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20 戦後処理②
しおりを挟むさて、他の子たちは何をしているかな?そう思い襲撃地点を改めて確認する。
そこには、そのままその周辺を食べ進む蟲(キャピター)達と粘液(スライム)達、襲撃者の死体の周りに佇む子達に分かれていた。
「何しているんだ?」
ただの呟きのつもりだったのだが、どうやら相手に繋がっていたらしい。何か猛烈なアピールが返ってきた。
「キシ!キシ!」
「……へ!」
やはり、何を言っているか分からない。けど何となく言いたいことが分かるような?
「食べたいのか?」
まるで、「その通り!」とでも言いたげな返事が返ってきた。そんなに欲しいならこちらとしても問題ない。このまま報酬としようか。
「構わないよ。君たちが仕留めた獲物だ、これからも俺が止めたもの以外は好きにしていいよ」
よっしゃー!と言わんばかりに、遺体に群がっていった。
……これが報酬でいいのかとも思うが、当面の報酬はこれでいいか? ま、まぁ納得しているみたいだし良いか。後は……
「コアさん、全魔物に通達をお願い。このラインより上には進まないように、と」
~ 承知しました ~
今回、地表より少し上10m辺りで襲撃を受けた、ちょうど領域が他者の領域に接触した近くだ。これより上は危険地帯と判断した。なので、地表をボーダーラインとしてそれ以上上に行かないように通達してもらった。
相手は領域の上からやってきた。つまり、朽ちているだろう世界樹の中からこちらに来たことになる。おそらくだが、世界樹に寄生していた何かが毒耐性を習得した奴だろう。本来なら入り込めない、弱った部分などに入り込めたとしても、すぐに世界樹のお友達さん方に排除されているところを、どっかのアホどものせいで生き残ったんだろうな~。しかもそいつらは世界樹さんを食っているはず、何もないはずがない。ステータス補正が無かったから、樹液は食ってないのかな?それでも、木だけ食べていたとしても成長が早いことは、うちの子たちで確認済みだ。数も一体とは限らない、1匹見たら100匹はいるって格言もあるからな。何体いるか想像も出来ん。
そんなことを考えている内に通達が終了したのか、地表より上に居た子たちが戻ってきた。肉食の子たちは襲撃者の遺体を持って戻ってきている。てか、いつの間にか蟻達が集まって小分けにして一緒になって運び込んでいた。君達そつがないね、ほんと優秀だわ。
さて、この後はどうするか……。
(プルプル)
毒の排除については……もう蟻達に任せても良さそうだな、数もそろってきたし、なにも無ければ世界樹さんと接触している部分との切り離しは近々終わりそうだ。粘液達も分裂で順調に増えていっている。まあ、そのおかげで世界樹の樹液を吸収しているにも関わらず、進化した個体がいないんだけどね。それに、レベルが上がれば進化できるわけでもないみたいなのだ。数匹分裂しないでレベルMaxまで成るように言った子たちがいたが、進化しなかったのだ。理由は分からないが、それ以来粘液達の成長は自然に任せるようしている。
(……パ)
となると残りは戦力の強化か……と言ってもな~、粘液達は進化の条件が分からないし、周りには毒のせいで生物は居ないから、他の子たちは狩りにも出せない。あいつら ベテルボロ・ラッチ は倒せなくはないけど確実じゃない。レベルにもよるし、毎回1体だけと戦えるとも限らない。あれは、運が良かったのと指揮が的確だったからだ。当てにする訳にはいかない。
(パパ~)
粘液達みたいに世界樹の樹液が取り込めたら成長が早いんだけど、死毒がな~、分離できないだろうか?ちょっと聞いてみるか。
でも、そうなると粘液達の食料が不足するか? ……そうだな、分離できるのならば粘液達に樹液に代わる食料を提供できれば解決するな。目途もたったし時間もDPも余裕がある、これはもう職場環境の改善にDPを使っても問題ない時期に入ったか?その方が作業効率も良くなるだろう。臨時収入もあったことだし、今まで【創造】したやつで良さげなものを……。
(パ~パ~!!)
「うぼ!?」
突然背後から何かが飛びついてきた。何事!?
(うへへ~、パパ~♪)
え~と? どちら様で?
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