14 / 17
第一章 忍び寄る影
13話 侵入。制圧。そして
しおりを挟む
こんばんは。忠長です。
四月十四日の夜です。
今日は京都を散策したんだが……何故か唯華に懐かれた。いや、本当に、何故懐かれたのか分からない。あと、遥香からのメッセージが怖い。
『ねぇ、忠長君。あの青髪の子と茶髪の子は誰????』
『ねぇ、誰なの????』
お前は俺の母さんか何かか。
っと、まぁ、そんなわけで既に消灯時刻は過ぎている。
正直言って、一週間連続行軍訓練より疲れた……。
『マルヒト、マルフタ。CP、送れ』
……はぁ、こんな時に。
翔馬と有希は……寝てるな。
「CP、マルヒト、送れ」
『CP、マルフタ、送れ』
『【聖域】内に侵入者あり。北西に一個小隊、南西に一個小隊。それぞれ、十と五。また、施設内から一名、体温と骨格から女と推定。対処せよ。マルフタ、送れ』
施設内から……もしかして、雫か?
『シャドウマン、どうする?』
「北西を貰った」
『了解。なら、私が南西ね。CP、マルフタ。聞こえてた?』
『オールコピー。交戦を許可する。制圧せよ』
『了解、マルフタ、終わり』
「マルヒト、了解。終わり」
ゆっくりと布団から抜け出し、気付かれないように戦闘服に着替える。
市街地戦用の戦闘服ではなく、書類上は非公式装備の森林戦用の戦闘服を持ってきている。
太腿に黒く塗りつぶしたナイフを装備し、腰には公式装備のUSP9を装備。フラッシュライトも装備してはいるが……まぁ、使わないだろ。
あとは、ラペリング用のロープを窓から垂らして……っと。その前に、こいつらに睡眠薬を嗅がせてっと。すまないな。気付かれるわけにはいかないんだよ。
そう言い残し、ロープを伝って部屋から抜け出した。
☆★☆★☆
「シューター、マルヒト、送れ」
『マルヒト、シューター、送れ』
「こちらが見えるか?」
『見えますが……援護不可です。南西側は射撃援護可能』
「なら、そっちを援護してくれ。こっちは大丈夫だ。送れ」
『了解。ご武運を。終わり』
そちらこそ、と心の中で思い、木の枝の上に飛び移る。
……そっちか。侵攻グループの場所にアタリを付け、枝から枝へと飛び移る。
闇から闇へ。陰から陰に飛び込み、気取られないようにする。
風に紛れ、移動するときに発生する音を偽装する。
っと。あれか。
「CP、CP、マルヒト、送れ」
『マルヒト、CP、送れ』
「北西、目標を捕捉。種別不明なるも装備はアサルトライフル一丁に拳銃一丁、ナイフと標準的な武装。アサルト、拳銃ともに形状からサプレッサーを装着している模様。送れ」
『了解した。被害を出す前に制圧せよ。送れ』
「了解。マルヒトからマルフタ、送れ」
『はいはい、っと。なぁに?』
「ちゃんとしろ。そっちとこっちで合わせるぞ」
『了解。カウントスリーね』
太腿のホルダーからナイフを取り出し、構える。
『カウント、スリー、ツー、ワン──』
相手部隊の指揮官と思われる男へ狙いを定め──
『イマ!』
──飛び降りる。
俺のナイフは吸い込まれるように男の項へ向かい──血が噴き出る。と、同時に着地。
追加のナイフを二本引き抜き、近くにいた戦闘員二名の動脈に向かって投げつけると同時に、ホルスターからサプレッサー付きのUSP9を取り出し、その戦闘員の頭を狙って二発ずつ射撃。戦闘集団が対応し始める前に目視範囲内の敵に発砲し、計七名を制圧。その直後に茂みへと飛び込む。
無線の向こう側の『クリア!』という声を聞き流しつつ、移動し、最後の三名を仕留めに掛かる。左手にナイフを持ち、後ろから急接近。米国の特殊部隊員に習った近接格闘術で相手の最後尾にいる男を拘束し、残りがこちらを撃てないようにする。
その隙を突いて、それぞれ三発、サプレッサーを付けた場合の有効射程内から発砲。動かなくなったところで拘束中の男の首を締めあげて気絶させた。
「……クリア、だよな。マルフタ、オールクリア」
『こっちもオールクリア。CP、マルフタ。【聖域】は制圧された。送れ』
『了解した。別の部隊が後処理を行う。元の任務へと復帰せよ。送れ』
『マルフタ了解』
「マルヒト了解」
『以上』
ふぅ……なら、薬莢だけ回収して──ッ!?
ガサゴソ、と草むらから何かを擦る音がした。
反射的に拳銃とフラッシュライトを抜き放ち、音のした方向へと向けると同時に誰何する。
「誰か!?」
「ん、眩しい。その声は、吉村君……?」
まずい。これは不味い。かなり、不味い。
どうする? 死体がある以上、これを誤魔化すことはできないぞ……っ
「ん。心配しなくても大丈夫。私は貴方の味方。だから、Turn off your flashlight. (そのライトを消しなさい)」
「……チッ。Who are you? What’s your affiliation? I think you aren’t official US army. (お前は誰だ? 所属は? アメリカの正規軍じゃないだろ)」
「わお。そこまでバレてるなんて。私びっくり。日本の防諜は凄い。それじゃあ、礼儀に則って。アメリカ陸軍特殊部隊司令部隷下、特殊所属工作群所属、宮古・シャーロット・雫大尉。コードネーム、ティアドロップ」
「聞いたことが無いぞ」
「だって、今年、極秘裏に新設されたから。これ、内緒。出来ればそっちのHQにも」
「……」
フラシュライトを消し、向けていた拳銃をゆっくりとおろす。
そのまま拳銃をホルスターへ納め、答礼をしてこう名乗る。
「日本国陸上自衛隊、陸上総隊隷下、特殊作戦群所属、吉村忠長三等陸佐。雫、お前のことは司令部に報告する。だが、所属については伏せておく」
内心、安堵しながらも、報告書について頭を悩ますのであった。
四月十四日の夜です。
今日は京都を散策したんだが……何故か唯華に懐かれた。いや、本当に、何故懐かれたのか分からない。あと、遥香からのメッセージが怖い。
『ねぇ、忠長君。あの青髪の子と茶髪の子は誰????』
『ねぇ、誰なの????』
お前は俺の母さんか何かか。
っと、まぁ、そんなわけで既に消灯時刻は過ぎている。
正直言って、一週間連続行軍訓練より疲れた……。
『マルヒト、マルフタ。CP、送れ』
……はぁ、こんな時に。
翔馬と有希は……寝てるな。
「CP、マルヒト、送れ」
『CP、マルフタ、送れ』
『【聖域】内に侵入者あり。北西に一個小隊、南西に一個小隊。それぞれ、十と五。また、施設内から一名、体温と骨格から女と推定。対処せよ。マルフタ、送れ』
施設内から……もしかして、雫か?
『シャドウマン、どうする?』
「北西を貰った」
『了解。なら、私が南西ね。CP、マルフタ。聞こえてた?』
『オールコピー。交戦を許可する。制圧せよ』
『了解、マルフタ、終わり』
「マルヒト、了解。終わり」
ゆっくりと布団から抜け出し、気付かれないように戦闘服に着替える。
市街地戦用の戦闘服ではなく、書類上は非公式装備の森林戦用の戦闘服を持ってきている。
太腿に黒く塗りつぶしたナイフを装備し、腰には公式装備のUSP9を装備。フラッシュライトも装備してはいるが……まぁ、使わないだろ。
あとは、ラペリング用のロープを窓から垂らして……っと。その前に、こいつらに睡眠薬を嗅がせてっと。すまないな。気付かれるわけにはいかないんだよ。
そう言い残し、ロープを伝って部屋から抜け出した。
☆★☆★☆
「シューター、マルヒト、送れ」
『マルヒト、シューター、送れ』
「こちらが見えるか?」
『見えますが……援護不可です。南西側は射撃援護可能』
「なら、そっちを援護してくれ。こっちは大丈夫だ。送れ」
『了解。ご武運を。終わり』
そちらこそ、と心の中で思い、木の枝の上に飛び移る。
……そっちか。侵攻グループの場所にアタリを付け、枝から枝へと飛び移る。
闇から闇へ。陰から陰に飛び込み、気取られないようにする。
風に紛れ、移動するときに発生する音を偽装する。
っと。あれか。
「CP、CP、マルヒト、送れ」
『マルヒト、CP、送れ』
「北西、目標を捕捉。種別不明なるも装備はアサルトライフル一丁に拳銃一丁、ナイフと標準的な武装。アサルト、拳銃ともに形状からサプレッサーを装着している模様。送れ」
『了解した。被害を出す前に制圧せよ。送れ』
「了解。マルヒトからマルフタ、送れ」
『はいはい、っと。なぁに?』
「ちゃんとしろ。そっちとこっちで合わせるぞ」
『了解。カウントスリーね』
太腿のホルダーからナイフを取り出し、構える。
『カウント、スリー、ツー、ワン──』
相手部隊の指揮官と思われる男へ狙いを定め──
『イマ!』
──飛び降りる。
俺のナイフは吸い込まれるように男の項へ向かい──血が噴き出る。と、同時に着地。
追加のナイフを二本引き抜き、近くにいた戦闘員二名の動脈に向かって投げつけると同時に、ホルスターからサプレッサー付きのUSP9を取り出し、その戦闘員の頭を狙って二発ずつ射撃。戦闘集団が対応し始める前に目視範囲内の敵に発砲し、計七名を制圧。その直後に茂みへと飛び込む。
無線の向こう側の『クリア!』という声を聞き流しつつ、移動し、最後の三名を仕留めに掛かる。左手にナイフを持ち、後ろから急接近。米国の特殊部隊員に習った近接格闘術で相手の最後尾にいる男を拘束し、残りがこちらを撃てないようにする。
その隙を突いて、それぞれ三発、サプレッサーを付けた場合の有効射程内から発砲。動かなくなったところで拘束中の男の首を締めあげて気絶させた。
「……クリア、だよな。マルフタ、オールクリア」
『こっちもオールクリア。CP、マルフタ。【聖域】は制圧された。送れ』
『了解した。別の部隊が後処理を行う。元の任務へと復帰せよ。送れ』
『マルフタ了解』
「マルヒト了解」
『以上』
ふぅ……なら、薬莢だけ回収して──ッ!?
ガサゴソ、と草むらから何かを擦る音がした。
反射的に拳銃とフラッシュライトを抜き放ち、音のした方向へと向けると同時に誰何する。
「誰か!?」
「ん、眩しい。その声は、吉村君……?」
まずい。これは不味い。かなり、不味い。
どうする? 死体がある以上、これを誤魔化すことはできないぞ……っ
「ん。心配しなくても大丈夫。私は貴方の味方。だから、Turn off your flashlight. (そのライトを消しなさい)」
「……チッ。Who are you? What’s your affiliation? I think you aren’t official US army. (お前は誰だ? 所属は? アメリカの正規軍じゃないだろ)」
「わお。そこまでバレてるなんて。私びっくり。日本の防諜は凄い。それじゃあ、礼儀に則って。アメリカ陸軍特殊部隊司令部隷下、特殊所属工作群所属、宮古・シャーロット・雫大尉。コードネーム、ティアドロップ」
「聞いたことが無いぞ」
「だって、今年、極秘裏に新設されたから。これ、内緒。出来ればそっちのHQにも」
「……」
フラシュライトを消し、向けていた拳銃をゆっくりとおろす。
そのまま拳銃をホルスターへ納め、答礼をしてこう名乗る。
「日本国陸上自衛隊、陸上総隊隷下、特殊作戦群所属、吉村忠長三等陸佐。雫、お前のことは司令部に報告する。だが、所属については伏せておく」
内心、安堵しながらも、報告書について頭を悩ますのであった。
0
あなたにおすすめの小説
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる