行方不明だった元婚約者が戻ってきたので、浮気三昧な現婚約者を捨てることにしました

小倉みち

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家庭教師

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 私とランス両方についてくれる家庭教師が見つかったのは、それから数日後のことだった。


「初めまして」

 明るい好青年といった感じの人だった。


「バルザックと申します。よろしくお願いいたします」

「こちらこそよろしくお願いいたします。シャーロットと申します」

「……俺はランスです」


 私たちは、彼に数時間ほどリビングで勉強を教えてもらうことになった。


「では、シャーロット様はこちらを、ランス様はこちらをまずは解いてみてください」


 進み具合の違う2人を同時に教えるというハードルの高いことを任されている彼は、私たちに自作らしき問題を配り、解かせた。


 解き終わった後は、その答え合わせと問題の解説に入る。


結論から言うと、そのバルザック先生の授業はとてもわかりやすかった。

下手すると、学園の教師よりも指導が上手い。


「先生の授業はとても理解しやすくて、勉強になりました。ありがとうございます」

「そう言っていただけてとても嬉しいです」

「先生が学園の教師だったら、きっと人気の教師になりますよ」


 世間話のつもりだった。
   
 授業が終わり、それでさよならするわけにもいかず、少し会話をして交流を持とうと思って口を開いただけのことだった。


 てっきりまた喜んでくれるかと思ったけど、先生の反応は予想と違った。


 バルザック先生の表情が一瞬曇ったように見えた。

「バルザック先生? どうされましたか?」


 私はへんなことを言ってしまったのかと、彼の顔色を伺う。

「……ああ、なんでもありません」


 バルザック先生は私の声掛けを聞き、我に返ったように微笑する。

「褒めていただき、ありがとうございます――それでは、また明日お会いしましょう」


 バルザック先生はいそいそと屋敷から退散し、残されたのは私たち2人だけだった。


 まだ気まずい関係のままの私たちは、会話することもなく、

「それでは」

「じゃあ」

 と最低限の挨拶だけをして、自室に戻った。


 
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