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第十話 婚約者候補
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ノルデン王国の結界が壊れてから一週間。
ついに王宮の中にあったいくつもの魔力が消えた。
きっとノルデン王国が滅びたのだ。
それから数日間、魔獣がシニストラ王国の結界を壊そうとしていた。
でも、ヒビを入れるどころか、ダメージを受けたから帰っていったみたい。
まあ、ダメージを受けったっていってもぶつかった衝撃で打撲したってだけだと思うけど。
それでも、どこか遠くに行ってくれたのは安心した。
そして、魔獣の危機が消えたことで聖女には休みが交代でまた与えられるようになった。
誰が最初にもらうかを話し合った結果、私が最初に休みをもらうことに決まった。
宿『月の石』の部屋で伸びをしていると、ドアがノックされた。
誰だろう?
そう思いながら「はーい」と答えると、王妃様が入ってきた。
「ああいたわ。ソフィアさん、今日休みと聞いたのだけど、暇かしら?」
「特に予定はありませんね……」
「それじゃあ、会わせたい人がいるの。今からいいかしら?」
「はい!」
婚約者候補と会えるんだ。
実は楽しみにしていたから、嬉しい。
王妃様と一緒に宿から出て、王宮に向かった。
王妃様がいうには王宮の客間で待ってもらっているらしい。
早く会いたいな、なんて考えながら、窓の外を眺めた。
王宮につき、王妃様と一緒に客間に向かう。
王妃様がドアを開けて中に入っていったので、私もあとを追う。
部屋の中には一人のかっこいい人がいた。
その人は私の方を見ると微笑んでくれた。
「ソフィアさん、こんにちは。俺はレインといいます」
「彼は第三王子レイン・シニストラ。私の息子よ。レインったら、ソフィアさんの話をしたら興味を持ったみたいでね、『紹介して』って私にいったのよ」
「ちょっと、お母さま。なんでいっちゃうんですか」
「ふふふ、面白いからよ」
まさか王子様を紹介されるとは思わなかった。
しかも私に興味を持ってくれただなんて……。
「レイン様、はじめまして。ソフィアといいます。興味を持っていただきとても光栄です」
「ソフィアさん、そんなにかしこまらなくていいよ」
「ですが……」
王子様に普段通りの話し方をしてもいいのだろうか?
さすがに失礼な気がするんだけど……。
「ふふふ、ソフィアさん。本当にかしこまらなくていいのよ。それで、レインはどうかしら?」
「ちょっとお母さま!?」
仲がいい家族なんだなぁ。
「どうといいますと……。そうですね、第一印象はかっこいい人だなって感じですかね……」
「えっ!」
ん?
レイン様の顔が一気に赤くなった。
しかもそれを見て王妃様は笑い出した。
私なにか変なことをいっちゃったのだろうか?
「あはは、ごめんなさいね。レインの反応が面白くって。どう、ソフィアさん? レインの婚約者にならない?」
「はい! 私で良ければぜひ」
私がそう答えると、レイン様が一気に笑顔になった。
さっきからコロコロ表情が変わってかわいらしいって思ってしまったのはレイン様に秘密だ。
「ソフィアさん。本当に俺でいいんですか?」
「はい、レイン様すごいいい人って感じがしますし、一緒にいたら楽しそうだなと思いましたので」
「ありがとうございます。ソフィアさんを幸せにできるように俺、頑張りますね」
「はい、よろしくおねがいします」
こんなにいい人が私の婚約者でいいんだろうか。
レイン様につりあうように私ももっと頑張らないと。
「ソフィアさん。レインのことよろしくね。この子頭はいいんだけど女性経験がない恥ずかしがり屋だから、何かあったら気軽に私に相談してちょうだいね」
「はい、わかりました」
「えっと、お母さま。最初ぐらいかっこつけたかったんですが」
「かっこつけたところですぐに崩れるなら最初から素でいっていいのよ」
「ですが……」
レイン様、今度はしゅんってなった。
この人見てるだけで飽きないなぁ、なんて私は思った。
それに、かっこつけていないレイン様もいいと思うけど……。
あっ、これをそのまま伝えればいいかな。
「素のレイン様も素敵だと思いますよ」
「あっ、ありがとう」
レイン様耳まで真っ赤になっちゃった。
でも、嬉しそうだしいっか。
「ソフィアさん、その、もしよろしければこの後時間ありますか?」
「はい、今日は休みなので時間ありますよ」
「じゃあ、一緒にお出かけしませんか?」
もしかしてデートのお誘い!?
うそ! 初めて!
「はい! もちろん」
「よかった。じゃあ、行きましょうか」
「はい!」
レイン様が差し出してくれた手を握る。
「二人とも、いってらっしゃい」
王妃様にお礼を告げ、レイン様と部屋からでた。
ついに王宮の中にあったいくつもの魔力が消えた。
きっとノルデン王国が滅びたのだ。
それから数日間、魔獣がシニストラ王国の結界を壊そうとしていた。
でも、ヒビを入れるどころか、ダメージを受けたから帰っていったみたい。
まあ、ダメージを受けったっていってもぶつかった衝撃で打撲したってだけだと思うけど。
それでも、どこか遠くに行ってくれたのは安心した。
そして、魔獣の危機が消えたことで聖女には休みが交代でまた与えられるようになった。
誰が最初にもらうかを話し合った結果、私が最初に休みをもらうことに決まった。
宿『月の石』の部屋で伸びをしていると、ドアがノックされた。
誰だろう?
そう思いながら「はーい」と答えると、王妃様が入ってきた。
「ああいたわ。ソフィアさん、今日休みと聞いたのだけど、暇かしら?」
「特に予定はありませんね……」
「それじゃあ、会わせたい人がいるの。今からいいかしら?」
「はい!」
婚約者候補と会えるんだ。
実は楽しみにしていたから、嬉しい。
王妃様と一緒に宿から出て、王宮に向かった。
王妃様がいうには王宮の客間で待ってもらっているらしい。
早く会いたいな、なんて考えながら、窓の外を眺めた。
王宮につき、王妃様と一緒に客間に向かう。
王妃様がドアを開けて中に入っていったので、私もあとを追う。
部屋の中には一人のかっこいい人がいた。
その人は私の方を見ると微笑んでくれた。
「ソフィアさん、こんにちは。俺はレインといいます」
「彼は第三王子レイン・シニストラ。私の息子よ。レインったら、ソフィアさんの話をしたら興味を持ったみたいでね、『紹介して』って私にいったのよ」
「ちょっと、お母さま。なんでいっちゃうんですか」
「ふふふ、面白いからよ」
まさか王子様を紹介されるとは思わなかった。
しかも私に興味を持ってくれただなんて……。
「レイン様、はじめまして。ソフィアといいます。興味を持っていただきとても光栄です」
「ソフィアさん、そんなにかしこまらなくていいよ」
「ですが……」
王子様に普段通りの話し方をしてもいいのだろうか?
さすがに失礼な気がするんだけど……。
「ふふふ、ソフィアさん。本当にかしこまらなくていいのよ。それで、レインはどうかしら?」
「ちょっとお母さま!?」
仲がいい家族なんだなぁ。
「どうといいますと……。そうですね、第一印象はかっこいい人だなって感じですかね……」
「えっ!」
ん?
レイン様の顔が一気に赤くなった。
しかもそれを見て王妃様は笑い出した。
私なにか変なことをいっちゃったのだろうか?
「あはは、ごめんなさいね。レインの反応が面白くって。どう、ソフィアさん? レインの婚約者にならない?」
「はい! 私で良ければぜひ」
私がそう答えると、レイン様が一気に笑顔になった。
さっきからコロコロ表情が変わってかわいらしいって思ってしまったのはレイン様に秘密だ。
「ソフィアさん。本当に俺でいいんですか?」
「はい、レイン様すごいいい人って感じがしますし、一緒にいたら楽しそうだなと思いましたので」
「ありがとうございます。ソフィアさんを幸せにできるように俺、頑張りますね」
「はい、よろしくおねがいします」
こんなにいい人が私の婚約者でいいんだろうか。
レイン様につりあうように私ももっと頑張らないと。
「ソフィアさん。レインのことよろしくね。この子頭はいいんだけど女性経験がない恥ずかしがり屋だから、何かあったら気軽に私に相談してちょうだいね」
「はい、わかりました」
「えっと、お母さま。最初ぐらいかっこつけたかったんですが」
「かっこつけたところですぐに崩れるなら最初から素でいっていいのよ」
「ですが……」
レイン様、今度はしゅんってなった。
この人見てるだけで飽きないなぁ、なんて私は思った。
それに、かっこつけていないレイン様もいいと思うけど……。
あっ、これをそのまま伝えればいいかな。
「素のレイン様も素敵だと思いますよ」
「あっ、ありがとう」
レイン様耳まで真っ赤になっちゃった。
でも、嬉しそうだしいっか。
「ソフィアさん、その、もしよろしければこの後時間ありますか?」
「はい、今日は休みなので時間ありますよ」
「じゃあ、一緒にお出かけしませんか?」
もしかしてデートのお誘い!?
うそ! 初めて!
「はい! もちろん」
「よかった。じゃあ、行きましょうか」
「はい!」
レイン様が差し出してくれた手を握る。
「二人とも、いってらっしゃい」
王妃様にお礼を告げ、レイン様と部屋からでた。
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