6 / 11
可愛い僕の婚約者さま
さようなら、私の初恋の人
しおりを挟む
*****
手渡された紙片には、《父親の事業を助けたいのなら、誰にも見られないように一人で裏庭のガゼボに来い》とだけ、丁寧な文字で書かれていた。
アルお兄さまは関わるなとおっしゃっていたけれど、話を聞くだけなら……。行かなかったばかりに嫌がらせをされるのも困りますし。
アルフレッドという婚約者がいるのを承知していながら、恋人になろうと声をかけてくる男も多かった。そんな彼らの申し出を断って面倒になったことも数知れない。今回もそうなるとは限らないが、行くだけであればすぐに済む。
一人で、というのが気になりますけど。
アルフレッドに相談しようかと一瞬考えたが、あの様子では問答無用で行くなと言われるのがオチだろう。もしも父を救う手立てがあるのなら、一意見として聞いておきたいとテオドラは思ったのだ。
周囲の視線を気にしながら、お手洗いを出たテオドラは裏庭を忍んで歩く。知人と顔を合わせることもあったが、軽く挨拶をして別れた。不審がられることもなかっただろう。
そうしてやってきた裏庭は、秋の薔薇の芳香がかすかに漂っていた。月明かりはぼんやりとしていて薄暗い。
木々に囲まれたガゼボの中はランプが灯されていて、ほんのり明るくなっていた。人影もある。
一人ではないみたいですね。
影が動いている。一人は猫の尻尾のような長い影が動くのが見えたので、先ほど自己紹介をしてきたデーヴィッドだろう。ほかの二つの影は彼よりもずっと大きく、身体つきをみるに少なくとも男性だ。加えて、その影は燕尾服のシルエットではないように感じられる。
招待客じゃないってこと? デーヴィッドさんの護衛かしら?
あれだけ指にたくさんの貴金属を身につけ、首や耳のあたりまでジュエリーをつけていた派手な人物だ。物盗りに襲われても対応できるように護衛の一人や二人をつけていてもおかしくはないかもしれない。
気になるところはいくつもあったが、まずは顔を見せることが先決だろう。テオドラは足音を消してゆっくりとガゼボに寄った。
「デーヴィッドさん」
ガゼボの明かりが届くところに立つと、テオドラは小声で呼びかけた。
中にいたのはデーヴィッドと、大男が二人。大男は町で見かける町民たちのような格好をしている。およそパーティには合わない格好だ。
「ああ、テオドラお嬢さん。ようこそ」
デーヴィッドはにたっと笑う。美男子だというのに、もったいない笑いかただ。正直なところ、気持ちが悪い。
「指示のとおり一人で参りました」
テオドラは招くデーヴィッドを警戒しつつ、ガゼボの中に足を踏み入れる。茶髪の大男がテオドラの背後をじっと見ている。そして、頷いたのが見えた。
「よかった。二人きりでお話がしたかったのです。――ああ、この二人は俺の護衛ですよ。お気になさらず」
「はあ……」
パーティ会場の一部とも言える裏庭に、ドレスコードを守らない人間がいるというのはテオドラには慣れない。そういう意識が商人の感覚なのだろうか。自分から望んで来たはずなのに、この秘密の会談にテオドラは気が乗らない。
気づけば背後に大男の一人が回り込んでいて、退路をふさがれてしまう。ガゼボの周囲は低木ながら木が植えてあるので、今入ってきた入口以外にはデーヴィッドが立っている場所の裏しかない。
邪魔をされないようにだとしても、なんかおかしい?
テオドラが違和感を気にしていると、デーヴィッドはふっと笑った。
「実に健気ですね。父親の事業をどんなことをしてでも助けたいとお思いなのでしょうな」
「どんなことをしてでも、というわけではありませんが、どうにかできるならそうしたいと思うのが娘というものでしょう?」
「本当にお美しい」
会話になっていない。デーヴィッドはさっとテオドラの手を取って、手袋越しに口づけをする。
「なっ⁉︎」
手を引っ込めようとするが、しっかり握られて振り払えない。
「テオドラお嬢さん、あなたは御自分の価値を考えたことはありませんか?」
「自分の……価値……?」
熱を帯びた視線は身体中を舐め回すように動く。商品として見られている気配に、テオドラはゾッとして声が震える。
「ええ。あなたほどの美貌と肉体があれば、金を稼ぐのはたやすいということですよ。まずは手始めに俺に買われてみてはいかがでしょう?」
「じょ、冗談じゃないわ!」
必死にデーヴィッドの手を振り払って後退する。
「私には伯爵令嬢としての誇りがあります。そんなことをするほど、落ちぶれてはいませんわ!」
懸命に腹の底から大声で宣言してやった。パーティ会場の外に出ていれば、かろうじて声は届くはずだ。
テオドラの宣言は意外だったらしい。デーヴィッドが目をまんまるくし――そして大笑いをはじめた。心底おかしかったらしく、額と腹にそれぞれ手を当てて、あざけり笑う。
「ははは。誇り? 親子して愚かだな。身体を売れば融資してやるって言ってるのに、誇りなんていうくだらないもののために断るのか」
そう告げてテオドラの背後にいた大男を一瞥する。
「やっ⁉︎ んっ!」
打ち合わせてあったのだろう。大男はデーヴィッドの視線だけで、テオドラをいとも簡単に拘束した。口元を押さえられて声が出せない。噛みついてやったが、分厚い手袋の前では意味をなさなかった。
「んんっ!」
腕ごとしっかりと抱きかかえられてしまい、身動きも取れない。抵抗しているのに相手は涼しげだ。
やだ、どうしてっ! 助けて、アルお兄さま!
もがくテオドラにデーヴィッドはゆっくり近づき、強制的に視線を合わせられる。
「気の強いお嬢さんは好みだよ。だんだんと従順になっていく様は快感だからね。ただ、あんたは美人すぎる」
言って、首筋を、鎖骨を、胸の先に連なるラインを手袋をはめた指でなぞる。
「この身体も本当に美味しそうで実にいい。高い金を出してでも抱きたいと思う男は多いんじゃないかな」
個人的に囲うよりも娼館で働かせたほうがずっと金になる――そうデーヴィッドが考えているらしいことが、テオドラにもようやくわかってきた。
早く逃げ出したいが、デーヴィッドにされるがままだ。屈辱的な行為に、テオドラはきっとにらみつける。
デーヴィッドはバカにするように笑った。
「くくくっ。まずは誘拐ってことでマクダニエルズ伯爵から高い金をぶん取って、でもうっかり殺しちゃったとか言ってポイっとして、あんたは娼館で壊れるまで働く――それが一番お金ができる。この錬金術を思いついちゃった俺って天才だよね」
悔しい。
騙された愚かさを最初は呪いはしたが、それ以上に父親を侮辱され、自分を商品としかみてこないことに怒りも感じる。
「身体の開発はまだなんだろう? 俺が手ほどきしてやるからな。あのダライアスのお坊っちゃんは女の抱きかたもわかっていないようだったし」
テオドラにはなんのことを言っているのかはっきりとはわからなかったが、アルフレッドが軽んじられたことだけは察することができた。
絶対にくじけない。くじけてなるものか!
「しかし、泣きもしないとは意外だったな。もっと泣きわめいて面倒になると考えていたが……ふうん。では、場所を変えようか」
冷ややかな眼差しがテオドラに向けられる。大男が動き出したとき、さらに抵抗を試みたが無駄だった。
アルお兄さま、ごめんなさい。素直にあなたのいうことを聞いておくべきでした。ちゃんと相談しておけばよかった。
もう彼に会えないかもしれない。それだけでなく、捧げるつもりでいた純潔も奪われてしまうのだろう。
いうことを聞かなかった代償としては重いと感じたが、殺されるわけではないことに一縷の希望を抱く。
さようなら、アルお兄さま。私の初恋の人……。
アルフレッドのことを考える。彼と過ごした日々のことを振り返れば、これから待っているだろう悲しみにくれる日々を乗り切れる気がして。
だから、アルフレッドの叫び声が聞こえたとき、テオドラはそれが幻聴だと思った。
手渡された紙片には、《父親の事業を助けたいのなら、誰にも見られないように一人で裏庭のガゼボに来い》とだけ、丁寧な文字で書かれていた。
アルお兄さまは関わるなとおっしゃっていたけれど、話を聞くだけなら……。行かなかったばかりに嫌がらせをされるのも困りますし。
アルフレッドという婚約者がいるのを承知していながら、恋人になろうと声をかけてくる男も多かった。そんな彼らの申し出を断って面倒になったことも数知れない。今回もそうなるとは限らないが、行くだけであればすぐに済む。
一人で、というのが気になりますけど。
アルフレッドに相談しようかと一瞬考えたが、あの様子では問答無用で行くなと言われるのがオチだろう。もしも父を救う手立てがあるのなら、一意見として聞いておきたいとテオドラは思ったのだ。
周囲の視線を気にしながら、お手洗いを出たテオドラは裏庭を忍んで歩く。知人と顔を合わせることもあったが、軽く挨拶をして別れた。不審がられることもなかっただろう。
そうしてやってきた裏庭は、秋の薔薇の芳香がかすかに漂っていた。月明かりはぼんやりとしていて薄暗い。
木々に囲まれたガゼボの中はランプが灯されていて、ほんのり明るくなっていた。人影もある。
一人ではないみたいですね。
影が動いている。一人は猫の尻尾のような長い影が動くのが見えたので、先ほど自己紹介をしてきたデーヴィッドだろう。ほかの二つの影は彼よりもずっと大きく、身体つきをみるに少なくとも男性だ。加えて、その影は燕尾服のシルエットではないように感じられる。
招待客じゃないってこと? デーヴィッドさんの護衛かしら?
あれだけ指にたくさんの貴金属を身につけ、首や耳のあたりまでジュエリーをつけていた派手な人物だ。物盗りに襲われても対応できるように護衛の一人や二人をつけていてもおかしくはないかもしれない。
気になるところはいくつもあったが、まずは顔を見せることが先決だろう。テオドラは足音を消してゆっくりとガゼボに寄った。
「デーヴィッドさん」
ガゼボの明かりが届くところに立つと、テオドラは小声で呼びかけた。
中にいたのはデーヴィッドと、大男が二人。大男は町で見かける町民たちのような格好をしている。およそパーティには合わない格好だ。
「ああ、テオドラお嬢さん。ようこそ」
デーヴィッドはにたっと笑う。美男子だというのに、もったいない笑いかただ。正直なところ、気持ちが悪い。
「指示のとおり一人で参りました」
テオドラは招くデーヴィッドを警戒しつつ、ガゼボの中に足を踏み入れる。茶髪の大男がテオドラの背後をじっと見ている。そして、頷いたのが見えた。
「よかった。二人きりでお話がしたかったのです。――ああ、この二人は俺の護衛ですよ。お気になさらず」
「はあ……」
パーティ会場の一部とも言える裏庭に、ドレスコードを守らない人間がいるというのはテオドラには慣れない。そういう意識が商人の感覚なのだろうか。自分から望んで来たはずなのに、この秘密の会談にテオドラは気が乗らない。
気づけば背後に大男の一人が回り込んでいて、退路をふさがれてしまう。ガゼボの周囲は低木ながら木が植えてあるので、今入ってきた入口以外にはデーヴィッドが立っている場所の裏しかない。
邪魔をされないようにだとしても、なんかおかしい?
テオドラが違和感を気にしていると、デーヴィッドはふっと笑った。
「実に健気ですね。父親の事業をどんなことをしてでも助けたいとお思いなのでしょうな」
「どんなことをしてでも、というわけではありませんが、どうにかできるならそうしたいと思うのが娘というものでしょう?」
「本当にお美しい」
会話になっていない。デーヴィッドはさっとテオドラの手を取って、手袋越しに口づけをする。
「なっ⁉︎」
手を引っ込めようとするが、しっかり握られて振り払えない。
「テオドラお嬢さん、あなたは御自分の価値を考えたことはありませんか?」
「自分の……価値……?」
熱を帯びた視線は身体中を舐め回すように動く。商品として見られている気配に、テオドラはゾッとして声が震える。
「ええ。あなたほどの美貌と肉体があれば、金を稼ぐのはたやすいということですよ。まずは手始めに俺に買われてみてはいかがでしょう?」
「じょ、冗談じゃないわ!」
必死にデーヴィッドの手を振り払って後退する。
「私には伯爵令嬢としての誇りがあります。そんなことをするほど、落ちぶれてはいませんわ!」
懸命に腹の底から大声で宣言してやった。パーティ会場の外に出ていれば、かろうじて声は届くはずだ。
テオドラの宣言は意外だったらしい。デーヴィッドが目をまんまるくし――そして大笑いをはじめた。心底おかしかったらしく、額と腹にそれぞれ手を当てて、あざけり笑う。
「ははは。誇り? 親子して愚かだな。身体を売れば融資してやるって言ってるのに、誇りなんていうくだらないもののために断るのか」
そう告げてテオドラの背後にいた大男を一瞥する。
「やっ⁉︎ んっ!」
打ち合わせてあったのだろう。大男はデーヴィッドの視線だけで、テオドラをいとも簡単に拘束した。口元を押さえられて声が出せない。噛みついてやったが、分厚い手袋の前では意味をなさなかった。
「んんっ!」
腕ごとしっかりと抱きかかえられてしまい、身動きも取れない。抵抗しているのに相手は涼しげだ。
やだ、どうしてっ! 助けて、アルお兄さま!
もがくテオドラにデーヴィッドはゆっくり近づき、強制的に視線を合わせられる。
「気の強いお嬢さんは好みだよ。だんだんと従順になっていく様は快感だからね。ただ、あんたは美人すぎる」
言って、首筋を、鎖骨を、胸の先に連なるラインを手袋をはめた指でなぞる。
「この身体も本当に美味しそうで実にいい。高い金を出してでも抱きたいと思う男は多いんじゃないかな」
個人的に囲うよりも娼館で働かせたほうがずっと金になる――そうデーヴィッドが考えているらしいことが、テオドラにもようやくわかってきた。
早く逃げ出したいが、デーヴィッドにされるがままだ。屈辱的な行為に、テオドラはきっとにらみつける。
デーヴィッドはバカにするように笑った。
「くくくっ。まずは誘拐ってことでマクダニエルズ伯爵から高い金をぶん取って、でもうっかり殺しちゃったとか言ってポイっとして、あんたは娼館で壊れるまで働く――それが一番お金ができる。この錬金術を思いついちゃった俺って天才だよね」
悔しい。
騙された愚かさを最初は呪いはしたが、それ以上に父親を侮辱され、自分を商品としかみてこないことに怒りも感じる。
「身体の開発はまだなんだろう? 俺が手ほどきしてやるからな。あのダライアスのお坊っちゃんは女の抱きかたもわかっていないようだったし」
テオドラにはなんのことを言っているのかはっきりとはわからなかったが、アルフレッドが軽んじられたことだけは察することができた。
絶対にくじけない。くじけてなるものか!
「しかし、泣きもしないとは意外だったな。もっと泣きわめいて面倒になると考えていたが……ふうん。では、場所を変えようか」
冷ややかな眼差しがテオドラに向けられる。大男が動き出したとき、さらに抵抗を試みたが無駄だった。
アルお兄さま、ごめんなさい。素直にあなたのいうことを聞いておくべきでした。ちゃんと相談しておけばよかった。
もう彼に会えないかもしれない。それだけでなく、捧げるつもりでいた純潔も奪われてしまうのだろう。
いうことを聞かなかった代償としては重いと感じたが、殺されるわけではないことに一縷の希望を抱く。
さようなら、アルお兄さま。私の初恋の人……。
アルフレッドのことを考える。彼と過ごした日々のことを振り返れば、これから待っているだろう悲しみにくれる日々を乗り切れる気がして。
だから、アルフレッドの叫び声が聞こえたとき、テオドラはそれが幻聴だと思った。
2
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【書籍化決定】憂鬱なお茶会〜殿下、お茶会を止めて番探しをされては?え?義務?彼女は自分が殿下の番であることを知らない。溺愛まであと半年〜
降魔 鬼灯
恋愛
コミカライズ化決定しました。
ユリアンナは王太子ルードヴィッヒの婚約者。
幼い頃は仲良しの2人だったのに、最近では全く会話がない。
月一度の砂時計で時間を計られた義務の様なお茶会もルードヴィッヒはこちらを睨みつけるだけで、なんの会話もない。
お茶会が終わったあとに義務的に届く手紙や花束。義務的に届くドレスやアクセサリー。
しまいには「ずっと番と一緒にいたい」なんて言葉も聞いてしまって。
よし分かった、もう無理、婚約破棄しよう!
誤解から婚約破棄を申し出て自制していた番を怒らせ、執着溺愛のブーメランを食らうユリアンナの運命は?
全十話。一日2回更新
7月31日完結予定
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です
くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」
身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。
期間は卒業まで。
彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる