怜くん、ごめんね!親衛隊長も楽じゃないんだ!

楢山幕府

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高等部二年生

025※

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「うう……怜くんは楽しそうだね……」
「楽しいからな」

 それは何よりです! ぼくは恥ずかしいけど!

「ほら、サボるな。時間は限られてるんだからな」
「もうおいしいとか言わないからねっ」
「それは残念だ」

 残念だという声も、大して残念そうには聞こえない。
 こういうのが怜くん好きなのかな。
 覚えるだけ覚えておこう。またするとは限らないけどね!
 気を取り直して、口を開く。
 そろそろ口も馴れてきただろうかと、カリ首まで咥え込んでみた。

「んむ……ぅ」
「無理はするなよ」
「らいひょーぶ……」
「口に入れたまま喋るな」

 歯は当たらないように気を付けてるから安心して欲しい。
 ぢゅっと口の端から流れ出そうになる唾液を吸い込むと、竿が脈打つのが伝わった。
 そうか、吸えばいいのか。
 感じてくれたのがダイレクトに知れて気分が良くなる。
 苦しいのは苦しいけど、手を動かすことも忘れず、ぼくは頭を上下に動かした。

「……っ……んんっ」

 ぢゅっ、ぢゅぷと水音が立つ。
 ぼくではカリ首までが咥えられる限界だけど、次第に怜くんも腰を振りはじめる。
 竿が大きく振れて口を外してしまうときがあるものの、亀頭に縋り付くようにして何度も咥え込んだ。

「あふっ……んっ、んっ」

 激しく頭を動かすほど、口内でカリ首がこすれてグポグポと空気音を鳴らす。
 自分の口が立てる水音に、耳を犯された。

「はっ、ぅん、んっく……」
「たもつ……っ」

 怜くんの掠れた声や荒い息が聞こえる度に、ぼくの体も熱くなる。
 うん……なんか、すごく、エッチな気分。
 実際エッチなことをしてるんだけど。
 熱に浮かされて、頭がふわふわする。
 頭にある怜くんの手に力が込められると、ぼくまで煽られた。
 額に汗が滲む。
 熱が中心から湧き出ているのが感じられて、より一層、口淫に没頭した。

「んくっ、ぢゅっ、ぢゅっ……ぅんんっ」

 目を閉じ、頬を窄めて怜くんの亀頭を吸う。
 大きく舌で円を描くように尖端を舐め回していると、口から溢れた唾液が下に伝っていく。
 手は唾液と先漏れの液でぐしょぐしょになっていた。
 怜くんの中心から発せられる熱と、重ねられた手の熱に挟まれながら、懸命に竿を扱く。

「ふっ、く……たもつっ」

 名前を呼ばれたと思ったら、ふいに肩を強く押される。
 一瞬の内に口が解放され、顔に液体がかかった。

「は……ぁ、悪い……。少し待ってろ」
「……」

 手の中でビクビクと竿が脈打つのを感じた。
 次いで青臭さが鼻につく。
 頬から垂れ落ちた液体が、ソファに落ちる音を聞いて、顔射されたんだ……と実感した。
 呆然としてる間に怜くんは席を立ち、片手に濡れたハンカチを持って戻ってきた。

「目を閉じて、じっとしてろ」

 言われるがままに目を閉じる。
 怜くんがティッシュを大量に取るのを音で聞いた。
 そのまま顔を拭かれる。
 粗方拭き取ると、今度はハンカチを押し当てられた。
 ハンカチで前髪を撫でられて、そこまで精液が飛んでいたのを知る。

「大体は拭けたと思う。少なくとも垂れることはないだろ。顔、洗ってくるか?」
「うん……行ってくる」

 まだ頭がふわふわしているのを感じながら、給湯室へ向かった。
 顔を洗って、持っていた自分のハンカチで拭う。
 一段落すると喉の渇きを覚えて水をあおった。
 使い終わったコップを洗い、新しく水を入れてソファに戻る。

「怜くん、水」
「あぁ、貰う。……大丈夫か?」

 ぼくが顔を洗っている間に、怜くんは身なりを整えたようだった。
 まるで何事もなかったかのように見える。
 水の入ったコップを渡して、ぼくも隣に座ると腰を抱き寄せられた。

「怜くん?」

 ぼくの肩に怜くんが顔を埋める。
 水を飲んで冷えた怜くんの唇が、首筋に当たった。

「このまま午後はサボるか」
「……ダメでしょ」

 第一それじゃ何のために急いでいたのか分からない。
 途中、時間の感覚なんてなくなっていたけど。

「はぁ……どうせ、眞宙がお前を迎えに来るだろうしな」

 ぼくの視界の外で時計を確認したのか、怜くんはそう言うと腕に力を込めた。
 どこか甘えたような雰囲気に、怜くんらしくないなぁと思いながらも笑みが漏れる。
 気付いたときには、自分から怜くんの背中に手を伸ばしていた。
 よしよしと、ぼくよりも大きい背中を撫でる。

「ぼくもずっとこうしていたいけど」
「そうか」

 頷きながら、怜くんは体重をかけてくる。
 ぼくでは到底支えきれなくて……。

「ちょっと怜くん! ダメだって」
「あと五分」
「寝起きじゃないんだから……」

 結局そのままソファに押し倒された。
 何が切っ掛けだったのかは分からないけど、妙に可愛らしい怜くんの姿に、顔がニヤけるのを止められない。
 五分後、時間通りに眞宙くんが迎えに来るまで、ぼくは怜くんの頭や背中を撫でていた。


◆◆◆◆◆◆


「幸せそうだね」
「えへへ」

 廊下を歩きながら発せられた眞宙くんの言葉に、頬が緩むのを止められない。
 怜くんとは、一つ前の角で分かれていた。

「腰とかお尻は痛くない?」
「うん? 全然痛くないけど」
「じゃあまだ無事なんだね」
「うん?」

 質問の意図がよく分からないものの、眞宙くんは安心したようだ。
 しかしその後に続いたのは溜息だった。

「食堂での一件の後だから、締まりのない表情のまま教室に行っても、誰も不思議には思わないだろうけど」
「ぼく、そんな緩い顔してる?」
「してる」
「……」

 即答されて、自分で自分の頬を抓む。

「もう一回顔を洗ってきたほうがいいかな……」
「もう一回?」
「ううん、何でもない!」
「顔を洗うようなことをしてきたの?」
「そこ掘り下げないで!」
「してきたんだね」

 ジト目で見つめられた。
 うっ、そんな悪いことはしてないはずなのに。
 ……生徒会室ですることではなかったけども。

「その様子だと、着歴もまだ確認してないんじゃない?」
「着歴? ……わっ! チャットのメッセージ件数が凄いことになってる!」

 また三桁まで増えていた。
 ざっと内容に目を通すと、食堂での七瀬くんとの言い合いを皮切りに、怜くんに抱き上げられて食堂を出る写真が大量に送られている。
 全方位分あるんじゃないかとすら思える数だ。

「立体模型が作れそうだね」

 一緒に画面を見ていた眞宙くんが呟く。

「一応、ガス抜きになった……のかな?」
「怜と保が出ていったあとの食堂の雰囲気を見ても、成功してると思うよ。二人の姿が見えなくなった後に、歓声まで上がってたから」
「歓声!?」
「ほら、似たようなのが、メッセージでもたくさん送られてる」

 眞宙くんの綺麗な指先が示すメッセージを読む。

〈流石我らの隊長です! 七瀬なんかに負けませんね!〉
〈前日のお姫様抱っこは練習で、今日のが本番だったんですね!〉
〈末永くお幸せに……!〉
〈隊長の告白、とても感動しました! 僕もあんな風に気持ちを思いっきり伝えたいです!〉
〈ブーケトスを楽しみにしています!〉

 所々、結婚が決まったようなメッセージがあるのは気のせいだろうか。
 けれど送られているメッセージのほとんどが、好意的にぼくを応援するものなのは確かだった。

「本人を前に熱烈な告白をした後に、お姫様抱っこされての退場だからね。食堂は後のほうが凄い騒ぎだったよ」
「熱烈な告白……? お姫様抱っこ……?」

 眞宙くんの言葉で、はじめて食堂での自分の行動を振り返った。
 そうだ、怜くんが食堂に到着したぐらいに、ぼくは……。

「わぁー!!?」
「保!?」

 思いっきり嫉妬するだの、好きだのと言い放っていた。
 いつも大好きだとは伝えているけど、明らかに普段とは違う真剣なトーンだった。
 それを怜くんに聞かれてた!?
 しかも自分視点では抱き上げられたという認識でしかなかったけど、はたから見たら、それはお姫様抱っこでしかなく。
 今更恥ずかしくなって、その場に蹲る。

「保、顔が真っ赤だよ」
「ううう……」
「大人しく、教室ではみんなの生温かい視線に耐えようね」
「うう……」

 やっぱり午後の授業、サボっちゃダメかなぁ。
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