乙女ゲーのラスボスに転生して早々、敵が可愛すぎて死にそうです

楢山幕府

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「それはそれで困るのですが?」
「安心しろ、私は評価している。だが目が曇った大人も多い。気を付けねばならないぞ」

 頭を撫でられ、その優しい手つきに身を委ねる。
 僕は事前にアルフレッドやイアンたちの情報を知っていた。だから何となくズルをしている気もする。
 けど最終的に、彼らが僕を気に入ってくれるかどうかは、彼らの判断に任せるしかない。
 それを考えると、ちゃんと彼らが僕のことを見てくれているという父上の言葉に、凄く救われた。
 ゲームに関係なく、僕を好いてくれているのが、とても嬉しい。

「そうだ、殿下と言えば、今度お忍びで街へ出られる」
「視察ですか?」

 言ってから、それだと忍ぶ必要がないことに思い当たる。

「お前とヴィヴィアンが出かけたことが耳に入ったようだ。同行するよう誘いがあった」
「断れないお誘いですか」
「体裁は大事だ。不都合はないだろう?」
「まぁ、僕は構わないのですが……」
「何か問題があるのか?」
「ヴィーは同行できないでしょう?」

 僕とアルフレッドだけで出かけたら、きっとむくれるだろうなぁ。


◆◆◆◆◆◆


 案の定、ヴィヴィアンはむくれた。
 そして「お花畑に集まった妖精たちの会」が日を改めてまた開催されることになった。解せぬ。
 しかも今度は父上も観客として参加したいと言い出して、僕は天を仰ぐしかなかった。
 息子の女装を見て、何が楽しいんですかね。第一に見世物じゃない。

「で、これは嫌がらせか何かデスカ?」
「テディは街について詳しいだろう?」

 僕はアルフレッドと手を繋ぎながら、テディに答える。
 その後ろでは、エリックが静かに佇んでいた。
 場所はユノーハイネスの店前。本日のお出かけメンバーの、最後の一人が合流したところだ。

「詳しいけども! だからって俺が案内する必要ある!?」

 アルフレッドと街にお忍びで出かけることが決まり、僕は案内役としてテディの同行を提案した。
 一緒に出かけるのはいいけど、僕は街に詳しくない。
 知らない大人に案内されるよりは、テディのほうがアルフレッドも楽しめるんじゃないかと思ったんだ。
 結果、提案は認められて、テディも断れないお誘いを受けることとなった。

「侯爵家の相手でも不相応なのに……不敬罪で斬首とかされないよな? あぁ、胃が痛い」
「ルルは気にしないよ」
「オレはルーファスがいいならいいぞ」

 アルフレッドは街を歩けるのが楽しくて仕方ないのか、朝からずっとご機嫌だ。
 普段は着ない服装で、変装しているのも楽しいのかもしれない。
 といっても貴族街から出ることはないので、変装といっても僕の従兄弟を装ってるだけなんだけど。
 ちなみに「ルル」はお出かけようの偽名だ。

 街ではいつも以上に警備兵が巡回し、私服姿で潜伏している者もいる。
 一見すると僕たち四人しかいないようでも、すぐ駆け付けられる距離に、近衛兵もそれとわからない装備で待機していた。
 安全面に抜かりはない。
 何より、アルフレッドには王家が受け継ぐ魔力がある。
 今回の外出が認められたのも、アルフレッドが自分を守れるようになったからだった。
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