お隣さんは僕のまたたび〜拗らせ両片思いの功罪

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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動き出す関係

先輩といけない遊び

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静かな長い廊下を歩いていくと、ちょっとした専有スペースの前の門扉を開けて玄関扉まで歩いた。白い洒落た折り畳み自転車が専有スペースに置いてあって、なるほどマンションといえども個々の家の佇まいがあるのだと興味深く眺めた。

カードキーで電子音を立てて開いた玄関の中は思いの外広くて、シンプルながら都会的なインテリアだった。目の前の抽象画のような小さな絵を見つめると、先輩がクスッと笑ってスリッパを出してくれた。


「母さんは掃除が嫌いだから掃除がしやすいインテリアが好きなんだ。どうぞ入って。」

先輩の家は僕の家とは違ってシンプルでモデルルームの様だった。先輩曰くは中学入学直前に引っ越して来たらしいので、そもそも新しいのだろう。

先輩はリビングへと僕を連れていくと、結構な眺めだよと言いながらキッチンへ入って行った。僕は開放感のあるリビングの大きな窓から見える景色をぼんやり眺めた。ここが25階のせいなのか、確かに眺めが良かった。遠くまで見えるので、自分の住んでる駅前という感じがしなかった。


「長谷部、こっち。」

先輩に呼ばれて振り返ると、飲み物とお菓子のようなものを置かれたトレーを持った先輩が先に立って歩き始めた。玄関とは離れる廊下を進むと、ドアが二つ並んでいて手前のドアが先輩の部屋の様だった。

「ここが俺の部屋。奥の兄貴の部屋の方が広いんだけど、まぁバルコニーもあるから不満はないかな。」

そう言って扉を開けて入って行った。僕は興味深々に招かれるままに先輩の部屋に入った。少しムッとした空気はエアコンのスイッチと共にあっという間に涼しくて快適な温度になった。きっとエアコンも新しくて性能がいいんだろう。


「暑かったね。はい、飲んで。」

あまり余計なものが無い先輩の部屋をぐるりと見回した僕は、棚に飾ってある写真楯の中の集合写真を見つめた。大会で撮ったこれは僕も持っている。

ベッドに座った先輩はゴクゴクとコーラを飲むと、じっと写真を見ている僕に話しかけて来た。

「それ、気に入ってるんだ。堂々と長谷部の写真飾れるから。」

僕は少し張り詰めた部屋の空気を感じながら、口元を緩めて先輩の側に行くと、テーブルの上のコーラを持ち上げて少しづつ飲んだ。


「先輩は何で僕をここに連れて来たの?」

僕から目を逸らさない先輩は、喉仏をゴクリと動かして言った。

「学校が無いと、あの屋上の階段も無いだろ?俺は長谷部にいつだって触れたいって思ってるから。…無理強いはしないけど。長谷部に嫌われたく無いし。」

僕たちはすっかり深いキスに慣れてしまっていた。その次に来るものは何だろう。触り合いだろうか。僕は頭の中が少し痺れる感覚で、心臓をドキドキさせて先輩の顔を見下ろした。


それから手の中の残ったコーラを一気にゴクゴクと飲むと、口元を手の甲で拭って言った。

「…先輩が何処まで望んでいるか分からないけど、最後までじゃなければいいよ。僕も興味あるし。…先輩はこんな僕でもいいの?僕の事好きなんでしょ?好きな相手がこんな興味本位な感じで嫌じゃない?」

すると先輩は顔を赤らめて口を歪めると言った。

「今更そんな事はどうでも良いよ。俺は長谷部とイチャイチャ出来るなら、そのチャンスをものにしたいだけだから。俺は長谷部が好きだから単純に嬉しいだけだ。長谷部は好きな相手は別として、他の誰かともこんな事するのか?」


僕はチラッと慶太の事が頭に思い浮かんだけれど、流石にあれ以来何も無いし、これから多分する様な事を慶太とするイメージは湧かなかった。だから首を振った。

すると先輩は嬉しそうに僕の手からグラスを引き取ってテーブルに置くと、僕の手を引いてベッドに座らせた。それから僕の顔をじっと見て、そっと唇を合わせた。






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