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【序章】始まらずに終わった話、或いは終わりが始まる話
9. 夢、のち深夜の密会
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――夢を見ていた。
それがすぐに夢だと気づいたのは、あまりにも見慣れた光景だったからだ。
何度も、何度も、幾度となく頭の中で繰り返し再生されてきた過去の記憶。
葬儀の執り行われた夜だ。今から五、六年ほど前。伊恵理の母親を見送るための儀式。
小学生時代の体に戻った敢介の視界が、幼馴染の少女の姿を捜し求める。
すぐに見つかった。
伊恵理は、黒いワンピースと黒いストッキング、黒いローファーという黒一色の装いだった。唯一、ポニーテールを留めるキューブ型のリボンだけが、髪の黒さを程良く引き立てる紺色で。
母に買って貰ったお気に入りのリボンだと、伊恵理はよくそう言って笑っていた。
けれども今は無表情だ。耐え忍ぶように唇を噛み締めている。
彼女の傍には、父や二人の兄たちがいる。彼らもまた、一様に目許を険しくしている。
だから、なのだろう。伊恵理が泣かない――泣けないのは。
辛いのは、皆同じだ。その苦痛は家族全員が共有している。
だから泣くわけにはいかない。たとえ末妹に過ぎない身だとしても、自分だけが甘えるわけにはいかない。小さな体の中に、必死に大きな悲しみを閉じ込めていた。
耐えられなかったのは、きっと敢介の方だ。
本人には内緒にしているが、敢介はたぶん、伊恵理が思っている以上に彼女のことが好きだ。
異性として、という意味ではない。それ以前に、一人の人間として、あの自由奔放な少女を好ましく思っているのだ。
その笑顔に元気をもらえた。その向こう見ずな明るさに何度となく励まされた。能天気で素っ頓狂なところが、たまらなく愛しかった。
だから、そんな素敵な女の子が、何かに押し潰されそうになっているのを、ただ黙って見続けることができなかったのだ。
伊恵理、と敢介は彼女に声を掛けてしまっていた。或いは夢の中であれば――高校生になっている今の敢介であれば、理性で押し留めることができたのかもしれない。
けれども、何度この夢を繰り返しても、きっと敢介は伊恵理に声を掛け続けるだろう。
大切な女の子が辛い目に遭っているのに、見て見ぬ振りするだなんて、どだい無理な話なのだ。
果たして、声を掛けられた伊恵理は、はっとした様子で敢介を振り向いた。
そして。
だっ、と一瞬で距離を詰められた。どすん、と敢介の胸に伊恵理の顔が埋められる。
「……おかん」
そう呟いて、伊恵理は泣いた。
「おかん、おかんっ、おかんッ! うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ――――んッ」
有らん限りの声で、哭いた。
彼が初めて目にする、彼女の弱さだった。
だからこの瞬間、胸元の温もりを力一杯抱きしめながら、敢介は自分に誓ったのだ。
俺は――伊恵理の〝おかん〟だ。
◆
目が醒めると、見慣れた天井があった。
常夜灯が点けられていたため、すぐにそこがどこだか解った。寮の自室だ。ジャージに着替えさせられた上で布団に寝かせられていた。
ゆっくりと身を起こすに連れて、徐々に前後の記憶が繋がり始める。
どうやら浴槽の中でのぼせてしまっていたようだ。伊恵理が石鹸も落とさずに風呂場から飛び出していったり、慌てて駆け付けた玲壱が敢介を引きずり出したりしたことなどが、朧気な記憶として残っていた。
二人には明日の朝にでも、改めて礼を言わなければなるまい。
「とりあえず、喉渇いたな……」
枕許に置いてあったスマホで時間を確認すると、既に深夜の一時くらいを回っていた。
他の寮生たちはもう寝静まっている頃だろう。敢介は足音を殺しながら、そっと部屋を出た。
予想外にもリビングには先客がいた。毬藻だった。
やあ、と毬藻は茶色い液体の入ったウイスキーグラスを掲げた。
「もう起きても大丈夫なのかい?」
「ご迷惑をお掛けしました。……つーか、それ――」
敢介の咎めるような目を、ははっ、と毬藻は軽妙に受け流す。
「ウイスキーだと思った? 残念、ただの麦茶だよ。嘘だと思うなら、飲んでみるかい?」
毬藻は悪戯っぽい笑みを浮かべながら、飲みかけのウイスキーグラスを差し出してくる。
「間接キスを狙ってるんですか? その手には乗りませんよ」
敢介はグラスを受け取ると、くるりと半回転させてから口を付ける。紛うことなき麦茶だった。
「お、まんまと騙された。実はそっち側が私の使っていた飲み口なんだ」
咽せた。けほけほ、と咳き込む敢介。
あはは、と毬藻はそんな敢介を指差しながら笑う。心配している風を装ってからかってくるとは、これまた随分とタチの悪い。
さて、と毬藻は気を取り直すように咳払いすると、
「君の私に対する負い目が消えたところで、軽く状況報告でもしてあげよう」
「状況報告?」
「伊恵理ちゃんのことだよ。あれからどうなったのか。気にならない?」
「……何か迷惑を掛けるようなことでもやりましたか?」
「自分のことよりも伊恵理ちゃんの方が心配か。つくづく君はあの子のおかんだね」
そう言う毬藻の声は、放課後に聞いたそれに似て、少し寂しげでもあった。
気にならないわけではないが、今はそれ以上に伊恵理のことが気懸かりだった。敢介の中で優先順位が高いのは、言うまでもなく、毬藻でなく伊恵理の方だから。
「君が湯あたりした直後は軽くパニクってたけど、玲壱くんが落ち着かせたよ。彼、ピンチになるとかえって冷静になれるタイプなんだね。あの魔物揃いの現生徒会で副会長をやっていられるのも伊達じゃないってことか」
「ほとんどレーチの話じゃないですか。……ま、伊恵理の身に何かあったってわけじゃないなら安心です」
「うん、それは大丈夫。漏れ聞こえてきた会話で、君たち三人の過去が少し垣間見えちゃったけど、聞かなかったことにするよ」
――私が知ってるのは、あくまで今を楽しく生きている君たちだ。
毬藻が語気を強めて断言する。
敢介は、別に自分が不幸だと思ったことはないが、しかしこの毬藻の台詞には、少し胸を打たれるものがあった。
今を楽しく生きている。――他人の目にもそう写っていることが、少し嬉しかった。
だから敢介も、重いトーンにならないよう努めながら、言葉を返すことにする。
「どっちでもいいですよ。別に隠すようなことじゃないですから。聞いたところで楽しくなる話でもないですけどね」
「ふふっ、普段の調子が戻ってきたね。これで私も安心して眠れるよ」
グラスは自分で洗うから、と毬藻は空になったグラスを敢介の手から抜き去ると、対面式キッチンの洗い場へと回り込んだ。さっさと寝ろ、という彼女なりのお達しだ。敢介の――おかんの朝は早いのだから。
「じゃあ、お休みなさい。あと、色々ありがとうございます」
「うん、お休み。退寮前に面白い思い出ができたよ」
そう言う毬藻の声には、何やら吹っ切れたような雰囲気が感じられた。
それがすぐに夢だと気づいたのは、あまりにも見慣れた光景だったからだ。
何度も、何度も、幾度となく頭の中で繰り返し再生されてきた過去の記憶。
葬儀の執り行われた夜だ。今から五、六年ほど前。伊恵理の母親を見送るための儀式。
小学生時代の体に戻った敢介の視界が、幼馴染の少女の姿を捜し求める。
すぐに見つかった。
伊恵理は、黒いワンピースと黒いストッキング、黒いローファーという黒一色の装いだった。唯一、ポニーテールを留めるキューブ型のリボンだけが、髪の黒さを程良く引き立てる紺色で。
母に買って貰ったお気に入りのリボンだと、伊恵理はよくそう言って笑っていた。
けれども今は無表情だ。耐え忍ぶように唇を噛み締めている。
彼女の傍には、父や二人の兄たちがいる。彼らもまた、一様に目許を険しくしている。
だから、なのだろう。伊恵理が泣かない――泣けないのは。
辛いのは、皆同じだ。その苦痛は家族全員が共有している。
だから泣くわけにはいかない。たとえ末妹に過ぎない身だとしても、自分だけが甘えるわけにはいかない。小さな体の中に、必死に大きな悲しみを閉じ込めていた。
耐えられなかったのは、きっと敢介の方だ。
本人には内緒にしているが、敢介はたぶん、伊恵理が思っている以上に彼女のことが好きだ。
異性として、という意味ではない。それ以前に、一人の人間として、あの自由奔放な少女を好ましく思っているのだ。
その笑顔に元気をもらえた。その向こう見ずな明るさに何度となく励まされた。能天気で素っ頓狂なところが、たまらなく愛しかった。
だから、そんな素敵な女の子が、何かに押し潰されそうになっているのを、ただ黙って見続けることができなかったのだ。
伊恵理、と敢介は彼女に声を掛けてしまっていた。或いは夢の中であれば――高校生になっている今の敢介であれば、理性で押し留めることができたのかもしれない。
けれども、何度この夢を繰り返しても、きっと敢介は伊恵理に声を掛け続けるだろう。
大切な女の子が辛い目に遭っているのに、見て見ぬ振りするだなんて、どだい無理な話なのだ。
果たして、声を掛けられた伊恵理は、はっとした様子で敢介を振り向いた。
そして。
だっ、と一瞬で距離を詰められた。どすん、と敢介の胸に伊恵理の顔が埋められる。
「……おかん」
そう呟いて、伊恵理は泣いた。
「おかん、おかんっ、おかんッ! うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ――――んッ」
有らん限りの声で、哭いた。
彼が初めて目にする、彼女の弱さだった。
だからこの瞬間、胸元の温もりを力一杯抱きしめながら、敢介は自分に誓ったのだ。
俺は――伊恵理の〝おかん〟だ。
◆
目が醒めると、見慣れた天井があった。
常夜灯が点けられていたため、すぐにそこがどこだか解った。寮の自室だ。ジャージに着替えさせられた上で布団に寝かせられていた。
ゆっくりと身を起こすに連れて、徐々に前後の記憶が繋がり始める。
どうやら浴槽の中でのぼせてしまっていたようだ。伊恵理が石鹸も落とさずに風呂場から飛び出していったり、慌てて駆け付けた玲壱が敢介を引きずり出したりしたことなどが、朧気な記憶として残っていた。
二人には明日の朝にでも、改めて礼を言わなければなるまい。
「とりあえず、喉渇いたな……」
枕許に置いてあったスマホで時間を確認すると、既に深夜の一時くらいを回っていた。
他の寮生たちはもう寝静まっている頃だろう。敢介は足音を殺しながら、そっと部屋を出た。
予想外にもリビングには先客がいた。毬藻だった。
やあ、と毬藻は茶色い液体の入ったウイスキーグラスを掲げた。
「もう起きても大丈夫なのかい?」
「ご迷惑をお掛けしました。……つーか、それ――」
敢介の咎めるような目を、ははっ、と毬藻は軽妙に受け流す。
「ウイスキーだと思った? 残念、ただの麦茶だよ。嘘だと思うなら、飲んでみるかい?」
毬藻は悪戯っぽい笑みを浮かべながら、飲みかけのウイスキーグラスを差し出してくる。
「間接キスを狙ってるんですか? その手には乗りませんよ」
敢介はグラスを受け取ると、くるりと半回転させてから口を付ける。紛うことなき麦茶だった。
「お、まんまと騙された。実はそっち側が私の使っていた飲み口なんだ」
咽せた。けほけほ、と咳き込む敢介。
あはは、と毬藻はそんな敢介を指差しながら笑う。心配している風を装ってからかってくるとは、これまた随分とタチの悪い。
さて、と毬藻は気を取り直すように咳払いすると、
「君の私に対する負い目が消えたところで、軽く状況報告でもしてあげよう」
「状況報告?」
「伊恵理ちゃんのことだよ。あれからどうなったのか。気にならない?」
「……何か迷惑を掛けるようなことでもやりましたか?」
「自分のことよりも伊恵理ちゃんの方が心配か。つくづく君はあの子のおかんだね」
そう言う毬藻の声は、放課後に聞いたそれに似て、少し寂しげでもあった。
気にならないわけではないが、今はそれ以上に伊恵理のことが気懸かりだった。敢介の中で優先順位が高いのは、言うまでもなく、毬藻でなく伊恵理の方だから。
「君が湯あたりした直後は軽くパニクってたけど、玲壱くんが落ち着かせたよ。彼、ピンチになるとかえって冷静になれるタイプなんだね。あの魔物揃いの現生徒会で副会長をやっていられるのも伊達じゃないってことか」
「ほとんどレーチの話じゃないですか。……ま、伊恵理の身に何かあったってわけじゃないなら安心です」
「うん、それは大丈夫。漏れ聞こえてきた会話で、君たち三人の過去が少し垣間見えちゃったけど、聞かなかったことにするよ」
――私が知ってるのは、あくまで今を楽しく生きている君たちだ。
毬藻が語気を強めて断言する。
敢介は、別に自分が不幸だと思ったことはないが、しかしこの毬藻の台詞には、少し胸を打たれるものがあった。
今を楽しく生きている。――他人の目にもそう写っていることが、少し嬉しかった。
だから敢介も、重いトーンにならないよう努めながら、言葉を返すことにする。
「どっちでもいいですよ。別に隠すようなことじゃないですから。聞いたところで楽しくなる話でもないですけどね」
「ふふっ、普段の調子が戻ってきたね。これで私も安心して眠れるよ」
グラスは自分で洗うから、と毬藻は空になったグラスを敢介の手から抜き去ると、対面式キッチンの洗い場へと回り込んだ。さっさと寝ろ、という彼女なりのお達しだ。敢介の――おかんの朝は早いのだから。
「じゃあ、お休みなさい。あと、色々ありがとうございます」
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