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154 熱烈歓迎! ようこそ世界樹の迷宮へ!
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「では、行くぞ!」
「ハイ!」
先ずはセスティア様と、一度訪問しているという事で、私も一緒に竜王様の到着を伝えに先行する。
向こうは既に、此方を補足しているとは思うけどね。竜王様が面白そうに、視線をあちこちに向けているのを見るに、その方向に何かが居るのでしょう……全然分からなけど、こっちの事見ているんでしょうね~。
全力でセスティア様の後を追いかける。此方の速度に合わせて、ゆっくり飛んでくれているんでしょうけど、全く追いつけない。飛竜にしても速過ぎる。竜王様、普段一体どんな鍛え方してるのよ。
「う~む。素材は…石か? 頑丈そうではあるな」
「そう、です…ね!」
石か~。素材はともかく、迷宮と同じで相当頑丈に出来ているでしょうし、壊れる心配はしなくても良さそうね。
「ん? 止まれ!」
「はー…はー…、何かありましたか?」
セスティア様が、怪訝な顔をしながら周囲を警戒する。私には分からないけど、何かが居るのかしら?
「……居るな、姿を現せ!」
(う~ん、見つかっちゃった!!)
<念話>が飛んでくる。周囲の空間から響いてくる様な、不思議な感覚だ。
辺りを見回しても、その姿を捕らえる事ができない。ここは空中だ、視界を遮るものなどなく、あると言ったら雲くらいのモノ…ん? あの雲、変じゃない?
周りにある小さな雲が寄り集まり、どんどん大きくなっていく。さらに周囲は、まるで雲の中にでも入ったかのように、視界が悪くなる。これは霧? 雲? いや違う!?
私達の脇を通り抜け、目に前に霧が集まって行く。その流れに乗って、小さな雲のような塊も集まって行く。
真っ白な、それこそまるで雲のような魔物が現れた。本ッ当―に、此処の魔物の隠密性、高すぎないかしら?
「ハロー! いらっしゃーい!」
(((いらっしゃーい)))
「ん? おぉ! 確か雲粘液だったか?」
(((こんにちわ~)))
どうやら、周りにいる小さい方の魔物は雲粘液と言うらしい。多分プルと同じ粘液族の魔物でしょうね。
そして中央に居る他よりも大きめな魔物、こいつヤバイ。アンコ殿みたいに、見ても意識できない訳じゃ無いけど、目の前に居るのに全然気配が掴めない。そもそも、さっきの動きからして、これが本体かも怪しい。
「僕はフワフワだよー、よろしくねー」
フワフワ、ネームドモンスター! クロス殿やコクガ殿達と同じレベルの存在か。
……ック! 存在感を捕らえられなくて、どれだけ強いか全くわからない! ある意味これも、脅しの一種ね。何が飛び出すか分かったもんじゃ無いわ。
「もう皆着いたの?」
「うむ! もう見えるはずだ!」
「ん~~~? あぁ、あれかー、もうすぐじゃん! 急がせろ!」
(((あいあいさー!!)))
フワフワの掛け声に、調子のよい掛け声で答える雲粘液。
……あれ? 行動している個体が見当たらないのだけど? <念話>で話している様子も見当たらないし…。
これ、相当<隠蔽>関係の技能が高いか、私達が知らない方法で、情報のやり取りができるか…か、ダンジョンの能力かな?
「早く着き過ぎたか?」
「さぁ? 僕知らな~い。でも、いつも通りなら、一部の奴らが暴走してるんだと思うよ?」
…なんか、彼等の熱気とサービス精神を鑑みると、容易に想像できてしまった。
(あ! ぬっしーからの、伝言―)
雲粘液の一匹から、念話が飛んでくる。ぬっしー? 主? あぁ、ダンマスからか。流石に気が付くわよね。
(『俺では止められなかった。善意が暴走しているだけだから、許して下さい』…だって)
おいダンマス! あんたここのトップでしょう!? 何で制御できてないのよ。
普通のダンジョンだと、迷宮主の命令は絶対のはずなんだけど…制御できてないとか、忠誠心とか足りないんじゃ無いの?
―――
あれからすぐに、私達は竜王様たちの元へと戻った。着いてからのお楽しみと言う事で、早々に追い出されてしまった為だ。
戻ってきた私達に、怪訝な顔をする竜王様に、事の成り行きを伝える。
「へー、準備ね。どんな出迎えをしてくれるのかな?」
う~ん、こんな一目見てわくわくしている竜王様なんて、初めて見たわ。
先ほどの顔は、何かしらのトラブルが起きて、ダンジョンから追い出されたとでも思ったのでしょう。今は、安堵も相まって上機嫌だ。
そのまま飛び続け、ダンジョンの領域に入る。
フワフワ殿は……もう居ないみたいね。居たとしても見つけられないでしょうけど。
……特に監視される様な視線も、覗かれる様な感覚も無い。警戒されている雰囲気をまるで感じないわね。信用しているのか、無警戒なのか…私が気付けていないだけなのか。
はぁ……情報が無い事が、これ程恐ろしい事だとは思わなかったわ。取れる行動が限られるし、下手に動けば糞虫と同じ目に合うでしょうね。
周りの真面な方達も、周囲を警戒しているけど、多分無駄なんじゃないかしらね~。
「……」
なんせ、依り代…いや、もう分身と言ったほうがいいか。分身とは言え、竜王様までちょっと警戒しているもの。
そうこうしている内に、目的地の円柱に到着する。遠見からでも見つける事ができただけに、かなりの大きさだ。
「我が来た時には、こんな広場はありませんでした」
「へー、つまり一晩で用意したって事かい、流石はダンジョンだね。それに、シンプルで中々良いじゃ無いか。イメージは花かな?」
頂上付近は花の蕾の様な形をしており、中央の広場と、その周りを包み込むような形状をしていた。意図的だろうか、花びらに当たる部分の先端は、ご丁寧に平らに均されている…半径5m程度と言ったところか。あそこ、座れそうね。
同じことを思ったのか、各々適当な場所に着地する。私は~…竜王様からちょっと離れた場所に…
「シスタ。ここ空いているよ」
「……はい」
行けなかった。何で!? 竜王様が私を呼ぶ理由が分からないんですけど!?
周りの連中が浮かべる、ほっとした表情がすげームカつく!!
「竜王様、私達もご一緒してもよろしいでしょうか?」
「私も~」
「良いよ良いよ。好きにしなさい」
シスタとテレが付いて来てくれた。持つべきものは、使えない上司じゃ無くて親友ね!
「誰も居ないじゃ無いか」
「怖気付いたか?」
辺りを見ても生き物の姿は確認できない。もしかして、ここでは無かったのかと思ったその時―――
― ドン! ドン! ドン! -
鳴り響く炸裂音。
音のした方…上空を見れば、キラキラと虹色の輝きを発する何かが円形に展開し、炎の渦が蔓の様に立ち昇る。
広場の方から何かが動く気配を感じ、その方向を見れば、光の反射でようやく分かるほど細い糸が蠢き、絡み合い、長方形の形をとる。
それは、何かに引っ張られるように上へと引き揚げられ、私達の眼前へと曝された。
― @@@@@@ 竜の谷ご一行様 @@@@@@ ―
― 熱烈歓迎! ようこそ世界樹の迷宮へ! ―
― @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ ―
横断…幕?
「ブッハハハハハハ!!」
竜王様の笑い声が響き渡った。
「やったー、受けたーーー!」
「練習した甲斐があったね~」
「…<物質操作>は優良スキル、全員覚えるべき」
どうやらこの会場は、至る所に通路が存在している様で、こんなに居たのかと思う程、ワラワラと穴から魔物が現れる。
一番多いのは、やっぱりタラントね。糸の時点で予想はしてたわ。
だが思いの外、多種多様な魔物が見て取れる。
前見た時には、これほど多くの種族は、それもこれだけの存在感を持った者は居なかったはず……成長している。それも、この短期間に。
「あ~…こんなに笑ったのは、何時ぶりだろうね」
まぁ、竜王様がこの調子なら、敵対したりはしないでしょう。
ここの連中のノリも、この一件で分かって貰えたと思うし、敵対するよりも友好関係を結んだ方が遥かに良いのも、彼等からの土産から分かるはずだ。
始めは何が起こったのか分からなかった者も、理解が追いついたのか、竜王様の態度も有って、緊張が大分薄れてきた。
突然の事だったけど、大分和やかな雰囲気になってきた。この調子なら、今回の訪問は何事も無く済みそうね。後はダンマスさえ現れれば、彼がどうとでもーーー
「ふざけるなーーー!!!」
そんな中、場違いな怒号が響き渡る。
誰かと思い振り向くと、そこには殺気を全く隠す気のない、ゴドバルトの姿が在った。
「どれだけ我々を馬鹿にすれば気が済むのだ! 下等生物共が!!」
あ˝―――!!!??? 何を口走っとるんじゃ、こいつはーーー!!??
ずんずんと広場へと進んでいき、ダンジョンの魔物達の前まで進む糞虫二号。ちょ、待って? 何する気? まさか!?
何か失礼なことをしただろうかと、ひそひそと話し合う魔物たちに向かって、その腕を振り上げる。
止めてー!! 竜王様の機嫌がー!? 友好関係がー!? 私の平穏がー!!??
そんな私の思いとは裏腹に、その凶刃が振り下ろされようかとする、正にその時
― ゴォォォォォォ!!!! -
世界樹がある方向から、轟音が響いてくる。音を聞いてか、糞虫二号の動きが止まった。
その方向を見れば、高速でこちらに接近してくる影が一つ。あ…あれは!
その影は、広場まで全く減速することなく突き進み、丁度糞虫二号と魔者達との間に突っ込む。その衝撃により、巨大な土煙が舞う。
それを嫌ってか、糞虫二号は後ろへ飛び跳ね、距離を取る。
「えっと、もしかしてですが、歓迎がお気に召しませんでしたか?」
煙が晴れると、白黒の光沢を放つ特徴的な鱗をした、すらりと伸びる手足と尾が視界に入る。決して大きくはない、けれど周囲に良く通る、透き通る様な凛とした声が周囲に響く。
ルナちゃーん!! あぁもう、可愛いな~!!
「ハイ!」
先ずはセスティア様と、一度訪問しているという事で、私も一緒に竜王様の到着を伝えに先行する。
向こうは既に、此方を補足しているとは思うけどね。竜王様が面白そうに、視線をあちこちに向けているのを見るに、その方向に何かが居るのでしょう……全然分からなけど、こっちの事見ているんでしょうね~。
全力でセスティア様の後を追いかける。此方の速度に合わせて、ゆっくり飛んでくれているんでしょうけど、全く追いつけない。飛竜にしても速過ぎる。竜王様、普段一体どんな鍛え方してるのよ。
「う~む。素材は…石か? 頑丈そうではあるな」
「そう、です…ね!」
石か~。素材はともかく、迷宮と同じで相当頑丈に出来ているでしょうし、壊れる心配はしなくても良さそうね。
「ん? 止まれ!」
「はー…はー…、何かありましたか?」
セスティア様が、怪訝な顔をしながら周囲を警戒する。私には分からないけど、何かが居るのかしら?
「……居るな、姿を現せ!」
(う~ん、見つかっちゃった!!)
<念話>が飛んでくる。周囲の空間から響いてくる様な、不思議な感覚だ。
辺りを見回しても、その姿を捕らえる事ができない。ここは空中だ、視界を遮るものなどなく、あると言ったら雲くらいのモノ…ん? あの雲、変じゃない?
周りにある小さな雲が寄り集まり、どんどん大きくなっていく。さらに周囲は、まるで雲の中にでも入ったかのように、視界が悪くなる。これは霧? 雲? いや違う!?
私達の脇を通り抜け、目に前に霧が集まって行く。その流れに乗って、小さな雲のような塊も集まって行く。
真っ白な、それこそまるで雲のような魔物が現れた。本ッ当―に、此処の魔物の隠密性、高すぎないかしら?
「ハロー! いらっしゃーい!」
(((いらっしゃーい)))
「ん? おぉ! 確か雲粘液だったか?」
(((こんにちわ~)))
どうやら、周りにいる小さい方の魔物は雲粘液と言うらしい。多分プルと同じ粘液族の魔物でしょうね。
そして中央に居る他よりも大きめな魔物、こいつヤバイ。アンコ殿みたいに、見ても意識できない訳じゃ無いけど、目の前に居るのに全然気配が掴めない。そもそも、さっきの動きからして、これが本体かも怪しい。
「僕はフワフワだよー、よろしくねー」
フワフワ、ネームドモンスター! クロス殿やコクガ殿達と同じレベルの存在か。
……ック! 存在感を捕らえられなくて、どれだけ強いか全くわからない! ある意味これも、脅しの一種ね。何が飛び出すか分かったもんじゃ無いわ。
「もう皆着いたの?」
「うむ! もう見えるはずだ!」
「ん~~~? あぁ、あれかー、もうすぐじゃん! 急がせろ!」
(((あいあいさー!!)))
フワフワの掛け声に、調子のよい掛け声で答える雲粘液。
……あれ? 行動している個体が見当たらないのだけど? <念話>で話している様子も見当たらないし…。
これ、相当<隠蔽>関係の技能が高いか、私達が知らない方法で、情報のやり取りができるか…か、ダンジョンの能力かな?
「早く着き過ぎたか?」
「さぁ? 僕知らな~い。でも、いつも通りなら、一部の奴らが暴走してるんだと思うよ?」
…なんか、彼等の熱気とサービス精神を鑑みると、容易に想像できてしまった。
(あ! ぬっしーからの、伝言―)
雲粘液の一匹から、念話が飛んでくる。ぬっしー? 主? あぁ、ダンマスからか。流石に気が付くわよね。
(『俺では止められなかった。善意が暴走しているだけだから、許して下さい』…だって)
おいダンマス! あんたここのトップでしょう!? 何で制御できてないのよ。
普通のダンジョンだと、迷宮主の命令は絶対のはずなんだけど…制御できてないとか、忠誠心とか足りないんじゃ無いの?
―――
あれからすぐに、私達は竜王様たちの元へと戻った。着いてからのお楽しみと言う事で、早々に追い出されてしまった為だ。
戻ってきた私達に、怪訝な顔をする竜王様に、事の成り行きを伝える。
「へー、準備ね。どんな出迎えをしてくれるのかな?」
う~ん、こんな一目見てわくわくしている竜王様なんて、初めて見たわ。
先ほどの顔は、何かしらのトラブルが起きて、ダンジョンから追い出されたとでも思ったのでしょう。今は、安堵も相まって上機嫌だ。
そのまま飛び続け、ダンジョンの領域に入る。
フワフワ殿は……もう居ないみたいね。居たとしても見つけられないでしょうけど。
……特に監視される様な視線も、覗かれる様な感覚も無い。警戒されている雰囲気をまるで感じないわね。信用しているのか、無警戒なのか…私が気付けていないだけなのか。
はぁ……情報が無い事が、これ程恐ろしい事だとは思わなかったわ。取れる行動が限られるし、下手に動けば糞虫と同じ目に合うでしょうね。
周りの真面な方達も、周囲を警戒しているけど、多分無駄なんじゃないかしらね~。
「……」
なんせ、依り代…いや、もう分身と言ったほうがいいか。分身とは言え、竜王様までちょっと警戒しているもの。
そうこうしている内に、目的地の円柱に到着する。遠見からでも見つける事ができただけに、かなりの大きさだ。
「我が来た時には、こんな広場はありませんでした」
「へー、つまり一晩で用意したって事かい、流石はダンジョンだね。それに、シンプルで中々良いじゃ無いか。イメージは花かな?」
頂上付近は花の蕾の様な形をしており、中央の広場と、その周りを包み込むような形状をしていた。意図的だろうか、花びらに当たる部分の先端は、ご丁寧に平らに均されている…半径5m程度と言ったところか。あそこ、座れそうね。
同じことを思ったのか、各々適当な場所に着地する。私は~…竜王様からちょっと離れた場所に…
「シスタ。ここ空いているよ」
「……はい」
行けなかった。何で!? 竜王様が私を呼ぶ理由が分からないんですけど!?
周りの連中が浮かべる、ほっとした表情がすげームカつく!!
「竜王様、私達もご一緒してもよろしいでしょうか?」
「私も~」
「良いよ良いよ。好きにしなさい」
シスタとテレが付いて来てくれた。持つべきものは、使えない上司じゃ無くて親友ね!
「誰も居ないじゃ無いか」
「怖気付いたか?」
辺りを見ても生き物の姿は確認できない。もしかして、ここでは無かったのかと思ったその時―――
― ドン! ドン! ドン! -
鳴り響く炸裂音。
音のした方…上空を見れば、キラキラと虹色の輝きを発する何かが円形に展開し、炎の渦が蔓の様に立ち昇る。
広場の方から何かが動く気配を感じ、その方向を見れば、光の反射でようやく分かるほど細い糸が蠢き、絡み合い、長方形の形をとる。
それは、何かに引っ張られるように上へと引き揚げられ、私達の眼前へと曝された。
― @@@@@@ 竜の谷ご一行様 @@@@@@ ―
― 熱烈歓迎! ようこそ世界樹の迷宮へ! ―
― @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ ―
横断…幕?
「ブッハハハハハハ!!」
竜王様の笑い声が響き渡った。
「やったー、受けたーーー!」
「練習した甲斐があったね~」
「…<物質操作>は優良スキル、全員覚えるべき」
どうやらこの会場は、至る所に通路が存在している様で、こんなに居たのかと思う程、ワラワラと穴から魔物が現れる。
一番多いのは、やっぱりタラントね。糸の時点で予想はしてたわ。
だが思いの外、多種多様な魔物が見て取れる。
前見た時には、これほど多くの種族は、それもこれだけの存在感を持った者は居なかったはず……成長している。それも、この短期間に。
「あ~…こんなに笑ったのは、何時ぶりだろうね」
まぁ、竜王様がこの調子なら、敵対したりはしないでしょう。
ここの連中のノリも、この一件で分かって貰えたと思うし、敵対するよりも友好関係を結んだ方が遥かに良いのも、彼等からの土産から分かるはずだ。
始めは何が起こったのか分からなかった者も、理解が追いついたのか、竜王様の態度も有って、緊張が大分薄れてきた。
突然の事だったけど、大分和やかな雰囲気になってきた。この調子なら、今回の訪問は何事も無く済みそうね。後はダンマスさえ現れれば、彼がどうとでもーーー
「ふざけるなーーー!!!」
そんな中、場違いな怒号が響き渡る。
誰かと思い振り向くと、そこには殺気を全く隠す気のない、ゴドバルトの姿が在った。
「どれだけ我々を馬鹿にすれば気が済むのだ! 下等生物共が!!」
あ˝―――!!!??? 何を口走っとるんじゃ、こいつはーーー!!??
ずんずんと広場へと進んでいき、ダンジョンの魔物達の前まで進む糞虫二号。ちょ、待って? 何する気? まさか!?
何か失礼なことをしただろうかと、ひそひそと話し合う魔物たちに向かって、その腕を振り上げる。
止めてー!! 竜王様の機嫌がー!? 友好関係がー!? 私の平穏がー!!??
そんな私の思いとは裏腹に、その凶刃が振り下ろされようかとする、正にその時
― ゴォォォォォォ!!!! -
世界樹がある方向から、轟音が響いてくる。音を聞いてか、糞虫二号の動きが止まった。
その方向を見れば、高速でこちらに接近してくる影が一つ。あ…あれは!
その影は、広場まで全く減速することなく突き進み、丁度糞虫二号と魔者達との間に突っ込む。その衝撃により、巨大な土煙が舞う。
それを嫌ってか、糞虫二号は後ろへ飛び跳ね、距離を取る。
「えっと、もしかしてですが、歓迎がお気に召しませんでしたか?」
煙が晴れると、白黒の光沢を放つ特徴的な鱗をした、すらりと伸びる手足と尾が視界に入る。決して大きくはない、けれど周囲に良く通る、透き通る様な凛とした声が周囲に響く。
ルナちゃーん!! あぁもう、可愛いな~!!
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