神と魔力と魔法

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ミカエル王都に行く

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ミカエル王都の学園に編入する


「私が王都の学園にですか?」
「そうだ、娘のカサブランカと共に編入して学んできなさい。」
公爵はそう言うと紹介状を手渡して、
「お前の立場はカサブランカのお付きの従者と言う肩書きだ、後はカサブランカに尋ねなさい。」
と言うとミカエルを下がらせた。

ミカエルはその後カサブランカ嬢に挨拶がてら従者の件と王都留学を尋ねた。
「そうよ。貴方の才能を伸ばすにはここでは役不足だと思うの。だから私の従者として王都の学園に編入して、公爵家の威信を高めて欲しいのだけど。どうかしら?」
「分かりました。お嬢様のお気持ちありがたく受け取らせて貰います。公爵家の威信を落とすことなく努力させて貰います。」
と答えると準備にかかった。


10日後、馬車に乗って王都に向かうミカエルとカサブランカ嬢。
ミカエルが住む王国では、貴族は8歳から学園に通うことになる。
しかし遠方であったり自領に学園がある貴族は、社交をする必要が重要な長子以外は自領で勉強することが多い。
カサブランカ嬢についても末っ子という立場から自領での学習を望んでいたのだが、ミカエルと言う将来が楽しみな存在を公爵家として利用しない手はないことから、カサブランカの提案通り従者として王都に向かうこととなった。

学園に着いた2人は、編入試験を受けてクラス分けになった。
学力的にはトップの成績のミカエルだが、貴族社会の弊害でCクラスとなりカサブランカ嬢はAクラスとなった。

「あらつまらないわね。」
と呟くカサブランカ嬢。

Aクラスは高位貴族の関係者と成績優秀な貴族、Bクラスはその他の貴族、Cクラスは平民や豪商のクラスである。
学園の理念として家柄で差別をしないと謳っているが、今では形骸化してヒエルヒラーが確固たる形で形成されている。

しかしここで困ったことが発生した、ミカエルがあまりにも優秀すぎる為、成績を発表することが難しくなっているのだ。
ミカエルは公爵家からの推薦を受けて入学している為、準貴族の扱いであるが平民に変わりなくそれが成績で高位貴族の子息を抜いて一番では学園の評価に影響すると考えたのである。

よって学園はこれより成績の発表はクラスごとの成績のみを公表することになった。


学園の勉強には、
全員受講
 ・歴史や貴族社会の常識
 ・読み書きと計算
 ・魔法能力(魔力量や操作技術)
 ・身体能力(基礎体力や剣術・体術等)
選択コース
 ・文官コース
 ・領主コース
 ・騎士団コース
 ・魔法師コース
 ・商人コース
 ・薬師コース
 ・魔道具コース
 ・冒険者コース
とかなり細分化されている。

ミカエルが選んだのは
 ・文官、薬師、騎士団、魔道具、冒険者コースの4つであった。
この数は異例とも言える数であったが、次々とこなすミカエルを見て講師達は黙認するしかなかった。


学園長ガリレオールは、
「この学生が貴族の籍を持っていれば如何に出世したか・・・残念なことだ。」
とミカエルの成績を見ながら唸った。

学園の卒業は基本4年間である、成人の12歳まで学園で生活して卒業後はそれぞれの進路に進むのである。
しかし何事にも例外や特別枠があり、高位貴族の子息は社交を重視する観点からさらに2年間の在学が許されている。
人脈作りと家臣の選定である。

そして特に優秀な学生については、短期卒業や飛級が許されている。
ミカエルは編入から1年半で卒業の許可を得たのだが、カサブランカ嬢の従者としての身分を持っていた為、そのまま王都の屋敷で生活することになった。

そこでミカエルは冒険者登録をして冒険者としての活動を行うことにした。
合わせて薬師ギルドや魔道具を扱う魔法ギルドにも加入したのだった。


   冒険者として活動を始めたミカエル


この世界で魔法が使えるのは、ごく僅かな貴族のみと言うのが常識と言われている。
ミカエルが魔法を使えるとなれば、すなわち貴族になると言うことである。
しかしミカエルとしては貴族になるのは今ではないと考えていた。
よって魔法が使えることは秘密として、スキルで扱える錬金・創薬・魔法陣・身体強化のみを公表していたのである。

学園の主席卒業者であるミカエルが冒険者ギルドに登録に来たのは、卒業したその日の午後であった。

受付に向かい
「冒険者登録をお願いします。」
と言いながら1通の封書を差し出す。
冒険者は成人してからの登録が原則であるが、学園の冒険者コースの受講者や特に推薦があるものは10歳から登録ができる。

「貴方少し若いわね、これは推薦状かな?」
と呟きながら受付嬢が封書を開いて様出すがすぐに席を立ち、
「少しお待ちを」
と言い残して奥に姿を消した。


「ギルマス、これを。」
ギルマスの執務室に飛び込んだ受付嬢が封書を差し出すと、ギルマスは中身を確認した後
「今日の試験管は・・・アイツか。良かろう訓練場で試験をして良ければCランクで登録してくれ。」
と言いつけた。

冒険者は、その仕事の難易度から
 下からE、D、C、B、Aランクと別れ、その上は人外と言えるレベルのSランクとされている。
故にCランクからのスタートと言うのは特別なわけである。

暫くして受付嬢から訓練場で試験をすると言われたミカエルが訓練場に向かうと。
そこには歴戦の戦士の様な大男が1人立っていた。
ミカエルを見ると男は、
「お前が学園の卒の御坊ちゃまか」
と嫌味を言いながら、好きな獲物を持って掛かってこい、と言い放った。

ミカエルは木剣を一本掴むとゆっくりと歩きながら身体強化を実施する。
さらに補助魔法で素早さと物理抵抗を上げて試験管に正対した。

「ほら、どこからでも掛かってこいや!」
つまらなさそうにそう言い放つ男に少々イラッときたミカエルは、一瞬で間合に入ると強烈な突きを腹に打ち込んだ。

認識する暇もなく腹を突き上げられた男は、10mほども後ろに飛ばされて胃の中のものを吐き出して苦しんでいた。

「隙がありすぎですよ。子供だと思って油断しすぎですよ。本気を出してくれなければ試験にもなりませんよ。」
と言うミカエルにようやく立ち上がった男は、真っ赤になった顔で睨みつけながら。
「ああそうだな。死ぬ覚悟はしたか?行くぞ!」
と言いながら身体強化をしてスキル5段突きを放った。

目にも止まらぬ速さで間合に入り5段突きを放つ男は、勝利を確信していた。
男のランクはAランクの上級、この辺りでは相手になるものすらいない為少しばかり助長していたのだ。

必殺の5段突きがいとも簡単に空を切る。
「はあ!」
気の抜けた声を出す男に
「これはどうですか?」
と言いながらミカエルが10段突きを放った、突きの数など認識できないが体にはその数がしっかりアザとなって残った。
男は意識を失い仰向けに倒れていた。
そこに様子を見にきていたギルマスが
「そこまで!」
慌てて試験を止めると
「すまない、試験にもこの様なスキルを使うなど本当は禁止しているのだ。如何に強くても最初のランクはCランクが最高ののでCランクで勘弁してくれないか?」
と言えばミカエルは素直に頷いて訓練場を後にした。

ギルマスは倒れている男を見ながら
「コイツにはいい薬になっただろうが、バケモンだなアイツは。」
とミカエルの立ち去った後を見ながら呟いた。

冒険者ギルドで登録を終えたミカエルは、幾つかの依頼を受けてギルドを後にした。

「最初の依頼はやはり薬草採取でしょう。」
ミカエルは前世の記憶に従い薬草依頼を受けて森に向かった。
既に陽は下り始めている、身体強化を使い素早く移動を実施。

森に入るとソナーの改良版サーチを使い目的の薬草を探す。
ものの1時間ほどで目的の採取を終了させたミカエルは、次にゴブリンとホーンラビット討伐に移行する。

ソナーで魔物を探しバインドで動きを止めてサクサクと狩っていくと、2時間もしないうちに
・ホーンラビット  20
・ゴブリン     15
・オーク      5
・グレーウルフ   15
・ホロホロ鳥    5
を狩り冒険者ギルドへ向かった。

夕方のギルド内は、依頼を終えた冒険者が集まっておりガヤガヤとしていたが、その中でも試験管役のAランクの「豪剣のライガ」の二つ名を持つライガが倒されたと言う噂に盛り上がっていた。

「おい聞いたか?ライガが登録に来たのはガキにのされたと言う話。」
「いや俺が聞いたのは、大男に訓練場の端まで飛ばされたと聞いたぞ!」
「俺は、魔法使いの男にやられたと聞いたがな」
事実もあれば荒唐無稽な話も飛び交う中、ミカエルはカウンターに向かい
「依頼の終了報告はどこでするんですか?」
と受付嬢に声をかけた。

受付嬢は昼の女性で直ぐに
「こちらに」
と買取カウンターを案内してくれた。
「ありがとう」
とお礼を言ってミカエルは、買取の男に
「薬草と魔物を狩ってきたどこに出せばいい?」
と聞く。
「薬草はこの上だ、魔物は量によるがお前ならこの台で十分だろ。」
と白けた顔で言うので受付嬢が注意をするのを止めて、台にドーンと魔物の山を出した。

「ヒーッ!」
驚いた男が悲鳴をあげて
「こんな量どうしていっぺんに出すんだお前!」
と文句を言うのを受付嬢は呆れ顔で
「彼はCランクの冒険者で実力は王都一の様ですよ。」
と伝えると、男はギルマスの話を思い出した。

「10歳の子供が冒険者登録したが決して舐めた態度をとるな!殺されても知らんぞ!」
と言っていたのだ。
Aランクのライガが簡単に倒されたと話を聞いていたはずなのに、男は恐々とミカエルを見ながら
「申し訳ありません。魔物は奥の解体場にお願いします。」
と頭を下げた。
ミカエルは魔物を収納し直すと薬草だけをそこに置き奥に向かった。

ギルドの奥は、訓練場と解体場があり多くの魔物が解体されていた。
「どうした坊主、迷ったか?」
1人の男が声をかけた
「魔物持ってきた、どこに出せばいい?」
「あん、収納持ちか。そこで良いぞ。」
と言う男の指示で魔物を出すミカエル。
「どこのパーティーの獲物だ?ほれこれが引き換えの札だ、受付で待っていろ。」
と言われてミカエルはギルド内に戻り食事や酒を飲んでいる食堂の様な場所の一角に腰を下ろした。


直ぐにウエートレスの少女が近づき
「何か注文しますか?」
と言いながらメニューを見せてくれたので、適当に注文をして待つことにした。

すると6人パーティーの男らがギルドに入ってきて、大声で騒ぎながら食堂に移動してきた。
丁度食堂は満席状態、1人でテーブルに座っていたミカエルを見つけ1人の男が
「ここが空いてるぞ!そら、お前は邪魔だどけ!」
と言いながらミカエルを突き飛ばそうと腕を振るった。
「ボキッ」乾いた音が聞こえて直ぐに男が悲鳴をあげながら床をのたうち回り始めた。
身体能力が違いすぎて突き飛ばしたはずの男の腕が反対方向に曲がっていた。
何事かと他の男らもミカエルの周りを囲みながら
「おいガキ!仲間に何したんだ?」
と言いながら1人がミカエルを摘みあげようと手を伸ばす、その手を掴んだミカエルが振り解く様に横に振ると男は紙屑の様に壁まで飛んでいく。

「ああ⁉︎どうなってるんだ!」
他の男が言いながら剣に手をかけた。
「そこまでだ!それ以上手を出せば殺されても文句は言えないぞ!」
声を出した男を見ると試験管役のライガという男だった。
「ライガさん、コイツを知っているんですかい?」
リーダー役の男が尋ねる。
「ああコイツは化け物だ、王都で一番強い男だよ。」
と言うとギルドを後に出て行った。

すると他の冒険者らが、
「アイツがライガを倒した男か!まだ子供じゃねえか。」
「1発でライガがのされたと聞いたが、強いのは間違いない様だ。」
などと聞こえ始め、男らは静かにミカエルのそばを離れた。


注文の品が届いたミカエルはそれを食べて待っていると
「19番さんカウンターまで」
と言う声が聞こえたのでミカエルが買取カウンターまで向かうと
「これが買取の金額です。金貨3枚と銀貨17枚です確認してください。」
と初めと打って変わった丁寧な対応に
「ありがとう」
と答えてお金を収納するミカエル。

ギルドを出るとミカエルは公爵家の王と屋敷へと足を向けた。
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