
ただ二人でパンを食べていただけの姿に、嫉妬するなんて。
「保……!」
廊下を曲がったところで、突然眞宙くんに腕を引かれた。
そのまま人目を避けるように、階段下まで連れて行かれる。
「眞宙くん?」
どうしたの? と言うまでもなく、抱き締められた。
思わず南くんの姿を探してしまうけど、授業が終わって自分たちの教室に戻る途中だったから、いるはずがない。
「最近の保は見ていられないよ」
「ごめん……」
「保が謝ることじゃない」
ぎゅっと抱き締める腕に力を込められて、より密着度が増した。
温かい眞宙くんの体温に涙腺が緩む。
このままじゃダメだと、両手を眞宙くんの胸に置いてみるものの、距離を開けることは叶わなかった。
「ダメだよ、眞宙くん。ぼく、泣いちゃう……」
「泣けばいいよ。どうして保が我慢する必要があるの。嫌だったんでしょ? 保が買ってきたパンを、七瀬くんも食べてるのを見て」
「それ、は……っ……」
ダメだと思うのに、泣くほどのことじゃないと自分でも思うのに、目頭は勝手に熱くなって、目に涙が浮かんだ。
「悪い、ことじゃない。パンは誰が食べたっていいのに……なのにっ……こんな風に、思う……ぼくが、間違ってるんだ……」
こんな些細なことを、気にするほうがおかしい。
そりゃ怜くんだって……次第にぼくのことを……。
「うっ……っ……こんな、自分は、嫌なのに……っ」
どんどん自分が醜くなっているのを感じる。
冷静にならないと、そう思えば思うほど、感情に振り回された。
「保は間違ってない。ただ嫉妬しただけでしょ? 怜の傍にいるのが自分じゃないことに。保が悪いと思うことは、何もないよ」
「でも、こんな、勝手だ……っ」
誰も悪くないのに、一人で勝手に傷付いている。
なんて自分は独りよがりな人間なのか。
「そういうものだと、僕なんかは思うけどね」
よしよしと頭を撫でてくれる眞宙くんに、涙が止まらない。
どうして眞宙くんは、こんなぼくを甘やかしてくれるんだろう。
「僕は、保が怜のことを大好きなの知ってるし、怜の親衛隊長になった後も、色々と頑張ってるのを知ってる。南くんからも、よく保の話を聞くからね。だから保が少しぐらい我が侭でも、僕は可愛いと思うよ」
「可愛くなんか、ないよ」
可愛いというのは、南くんみたいな子を指すんだ。
いつも優しい笑顔で、周りの人を癒す、そんな子が。
「僕が可愛いと思ってるんだよ。保の意見は求めてない」
「……」
そう言われてしまうと、何も返せない。
眞宙くんは、ぼくが黙り込んだのを見ると、瞼や頬に唇を落とした。
まるで、唇で涙を拭うかのように。
「次の授業はお休みしようか。こんな顔の保を連れて教室に戻ったら、一騒動起こりそうだ」
「うぅ……顔洗いたい……」
きっととても酷い顔をしているに違いないから。
「もう少ししたらね。……ねぇ、保、キスしてもいい?」
「えっ!? ど、どこに……?」
「それは場所によったらしてもいいってこと? まぁ頬とかにはさせてくれるよね。口は?」
「口はダメだよ!?」
「そっか、残念」
急に何を言い出すの!?
驚くぼくを他所に、眞宙くんはあははと笑っている。
「もう、冗談は……」
「冗談じゃないよ」
「っ!?」
ちゅっ、と軽く唇が重なった感触に目を見開いた。
というか、目を見開くことしかできなかった。
「な、なんで……」
「保の驚く顔が見たかったから? 大成功だね」
「眞宙くんっ!」
結局ぼくをからかっただけじゃないか!
むっとしていると、今度は膨らませた頬にキスされた。
「やっぱり保は可愛いよ」
「可愛くない!」
ぼくの機嫌の悪い顔を見てそう思う眞宙くんは、どこかおかしいんじゃないだろうか。
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