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定期的に開催される、王妃陛下主催のパーティ。
彼女にとってはお遊びみたいなものでも、我々貴族にとってそうではないのは確かだ。
貴族であることのプライドを保つため、毎度毎度高級な贈り物を王妃に用意する。
同じドレスを着れば、
「貧乏人」
と、揶揄されるため、パーティ毎に新作のドレスを準備しなければならない。
貴族にとっても王家にとってもかかる金銭は馬鹿にならないから、確かにジェフリーの言う通りではある。
しかし、みんな意地になって莫大な金銭を湯水のように使う――そういうパーティ会場に、私たちは足を踏み入れた。
煌々と眩しい会場に入ると、すぐ誰かが近づいてきた。
「ティアナ、ジェフリー!」
明るい声で、私たちの名前を呼ぶ美しい令嬢――親友のブレンダだ。
「久しぶりね!」
「ブレンダ!」
学園にいたころのようにはしゃぎながら、私も彼女に近づいた。
「久しぶりね! 元気にしてた? 仕事は順調?」
「もちろん元気よ。仕事も順調。ありがたいことにね」
ブレンダは微笑む。
「毎日楽しいわ」
今度は、ブレンダはジェフリーの方へ顔を向ける。
「久しぶりね、ジェフリー。あなたはどう?」
「ああ、まあ」
ジェフリーは苦笑いする。
「まあ、普通かな」
「そう。とりあえず元気そうで良かったわ」
彼女はいつも楽しそうだ。
それもそのはず。
学園を卒業してからというもの、ブレンダは念願かなって近衛兵になった。
この世界では、女性が武術に秀でることを、あまり良しとしない。
彼女の両親も周りもその意識があり、それゆえに近衛兵志願を大反対したそうだ。
それを押し切って自分を夢を叶えた彼女は、毎日が本当に楽しいといったふうな様子。
彼女は忙しいらしく、なかなか会う機会はないけれど。
そんな親友のことを、私は誇らしく思っている。
「今日は近衛兵としてじゃなく、公爵令嬢として来たのね」
「ええ、そうよ――それがね、お父様とお母様が、
『いい加減相手を見つけろ』
って」
彼女は肩を竦めた。
「パーティで誰か探せって言うの。今まで一度も相手なんてほしいと思ったことないけど」
「そうなのね」
彼女は公爵家の1人娘だ。
ご両親も、跡継ぎがほしいのだろう。
「私に出来ることがあれば、なんでも相談してね」
私は言った。
「……本当?」
「ええ、もちろんよ。だって親友じゃない」
「……そうね。私たち、親友だものね。うん、ありがとう」
彼女の少し強張ったような笑顔。
そのときは気にも留めなかったけれど。
すぐに、私はその意味に気づくことになる。
彼女にとってはお遊びみたいなものでも、我々貴族にとってそうではないのは確かだ。
貴族であることのプライドを保つため、毎度毎度高級な贈り物を王妃に用意する。
同じドレスを着れば、
「貧乏人」
と、揶揄されるため、パーティ毎に新作のドレスを準備しなければならない。
貴族にとっても王家にとってもかかる金銭は馬鹿にならないから、確かにジェフリーの言う通りではある。
しかし、みんな意地になって莫大な金銭を湯水のように使う――そういうパーティ会場に、私たちは足を踏み入れた。
煌々と眩しい会場に入ると、すぐ誰かが近づいてきた。
「ティアナ、ジェフリー!」
明るい声で、私たちの名前を呼ぶ美しい令嬢――親友のブレンダだ。
「久しぶりね!」
「ブレンダ!」
学園にいたころのようにはしゃぎながら、私も彼女に近づいた。
「久しぶりね! 元気にしてた? 仕事は順調?」
「もちろん元気よ。仕事も順調。ありがたいことにね」
ブレンダは微笑む。
「毎日楽しいわ」
今度は、ブレンダはジェフリーの方へ顔を向ける。
「久しぶりね、ジェフリー。あなたはどう?」
「ああ、まあ」
ジェフリーは苦笑いする。
「まあ、普通かな」
「そう。とりあえず元気そうで良かったわ」
彼女はいつも楽しそうだ。
それもそのはず。
学園を卒業してからというもの、ブレンダは念願かなって近衛兵になった。
この世界では、女性が武術に秀でることを、あまり良しとしない。
彼女の両親も周りもその意識があり、それゆえに近衛兵志願を大反対したそうだ。
それを押し切って自分を夢を叶えた彼女は、毎日が本当に楽しいといったふうな様子。
彼女は忙しいらしく、なかなか会う機会はないけれど。
そんな親友のことを、私は誇らしく思っている。
「今日は近衛兵としてじゃなく、公爵令嬢として来たのね」
「ええ、そうよ――それがね、お父様とお母様が、
『いい加減相手を見つけろ』
って」
彼女は肩を竦めた。
「パーティで誰か探せって言うの。今まで一度も相手なんてほしいと思ったことないけど」
「そうなのね」
彼女は公爵家の1人娘だ。
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「私に出来ることがあれば、なんでも相談してね」
私は言った。
「……本当?」
「ええ、もちろんよ。だって親友じゃない」
「……そうね。私たち、親友だものね。うん、ありがとう」
彼女の少し強張ったような笑顔。
そのときは気にも留めなかったけれど。
すぐに、私はその意味に気づくことになる。
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