土下座で女神に頼まれて仕方なく転生してみた。

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スベラート侯爵領

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ーー 病気のパンデミック

異世界と言えども病気は当然存在する、衛生観念が低いこの世界ではちょっとした怪我でも命を落とすことが、珍しくもなく存在するのだ。
当然、ウイルスや細菌という目に見えない物による病気などは、その予防や治療の概念がないため、大流行したり多くの人が命を落とすことになる。

そんな世界で、ペストが発生した。
この世界での呼び名は、「黒死病」と同じ名前で呼ばれており、治療方法はない。

俺はこの病気がで始めた頃に、ウイルスや細菌による致死率の高い病気の治療薬を作成していた。
抗菌薬は既に1万人分を作り終わっていた俺は、国王に対し
「今はやりつつある病気は、世界中に広まり多くの人が死ぬ可能性がある。外からの病人の流入を防ぐのと、可能性にあるものへこの句するを処方するように。」
と薬を提供した。
その後も薬の製造を続けてゼスト王国分に必要な数を揃えることができたので、友好国への薬の製造を続けた。

ペストは6ヶ月で世界中に広がり、薬を手に入れられなかった他国は多いところで人口の三分の一が死亡したところもあった。
友好国への薬の提供は、大きな影響を与えたようでゼスト王国の存在は世界でも大きなものとなった。

その頃軍国主義で他国に攻め入ろうとしていた、エンペラー王国が最も被害が大きく戦争どころか国自体の存亡が危ぶまれている。

この大流行を受けてゼスト王国では、俺の指揮でペスト、天然痘、コレラなどの病気の治療薬の製造と備蓄が本格的に行われることになり、ゼスト王国は「医療の国」という位置づけとなった。

この功績を受け、ゼスト王国は俺に対し領地を贈ることになった。
規模自体は男爵領程度のようだが、出来れば薬の製造や魔物討伐しやすい場所をと考えられたようで、領民自体は少なくものめずらいいものもない領地であった。


ーー 領主邸を作ろう。

ということで、スベラート侯爵領の領主邸の建設が始まった。
この頃家臣と言える正騎士は、30人、見習い騎士が50人さらに文官などが50人ほどになっていた。

そこで領主邸の他に騎士の寮と文官などの寮が、建てられ簡単な街づくりが行われ始めたが、街自体は綺麗な街並みを想定し、初めから上下水道が石畳の下に設置されていたので、今後できる家や商家はすぐにそれらが利用できると考えられる。

当然食料は自給できる必要があったので、畑も肥沃な土を作り農業用水を完備してすぐにでも食料を植え付けることができるようにしている。
そこで入植者を応募したところ、300人の応募に1000人ほどが応募してきたので、急遽畑を5倍ほど広げる作業を行った。
当然商人も出店を申し出る商会が多く、各種3店舗ほどを許可することにした。

商会も俺という者と縁作りをしたいという気持ちが見えてくるようだった。
ただ病気の薬と俺の作る魔道具は、どの商会でも喉から手が出るほど欲しい商品であることは間違いない。


ーー 魔物のスタンピード


センターターク王国の東にある大森林で、魔物が溢れ出した。
ペスト菌で病気のパンデミックが発生し、多くの冒険者が病に倒れた。
そのため森の魔物を討伐する冒険者が著しく減少し、魔物が溢れ出したのだ。
始めはただ数が多いだけだろうと、危機感が好きない状態であったが、密集した魔物達は上位種が誕生しやすく、群れを作る魔物にとって見逃せない数の群れに発展したのだった。

ゴブリンとオークの増加とゴブリンの群れをオークの群れが従えて、さらなる脅威となったのだった。
始めは小物の魔物が森の外に出始めたことから始まった異変は、次第に大型の魔物が近くの村を襲い出して初めて注目されたのだった。
その頃は既に森の中には、手に負えないほどの魔物が溢れていたのだ。
森から四方に溢れ出た魔物は、被害を広げながらペストで弱った国々を襲い始めたのだった。

森の東に溢れた魔物はゼスト王国へ溢れ出した。
直ぐに王国騎士団に出動命令が下る、レベルを上げて自信を持った騎士団の活躍は、同国の魔道師団と共に大いに戦果を上げて、5日ほどでスタンピードを鎮圧してみせた。

しかし他国となるとそうは上手くいっていないようで、大きな損害を受けたりスタンピードがなかなか終わらない状況が見られて、王国の力によって大きく違うようだった。

発生から20日間ほどしてスタンピードが縮小し始め、終わりが見えてきたがそれでもいまだに被害のある王国は存在した。
疫病から魔物の氾濫と未曾有の災害が世界を席巻した今回、以下の事前の準備が大切かをこの世界に生きる人々に教えた形となった。

被害が非常に少なかったゼスト王国は、友好国への支援を行いながら王国内の政に力を注ぎ、さらなる発展を見せるようになった。
これを持ってゼスト王は、ファースト侯爵に何としても永年的な繋がりを持ちたいと考えた。
「ファースト侯爵又はその妹達の婚姻をどうにかできないか?無理じいはするなよ、出来れば我が国に縁故者を作っておきたい。」
という国王の意に沿う形で、連日パーティーへの誘いが来始めた。

その頃ファーストはというと、妹達の貴族としての教養の出来を確認するために、適当にパーティーに参加させていた。
それぞれの教師に評価を依頼し、合格点が貰えるまでの訓練を課していたのだ。

「ファーストお兄様、私はドレスを着てパーティーに出るより、森に魔物狩りに行く方が良いのですが。」
と愚痴るソーニャにファーストは
「これも俺の妹となった務めだ、我慢して一端の淑女になるように。」
と嗜めていた。


家臣達の婚姻。

スベラート侯爵では、家臣となった騎士らが婚姻ラッシュとなっていた。
ファーストや妹達がダメなら、その家臣をと目標が変わったのと、これから先も繁栄が約束された家臣ならばと多くの話がもたらされたようだ。
元々家臣として採用した者は、家を継げない3男や4男が多く、騎士爵を得たことで家を立てる必要ができ、婚姻自体悪い話ではなかった。

ファーストも家臣のために新たに貴族街を建設することになり、侯爵領内に建築ラッシュに伴う経済効果が目に見えた上がってきた。

「侯爵様我等のためにこの様な屋敷を賜りありがとうございます。」
と婚姻をした家臣らに屋敷を与えていた、するとさらに婚姻をする家臣が増えたのはご愛嬌である。
すると侯爵家の家宰を任せるベンジャミンが
「侯爵様、何故そこまで家臣に与えるのですか?」
と聞くので
「昔の言葉でな、「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」というのがあるんだ。その言葉が俺は好きなんだよ。」
と答えてその話はおしまいにした。

合同結婚式。

余りにも家臣団の結婚が重なる様なので、どうせならと合同結婚式を開くことにした。
経費についても会場や食事などは俺が出すことにして、妻になる女性に少しでも良いドレスを買うよ家臣に指示した。
これは花嫁に大変好評で、新居まで与えるのに加えて結婚式もほとんど出してきれるとあって、この際にと駆け込み者も多く現れた。

総勢20組の合同結婚式が始まった。
見届け人は俺、スベラート侯爵である。
ここまでくればと、新婚者には10日の休みを与えた。
この休みを利用してお互いの親族への挨拶や、王都への買い物などを行うものが出始めて、ハネムーン旅行の走り的な感じになった。

ここで俺は、侯爵領に観光施設を作ることを思いついた。
どうせそこまで広くない領地だ、畑以外は領民か家臣しかいないそこで余った土地を利用しようと思い、温泉を掘ることにした。
温泉が出ると、大きな湯船を備えた旅館と食事のできる店、ちょっとした小物を売る出店を道沿いに並べて温泉街の出店通りが完成すると、観光客が押し寄せる様になった。
その理由は、徹底的に女性に特化した店作りをおこなったことが原因かと思われた。

エステ的な施設を温泉宿の併設して、食事も女性が喜びそうなスイーツをメインに品揃えしたのだった。


侯爵領に冬の季節が訪れた。

雪がちらつき始めたが、温泉の温かいお湯を石畳の道の真ん中から両サイドにお湯を流して雪を溶かし、道の横に雪捨ての溝を設けて捨てる様にしたところ、冬の間も馬車の通行が可能となり行き先が限られた観光客が大いに訪れる様になった。

冬でも温かい温泉水が使えるために、各家庭で入浴や手洗いが習慣化され衛生的になった領民が増え、健康管理に役立つことになった。
温泉水の泉質については、三種類があり
・炭酸泉
・単純温泉
・酸性泉
で、温泉施設ではそれぞれの大浴場を備えており、一般家庭ではどれかを選んで引き込んでいる様だ。

豊富な温泉は効能はもとより、蒸し風呂や蒸し料理に使える地熱や蒸気も豊富で、更なる観光客を呼ぶ特徴となっている。

領地の入り口の門を潜ると、立派な石畳が現れる。
そこまで広くない領地を俺は塀で囲んだのだ。
目的の一つに魔物の侵入を防ぐのと、防疫の効果を上げることがある。
今この世界の人々は、パンデミックを起こす病気の原因が目に見えない細菌やウイルスであることを知らない、だからそれを防ぐために出入りの管理を徹底したのだ。

畑には毎年豊かな実りがあり、綺麗な街並みには新しい家族の希望が詰まっている。
若く勢いのある我が侯爵領に足を踏み入れた商会は、例外なく「この街の支店を出させて欲しい」と言ってくる。
それほど住みたくなる領地なのだ。

四季にはそれぞれの理由をつけて祭りを行う。
人は何かストレスを発散するものが欲しいのだ、それは差別でも祭りでもいいのだならば祭りをと考えたのだ。
だから俺の領地には、差別が少ない。
差別をしなければ耐えられない様な辛さが無いからだ。
「幸せ」とは辛さの中で一つだけでも自分が良かったと思うことがあることだ。
だから相手が人でも行事でも良いし、一つより4つの方が要らぬ考えをしないよな。

一般的な家庭の間取りを紹介しよう。
家臣達に与えた家は、基本同じ間取りの家を建てて与えている、ただ家族構成を考えて三種類の間取りがある。
・平家建て~3LDKに納屋が一つに裏庭がある。
・二階建て~3LDKの一階の上に3つの寝室と納屋に裏庭。
・三階建て~1階と3階にLDK水回りが有り、2階は個室が6つ有る。
新婚で二人暮らし又は、片親がいる場合は平屋で十分。
子供が増えて両親が同居の場合は、二階建てで十分。
子供が多く成人した三世代や兄弟と同居しる場合は、三階建てこれで十分。
その為、10年単位で住み替えることも考えて、状態維持の付与魔法が掛けてあるので、いつまで経っても新築みたいなのだ。

商会用の店は、間口を三種類にした。
・最も広い間口の店は、商品と取扱量で一級と認めた店。
・中間の間口は、通常の商品を扱う一般の店。
・最も狭い間口の店は、いわゆる屋台の毛が生えた様な小さな個人の店。

これは店の家格が商品と関係ないことを現しており、努力次第では大店を上回る売り上げを上げることが可能だという可能性を表しているのだ。
若い野心に燃えた商人が集うはずである、少しでも売り上げを伸ばすためにあの手この手と、買い手の関心を買うような工夫をすることで、さらに経済は潤い出すのだ。
しばらくすると「スベラート侯爵領で成功すればどこでも成功できる。」という言葉まで語られ始めたのだ。
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