婚約者の幼馴染からの仲良しマウントが酷いので、お望み通り別れることにしました

小倉みち

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待機

「それにしても」

 国王陛下はおっしゃった。

「これは世間話だがーーどうして、訴えられると言う事態にになったんだ? お前たち家族は仲が良かったはずだろう?」

「これは裁判の内容の話になってくるのですが」

 と、お父様。

「ざっくりとお話いたしますと、どうやらグレースの婚約者であったイヴァンが、グレースに隠れてジェシーと付き合っていたようで」

「なるほど……。それは2人の両親からは聞いていない話だ」


 国王は少し目を丸くした。


 私は驚く。

 なんとあの家族、自分の不利になるような事実を、陛下に伝えていないらしい。


「ちなみに、向こうはこの件をなんと?」

 お父様は陛下に尋ねる。

「詳しい話は聞いていない。だが、お前の娘が嘘をつき、自分たちの子どもを孤立させた。名誉棄損だと訴えているのだ」


 国王は深く嘆息した。


「その、お聞きしたいことがあるのですが」

 私は前々から気になっていたことを質問する。

「なんだ?」

「どうして、今回の裁判を行うことにしたのですか? 正直言って、この問題は陛下がわざわざ仲介しなければならないような揉め事ではないと思っております。陛下には公務がございますし、優先順位で言えば、かなり低い問題だとは思いますが」

「そうだな。グレースの言う通りだ」


 国王陛下は頷く。

「なら、どうして」

「端的に言うと、うるさかったのだ」

 心底嫌そうな顔で、陛下はおっしゃった。

「どうしても国王裁判をやってほしいとあやつらに言われてな。本当なら蹴ってしまっても良かったのだが。ただ、今回訴えられたのは我が国の宰相であるお前の父親だ。受け入れないわけにはいかなかった」


 なるほど。

 国のNo.2である宰相を訴えるということは、すなわち国に喧嘩を売るということだ。

 向こうがそれくらいの覚悟をもってして裁判を起こそうというのだから、こちらもきちんと対応しなければならない。


 ――そう陛下は言いたいのだろう。


「そう言えば」

 お父様は時計を見ながら言った。

「まだ来ないようですね」

「そうだな」

 国王陛下も、掛け時計のある方角を見つめる。


「もうそろそろ裁判の予定時刻なのだが」


 今回の原告である、イヴァンとジェシーの両親がまだ来ないのだ。


 私は怖くなってきた。


 自分たちから国王陛下を引っ張り出してきておいて、もしかして遅刻するつもりなのか?


 それがどれだけ国王陛下に対する不敬なのか、自覚しているのだろうか。


「もし、来なかったらどうしますか?」

 私は陛下に問う。

「そうだな」


 彼は片手で自分の顎を撫でた。

「このまま行くと、不敬罪だな。牢屋行きだ」


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