夫と親友が、私に隠れて抱き合っていました ~2人の幸せのため、黙って身を引こうと思います~

小倉みち

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多忙

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 パーティでの妻の役割は、かなり大きい。


 私は夫であるジェフリーについて回りながら、色んな方に挨拶をする。

 
 相手側は全員、ジェフリーよりも身分が高い貴族たちだ。


 彼らは私たちと同じく妻を連れて歩いている。

 つまり、人が多ければ多いほど、その分私たちは気を遣わなければならない。


 この狭いコミュニティの中では、何よりも上下関係が重要視されているのだ。


 もし機嫌を損ねてしまえば、そこでジェフリーの出世の道は立たれてしまう。

 それに私も、もし重役の妻たちと良い関係を築けなければ、婦人のネットワークからはみ出し者扱いされてしまう。


 さらに、ジェフリーの直属の部下たちも、私たちに挨拶をしてくる。


 彼らの対応にも追われ、私たちはかなり忙しく動き回っていた。


「ねえ、大丈夫?」

 私は、顔色の悪いジェフリーに耳打ちした。

「顔色が悪いわ。どうしたの?」

「ちょっと」

 ジェフリーの額から、汗がにじみ出ている。

「お腹が痛くて……」


 ジェフリーはかなり繊細な人だ。

 こういうストレスがかかる場所にいると、よく体調を壊してしまう。


「まあ、大変」


 私はキョロキョロと周囲を見渡す。


 ある程度、挨拶回りは終わっていた。

 そろそろ雑談するグループも出来始めているので、少し休憩する時間はありそうだ。


「少し抜け出して休憩したらどう? 私はここに残って対応するわ」

「ああ、ごめん……。すぐに戻るから」


 青白い顔をした夫は、亡霊のようにスッと会場からいなくなった。


 いつも思うが、ジェフリーは大丈夫なのだろうか。

 田舎に引っ越すとかすれば、少しでも彼の負担が減るだろうけど。


 出世なんて気にしなくても良いのに。

 2人でいれば、多少貧乏でもうまくやっていけるのに。


 

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