土下座で女神に頼まれて仕方なく転生してみた。

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グリンランド王国の陥落と海の幸

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ーー グリンランド王国との揉め事。


グリンランド王国は、問題を抱えていた。
王国が豊かで有るために、傲慢になっていたのだ。
他国との取引や支援要請にも高額な利子や要求をしており、かなり評判が悪かった。
サハラ王国などは、食糧難の際に何度か支援を頼んだがあまりの横暴さに、「飢えてもグリンランド王国の飯は食わない」と言わせたほどだ。


ファーストの泊まっている宿に多くの騎士が取り囲んでいるとの連絡があったのは、ギルマスがギルドに来てすぐのことだった。
「何をしてるんだ、アイツを怒らせるなど。俺は知らんぞ。」
と言うとギルマスはどこかに雲隠れした。

「おい、ここにファーストと言うと客が泊まっておろう。ここに呼んで来い。」
と高飛車な騎士の言葉に、震え上がる宿の主人。
そこにファーストが降りてきて宿の主人に手を挙げると
「俺がファーストだ。お前は誰だ?」
聞いた
「お前だと!生意気な小僧だ、引っ捕えて連れて行け。」
と部下に命じる騎士。
しかしのその後誰1人もその場を動くことができなかった。
ファーストに威圧に耐えられなかったのだ。
先ほどの騎士の意識を回復させると、
「もう一度行ってみろ。」
といえば、騎士は周囲のものが全て気を失っている状況に。
「王国に楯突いて無事に住むと思っているのか。」
と言ってしました。

ファーストはニヤリとして
「今の言葉忘れるなよ。今からその王国に鉄槌を下してやるから。」
と言うとファーストは目を瞑り
「ライジン」
と唱えた。
遠くで大きな雷鳴が轟いた。

そしてファーストは、騎士に
「毎日落としてやるからな。死ぬなよと国王に言っとけ。」
と言うと宿を引き払いその街を去った。


   ギルマスの呟き。


ギルマスはその日、朝から酒を煽っていた。
「くそー。俺があれほど注意しろと書いたのに。馬鹿野郎どもが・・俺もそうだったな。」
と言いながら酒を煽る。

そして遠くで雷の音を聞いた。
「こんな日に雷だ?・・まさか・・センターターク王国のにのまえか。」
と呟くと
「この国はダメかもしれんな」
と独り言を言った。



  森の異変。


ファーストが大物を狩り尽くした森で異変が起きていた。
魔物の分布が大きく変わり出し、それに応じて魔物の大移動が起こり出したのだ。

新しく森の主になった飛竜が、自分の力を誇示するために暴れ出し、調子に乗りすぎて森の外に出てしまったのだ。
森の魔物はドラゴンから逃げるために森から次々に出始め、スタンピード状態になったのだ。

森からで始めた魔物は、だんだんと多くなり本格的なスタンピードになって王都に向かって走り出した。
まるで誰かが操るように。


   グリンランド王国の国王。


「何!スタンピードが発生し王都に向かっていると、しれは本当か。」
国王が報告者を問い詰める
「はい陛下、数万の魔物がここ王都に向けて進行中とのことです。」
と答える報告者。

「それで対策はどうなっておる。」
と言う国王に、そばに居た宰相が
「現在周辺の貴族に応援を命じておりますが、あまりにも突然のことで、対応が間に合いそうにありません。」
と答える、国王は驚きながらも
「高位の冒険者に対応を命じよ。」
と言うと
「それが・・対応できる場所にいた冒険者パーティーが先日の揉め事で・・使い物になりません。」
「それではその男を使え!それほどの男であればどうにかできるであろう。」
と言う国王に
「その者は本当に神につながるもののようで、今回の王国の対応に大変怒っていると聞いております。まず無理かと。」
「何と不敬なやつよ。王命で引っ捕えよ。」
とさらに馬鹿なことを言い出した。


魔物のスタンピードが接近している時にそのようなことが出来る筈もなく、毎日城に落ちる落雷を注意しながら守りを固めていた。

「おい、こう毎日落ちる雷は神の怒りではないのか?」
城を守る兵士の中からこんな話が出回り始めた。
「今度は魔物のスタンピードだろ、もうこの国は終わりかもしれんぞ。」
兵士の不安は確実に現実のものとなりつつあった。
 
◇   とある村。
その頃ファーストはと言うと、小さな村で遊んでいた。
その村には川から流れ込む水が溜まった池があり、そこに鰻がいたのだ。
「鰻じゃないか!」
大喜びで鰻釣りに、また竹様の植物で籠を編むと罠を仕掛けたりして大量の鰻を確保、泥を吐かせた後背開きで白焼きさらに蒲焼にと、鰻丼などを食べて満足していたのだ。


  王都。


王都の住人の元にも「スタンピード」の情報は入り出した。
「ここにいて大丈夫なのか?」
「物凄い数の魔物だそうだ、王都の城壁も危ないのではないか?」
「ドラゴンもいると聞いたぞ、逃げた方がいいぜ。」
どんどん悪い噂に変わり、住民が逃げ始めた。

そんな頃、見張りの塔の兵士が遠くに砂墓栗を巻き上げて、王都に真っ直ぐ向かってくる魔物を見つけたのは。
「来たぞー。」
兵の声が恐怖と不安を含んでいた・・そして
「ドラゴンだー!にげろー。」
に変わるまでにそう時間はかからなかった。


ーー グリンランド王国陥落。

魔物のスタンピードの威力は凄まじかった。
王都まで他の街を襲わなかったこともあり、大群がまとまって王都の城壁にぶち当たった。
火竜のドラゴンは上空から城壁を守る兵士らを黒焦げに変えながら、門もろとも破壊した。
壊れた門から大量の魔物が雪崩れ込み王城へ一直線。
逃げ遅れていた王族を含めた多くの貴族や兵士が、その餌食となりグリンランド王国は陥落したのだ。

隣国の反応はと言うと、直前にグリンランド王国から救援要請があったが、今までのグリンランド王国の傲慢な態度がその要請を受けてもらえなかったのだ。

さらにファーストの怒りを買ったと言う噂が、ちょうどいい言い訳にもなっていたのだ。


ただの瓦礫に変わった王都や王城に今日も落雷が落ちる。魔物がそれを合図の様にグリンランド王国から消え去った。

人々は「神の雷」と信じきり、その後王都跡に街を作る者はなかった。



ーー ファーストのブラリ旅は続く。


鰻を堪能したファースト達は、それから村を中心に回り出した。
貧しい村には大量の魔物の肉を与え、痩せた土地を復活させては自分の好きな穀物を植えさせて回ったのだ。

結果、村村は食糧難や困窮から救われる形となり、ファーストの噂は益々「現人神」的に変わって来たのだったが、当のファーストはそれすらも気にすることなかった。

ソーニャもこの頃になると、魔物を倒してレベルを上げさせるとかなり動ける様になり、冒険者で言えばAランク相当にいつしかなっていた。

ギドラは体長150cm程になっており、自力でぷかぷかと浮いてついてこれる様になっていた。

「次は海に行きたいな。」
ファーストが突然言い出した。
「海って何ですか?」
ソーニャが聞き返す。
「そうか知らないのか、よし行くぞ。」
と言いながら東へと進む一行だった。



ーー 海のある国マリンゴールド王国。


ファースト達が向かった海のある王国がマリンゴールド王国であったが、そこも問題を抱えていた。



~[良いぞ、ここは海の魔物が大きく強くなりすぎた、海に出られなくなった人の子らが海運を利用できないために、発展が遅れておるのじゃ。ここもお前の力頼みじゃ。]   ~

と、この世界を管理する女神は、ファーストの行動が自分の求める結果を引き寄せることの異常さにまだ気づいていながった。


「今日も海に出られんかったな。」
「ああ、大ダコや大イカに最近ではシードラゴンまで出始めたからな。」
漁師達は毎日、海に出られず困っていた。


「ファースト様、そこの茶店で聞いたのですが。何でも今海には大ダコや大イカがでるそうですよ。」
「何!イカにタコだと。よし今日はたこ焼きにイカ焼きだ。」
機嫌が良くなったファーストが先頭で海に向かう。

海に着いたはいいが、誰も恐れて海に出たがらない。
海に出たいファーストは、
「アブソリュート・ゼロ」
と唱える、一瞬にして海が凍りついてゆく。
その凍りついた海を沖に歩き出すファースト。

しばらく進むとあるところで立ち止まった。
「アイス・ランス」
と唱えながら海の中に氷の槍を打ち込み始める。
突然、氷の海を突き破り大イカが飛び出した、その瞬間を捉えてファーストは。
「エアー・カッター」
でイカを切り裂いてゆきそのまま収納した。

さらに進むファースト、また海に槍を打ち下ろす。今度は串刺しになったタコが浮かんできた。
そのままトドメを刺して収納。
「よしこれでいいぞ」
満足したファーストが帰ろうとしたところに、氷の海をぶち破りシードラゴンが躍り出た。
怒りのブレスをファーストに向けて放つシードラゴン。
そのブレスをかき消したファーストは逆に、
「アブソリュート・ゼロ」「グラビティ」
と唱え、氷漬けで身動きのできなくなったシードラゴンに近づくと、大剣を取り出し切り分けながら収納してしまった。

遠くからその姿を見ていた漁師達は
「おい、大ダコや大イカを倒し止まったぞ。」
「それだけじゃねえぞ、シードラゴンまで輪切りにしちまった。」
「恐ろしくつえー。」
と言いながら漁に出られる喜びを感じていたが、凍った海が溶けるにはしばらく時間が必要だった。

実はこの海の魔物の実態は、魚人族が仕掛けた戦いでもあったのだ。
海を自分たちだけが利用できる様にするために、魔物使いの能力がある者に大ダコや大イカを操って漁に出れない様にしていたが。
凍りついた海と無数の氷の槍が、海の底で潜んでいた多くの魚人を突き殺しており、逆に存続の危機に瀕していたのだった。
「女神の怒りに触れたのじゃ。」
生き残った魚人らは、沖合の島に逃げ込むと二度と人前には出てこなくなった。


ーー 海の幸に大いに喜ぶ。


大量だったファーストは、浜辺でイカ焼きタコ焼きをし始めた。
漁に出られない領民も一緒になって大騒ぎだ、ファーストは酒も取り出すと皆で飲み始めた。
「兄ちゃんすげーな。俺たちゃもうダメだと諦めとった。」
と漁師らがファーストを褒めながら、久しぶりのお祭り騒ぎに嬉しそうだった。

そしてファーストが、鉄板を凹まして作り上げたたこ焼き用のプレートを火の上に置くと、タコ焼きを焼き始めたのだ。
「こりゃなんだ?」
漁師達は興味を見せる、
「コイツはな、こうやって焼くとボールの様になるんだよ、これにタレをつけて食うとうめえぞ。」
と言いながら焼き立てのタコ焼きを皆に振る舞い始めた。
この後この海辺からタコ焼きなる食べ物が流行り出すのだが、今はまだ先の話だ。

ファーストはふと浜辺に打ち捨ててあるあるものを見つけた。
「これは昆布にワカメかそれに・・・。」
そう言うとせっせと集めて収納していった。
それを見ていた漁師達は
「何でそんな海草を集めるんだ?」
と不思議そうに声をかかけるのにファーストは
「これを使っての料理は美味んだぞ。知らんのかよ。」
と言いながらいくつかの料理をしてみせたが、特に鍋や味噌汁は好評だった。

「米のうまい食材がどんどん増えていい感じだ。」
ファーストはそう言いながら海の幸を収納し続けるのであった。


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