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第2章
外出
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クラウス殿下に外出を命じられたのは、塔に閉じこもってしばらく経ったある日のことだった。
「……えっ」
塔でのんびりしていた私は、部屋にやってきたクラウス殿下の言葉に怯えた。
「なんだその不服そうな顔は?」
クラウス殿下はにやにやしている。
「何か言いたいことでもあるのか?」
「いえ、その……」
「君は、自分がなぜ私に生かされているのかわかっているよね?」
「は、はい」
もちろん、それは重々承知している。
だけど、このまま気軽に外に出てしまえば、私を殺そうと身構えている両親や婚約者の視界に入ってしまうかもしれない。
死ぬ覚悟が出来ていたとはいえ、せっかく助かったのだから、このままうまいこと長生きしていきたいという気持ちがある。
「……どこに行くんですか?」
「君には、聖女の代わりになってもらおうと思っていてね」
クラウス殿下は、私の質問に答えなかった。
「聖女の代わり?」
「あの聖女は今、ランスロットと恋仲にあるんだろう?」
「はい」
「つまり、聖女は今第二王子派に属しているわけだ」
第一王子派と、第二王子派。
どちらを担ぎ上げて未来の王とするか、貴族たちの間での争いが水面下で起こっていた。
当然、第一王子であるクラウス殿下が主流ではあるものの。
我が公爵家のような有力貴族が一部第二王子派についており、彼にとってそれははかなり目につく問題なのだろう。
そして、ランスロット王子の恋人である聖女アイリは強大な力を持っている。
「君は私側についている新たな聖女として、私の立場を盤石なものとする駒になってもらう」
「聖女って……」
どう考えても無謀な気がする。
私、あの子みたいな力は持っていないんだけど。
「そんなことはわかっているさ。君には聖女ほどの期待はしていないよ。ただ、君は学園でもかなり優秀な生徒だ。その辺をうまく使えば、意外と君を支持する層は増えると思うよ」
本当だろうか、それ。
「……えっ」
塔でのんびりしていた私は、部屋にやってきたクラウス殿下の言葉に怯えた。
「なんだその不服そうな顔は?」
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「何か言いたいことでもあるのか?」
「いえ、その……」
「君は、自分がなぜ私に生かされているのかわかっているよね?」
「は、はい」
もちろん、それは重々承知している。
だけど、このまま気軽に外に出てしまえば、私を殺そうと身構えている両親や婚約者の視界に入ってしまうかもしれない。
死ぬ覚悟が出来ていたとはいえ、せっかく助かったのだから、このままうまいこと長生きしていきたいという気持ちがある。
「……どこに行くんですか?」
「君には、聖女の代わりになってもらおうと思っていてね」
クラウス殿下は、私の質問に答えなかった。
「聖女の代わり?」
「あの聖女は今、ランスロットと恋仲にあるんだろう?」
「はい」
「つまり、聖女は今第二王子派に属しているわけだ」
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どちらを担ぎ上げて未来の王とするか、貴族たちの間での争いが水面下で起こっていた。
当然、第一王子であるクラウス殿下が主流ではあるものの。
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「聖女って……」
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私、あの子みたいな力は持っていないんだけど。
「そんなことはわかっているさ。君には聖女ほどの期待はしていないよ。ただ、君は学園でもかなり優秀な生徒だ。その辺をうまく使えば、意外と君を支持する層は増えると思うよ」
本当だろうか、それ。
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