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終焉からの始まり:2

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「レイ・・・・・すまん・・・・。」

『悠夜! 来たよっ!』

俺がレイに、詫びの言葉を言おうとした時、レイが声を上げる。

その声は、敵機が接近してくる時の注意の声ではなく、喜びの声だ。

レイの声と同時に、警告音が響き、目の前の全周囲モニターの後方側にマーカーが表示される。

表示されたマーカーは、敵機を示す赤色ではなく、プレイヤーが操る機体を示す緑色だ。

後方5キロの場所に、プレイヤーが駆る機体が来ているのだ。

それも、1機や2機ではない。

後方のモニター部分が埋め尽くされるほどの数のプレイヤー達が来ている。

俺は両足のブラスターペダルを一気に踏み込む。

機体に搭載している、バイオセンサーが俺の脳波を読み取り、機体の両足から推進剤が噴出されて機体を180度反転させる。

それと同時に、ボロボロの機体にも関わらず、魔皇帝デビルエンペラーが敵機から離れていく。

そして僅か5秒ほどで、俺の機体はプレイヤーたちの機体の先頭に接近していた。

『バカ悠夜! 今のフルスロットルで、機体の損傷度が80%を超えたじゃないっ!』

ぷんすかと、怒りながらレイが言う。

傷付いた機体で、フルスロットルでの急加速で機体に無理をかけた為に、機体の耐久値が着いてこれずに損傷度が上がってしまったらしい。

「スマン。」

素直に謝る俺。

「よう、大将。 ずいぶんとボロボロだな。」

通信システムを通じて、野太い男性の声が聞こえる。

生憎と、機体の損傷度が激しくて、映像は映し出されないが誰なのかは判る。

サムソンだ。

「良く踏ん張ってくれた。 お陰で敵の第3拠点の制圧は完了した。」

今回の、拠点制圧クエストの総指揮をとっているオリオンサーバー最大のギルド【鋼の騎士団スティール・ナイツ】のギルドマスターのアイザック。

「大口を叩くだけは在るね。 後でお姉さんがパフパフしてあげるよ。」

お姉さんと呼べる年齢かどうかは置いておくとして、何かと俺にちょっかいを掛けてくるイザベラ。

「ちょっとイザベラ。 悠夜は私の彼氏なんだからね。」

いつ、お前の彼氏になったんだと突っ込みを入れたくなるアイラ。

美少女なのは認めるが俺はフリーだ。

「お前への依頼は此処までだが。 どうする?」

アイザックが俺に訪ねてくる。

「後は俺たちに任せて、大将はゆっくりと休んでおけよ。」

サムソンが間髪入れずに俺に言う。

「どの道。 その損傷具合じゃ、高速修理を依頼しても1時間以上は掛かるでしょう。

お姉さん達に任せておきなさい。 ご褒美は後でキチンとあげるからね。」

色っぽい声でイザベラが言う。

「そうだよ。後でキスでも何でもしてあげるから、おとなしくしてなさいよ。」

突拍子もない事を言うアイラ。

「おいおいおい。 冗談も程々にしておいてくれよ。

此処までボロボロにされて、ラスボス(クエストボス)を見ずに。

いつ、俺がリタイヤするって言ったんだ?」

「だが、イザベラの言う通り。

その損傷具合では。高速修理を使っても1時間は掛かるだろうが。」

俺の言葉に、アイザックが返事を返してくる。

「以前から頼んでいたパーツが出来上がっているんです。

後は資金だけの問題で。」

「なら、依頼の分は成功報酬として、いまから振り込んで置こう。

香織かおり。 悠夜にクレジットを渡してやれ。」

「はぁ・・・・。

私としては、失敗して貰った方が嬉しかったんですが・・・。

致し方ありませんね。

まさか、本当に単機でこの大軍を足止めするとは・・・・」

溜め息交じりで、中指で眼鏡を持ち上げ、目の前のディスプレイを操作して悠夜に向かってトレードを飛ばす香織。

「ありがとう。香織かおりちゃん。」

トレードをされたクレジットを受け取り香織に向かって言う。

「死ね・・・」

顔をしかめながら動じる事無く言い放つ香織。

「「そんなへきパイの、どこが良いのよっ!!」」

イザベラとアイラの声が見事に重なって聞こえてくる。

「クエストボスの前に、貴方たちを先に始末してあげましょうか?」

顔の見えない通話越しでも、香織が怒っているのが分かるくらいの声のトーンでイザベラとアイラに向か言うのが聞こえる。

「あぁ? やれるもんなら、やってみな・・・。」

「返り討ちにしてあげるよ。」

イザベラと、アイラも声のトーンを変えて言ってくる。

「そんじゃま、ちょっくら行ってくるわ。」

俺は、何食わぬ顔で、魔皇帝デビルエンペラーを操作して、機体を傷つけない程度の加速速度で、その場を離れていく。

今の機体の状態で、あの3人に囲まれたら、間違いなく撃墜されてしまう・・・。

「・・・で・・・アイザック・・・どうする?」

一触即発の状態の中。

サムソンがアイザックに尋ねる。

「戦闘が始まれば、すぐに正気に戻るだろう・・・。放っておけ。」

そう言って、アイザックはパネルを弄って、自分の声を全周囲に聞こえるようにグループ通話から全周囲拡散に音声を切り替える。

「全プレイヤーに告ぐ!

これより、最終拠点の攻略に移る!

全員気を引き締めろっ!」

アイザックの号令と共に、その場にいるプレイヤー達全員が機体を操り戦闘態勢をとる。

「攻撃開始っいぃぃぃ!」
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