42 / 65
第3章
過去②
しおりを挟む
その授業は、魔法基礎理論演習だった。
内容もちょうど良い難しさで、簡単過ぎるわけでもなく、毎授業ごとに疲弊し切ってしまうわけでもない。
程よく脳が疲れる程度で、先生もそれなりに良かった。
それには試験がなく、その代わりに2人組になって発表を行い、それの順位や出来栄えが評価に繋がる――そういう授業だった。
基本的に試験ばかりで正直疲れていた私にとって、その授業は楽しみの1つだった。
そしてペアを決める日、当然、
「好きな者同士で組みなさい」
そう先生もおっしゃるだろうと見越して、クラスメイトたちは授業前の休み時間に、誰がどう組むかなんていう駆け引きを、水面下で行っていた。
――が。
「それでは、2人組ペアで発表の準備を始めたいと思います。すでに先生が組を作ったので、名前で呼ばれた人たちは前に出てきてください」
私たちの予想に反して、先生はすでに組の表を作ってきていた。
あとで友達に聞いたところ、どうやら成績や能力を鑑みて作っていたらしい。
そこで、なんの因果か――。
私はディランとペアを組む羽目になった。
正直苦手だったが、彼に対して少々負い目もあった。
完全に私のせいではないとはいえ、彼が現にクラスで浮いているのは私が関わったからだ。
ひとまず半年前に言われた暴言は忘れ、
「これからよろしくね」
そう話しかけると、
「ああ……」
と、彼は至極興味なさそうな顔でそう返事をした。
内容もちょうど良い難しさで、簡単過ぎるわけでもなく、毎授業ごとに疲弊し切ってしまうわけでもない。
程よく脳が疲れる程度で、先生もそれなりに良かった。
それには試験がなく、その代わりに2人組になって発表を行い、それの順位や出来栄えが評価に繋がる――そういう授業だった。
基本的に試験ばかりで正直疲れていた私にとって、その授業は楽しみの1つだった。
そしてペアを決める日、当然、
「好きな者同士で組みなさい」
そう先生もおっしゃるだろうと見越して、クラスメイトたちは授業前の休み時間に、誰がどう組むかなんていう駆け引きを、水面下で行っていた。
――が。
「それでは、2人組ペアで発表の準備を始めたいと思います。すでに先生が組を作ったので、名前で呼ばれた人たちは前に出てきてください」
私たちの予想に反して、先生はすでに組の表を作ってきていた。
あとで友達に聞いたところ、どうやら成績や能力を鑑みて作っていたらしい。
そこで、なんの因果か――。
私はディランとペアを組む羽目になった。
正直苦手だったが、彼に対して少々負い目もあった。
完全に私のせいではないとはいえ、彼が現にクラスで浮いているのは私が関わったからだ。
ひとまず半年前に言われた暴言は忘れ、
「これからよろしくね」
そう話しかけると、
「ああ……」
と、彼は至極興味なさそうな顔でそう返事をした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
613
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる