お家乗っ取りご自由に。僕は楽しく生きていきますからね?

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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新しい生活

一緒に夜食を

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 それから間も無く、使用人が夜食を届けてくれた。元々ご長男、アルバート1人分の夜食しか届かない予定だったので、それを横取りするのはどうだろうと戸惑っていたのだけど、流石は侯爵家だった。

 ワゴンの上には簡単に摘めるサンドイッチ的な軽食の他に、果物やら、焼き菓子など美味しそうなものがたっぷり載っていた。ピッチャーには紅茶や、搾りたての果物のジュースまで用意されていた。


 使用人が美しいカップに紅茶を淹れてくれると、アルバートは後は自分達でやるからと下がらせた。僕は目がキラキラしていたに違いない。実際ご馳走を前に目が釘付けだった。

 クスっと笑ってアルバートが食べようと声を掛けてくれたので、僕は遠慮なく手を伸ばしてサンドイッチを頬張った。空腹は最高のご馳走とは言うけれど、しかし美味しすぎた。


 僕が今まで口にしてきたのは、乳母のマリアの作る素朴な料理や、街中の屋台の軽食ばかりだった。もちろんそれはそれで十分美味しいと感じて食べていたけれど、口に入れたサンドイッチの複雑な味わいは思わず唸る味だったんだ。

 今までシンプルな塩胡椒の様な味付けの料理ばかり食べていたので、このマヨネーズの中に少しピリッとするスパイスの効いた凝った料理は、17歳の僕の記憶を容赦なく引き摺り出した。


 ああ、僕はこんな感じの料理を知ってる。初めて食べるはずなのに、僕はにっこり微笑んで口の中のハーモニーを楽しんだ。夢中になって食べていると、ふとアルバートの視線を感じた。

 僕は気まずい思いで顔を上げると、にっこり笑って誤魔化した。

「僕、相当お腹が減っていたみたいです。アルバート様の分まで食べちゃいましたか?」


 アルバートはクスクス笑いながら、空っぽになった僕のお皿に葡萄や焼き菓子を置いた。

「いいや、美味しそうに食べるから見惚れていたんだよ。そうだな、確かに美味しいね。厨房に今度何か差し入れする事にしよう。…サミュエルはあまりこの様な料理は食べたことがないのかな?」

 僕は葡萄を摘みながら言った。

「そうですね。僕はずっと離れで暮らしていたので、乳母の作る素朴な料理や街の屋台の物しか食べた事がなかったんです。あれはアレで美味しいですけど、この様な凝った味わいのものは、舌を楽しませますね?」


 僕はアルバートが口元へ運んでいたカップを途中で止めてしまったのに気がついた。そして同時に僕が言わなくていい事までお喋りしてしまった事にも。
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