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第3章

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 ゼロの許しを得た私とパーシーは、一旦宿屋を予約してから外へ出た。


「良いか」

 ゼロは何度も念を押す。

「くれぐれも変なことは、目立つようなことはするなよ」

「はーい」


 保護者みたいだなとゼロの言葉を聞く。

「わかったわ」

「よし――じゃあ、俺も用事があるから。夕方になったら宿屋に再集合だ」


 ゼロはそう言って、私たちとは反対方向の道を進んでいく。

「それじゃあ、俺たちも行きましょうか」


 パーシーは言った。

「俺のさっき見かけた掲示板は、町の中央部にありました。まずはそっちに行きましょう」




 目立たないようにしろ、と言われたけれど。

 残念ながら私たちにとって、それは無理な話だった。


「……何あれ?」

「……」

「首輪?」

「なんで?」

「おしゃれのつもりなのかしら……」


 目立つ。

 異常なまでに目立つ。

 パーシーの真っ赤な首輪が。


 王都にいたころは、人が多過ぎて逆に目立ち辛かった部分もあったが。

 こういう地方都市みたいな程よく人のいる場所では、私たちの異質さがものすごく目立つ。

 さらに、最近なんとなくわかってきたことだが。


 この世界において、魔法具はかなりの貴重品らしい。

 だからこそ、こんなユニークな魔法具を知っている人々などおらず、余計に変態にしか見えなくなっている。


 自分で蒔いた種とは言え、恥ずかしい。


 チラリとパーシーの方を見ると、泣きそうな顔をしていた。


 そりゃそうだ。

 首輪をしていない私だって恥ずかしいのだから、パーシーはもっと恥ずかしいはずだ。


 可哀想だから首輪を外してあげようとも一瞬思ったけど、そうしちゃったら最後、私たちに十分な報酬を与えないまま、パーシーは逃げるだろう。


 罪悪感が半端ないけど、ここは我慢してもらう。


 せめて、お金が溜まったら透明でチョーカーに見えそうな魔法具を買ってあげようと心に決めた。
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