このときをずっと待っていました ~あなたたちを全員ざまぁしてやりますわ~

小倉みち

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プロローグ

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 私――公爵令嬢ディーナの約17年間の人生は、我慢の連続だった。


 まず、なぜか妹だけを可愛がる両親。


 彼らは私を「みにくいアヒルの子」と呼び、妹を天使だと表現する。


 普段、私は両親に罵られ、蔑まれ、満足に食事さえ与えられなかった。

 それとは対照的に、妹はなんでも与えられた。

 豪勢な食事、美しいドレス、宝石、お人形――。


 そう、なんでも。


 私は何も与えられず、屋敷の隅でひっそりと生きていくしかなかった。


 さらに、私の婚約者である第三王子。

 彼は、私を忌み嫌った。


「気持ち悪い」

「みすぼらしい」

「なんでこんな不細工が、俺の婚約者なんだ」


 と、繊細な年ごろの私に対して散々暴言を吐いた。


「こんなブスと付き合いたくない」

 と言って、今まで一度も私に手紙も何もかも寄越さなかったばかりか、私の目の前で妹とイチャつき始める。


 婚約者であるはずの私を空気のように扱うのだ。


 その両親と第三王子からの歪んだ愛情を一心に受けた妹もまた、私を見下していた。


「お姉様みたいな可哀想な人に、生まれなくて良かった」

「お姉様に生まれ変わるくらいなら、ぼろ雑巾になった方がまだマシだわ」

 と、せっかくの私のドレスをビリビリに破いたり、私の髪をはさみで切ったりなんてことを繰り返す。


 しかし、そんな妹の横暴を誰も止めるどころか、全部、

「ディーナが悪い」

 と言い出す始末。


 さらに、彼らの取り巻きたち。

 私が蔑まれているのに乗じて、学園やどこでも私に聞こえるように悪口を言い始める。


 私よりも地位が低いのに、である。


 私は我慢の限界だった。


 もう、無理だ。

 なんで私はこんな目に遭わなくちゃいけないんだろう。

 
 もう、嫌だ。

 良い子でいても、あの人たちは私を愛してくれないのだろう。


 不毛な行動だ。


 そうだ。

 「良い子」は辞めよう。


 自分自身の足で立って生きていこう――。


 そう決意したある日、私は1冊の本を手に入れる。


 それは。


「合法的に鬱陶しい連中を叩きのめす方法」


 ――これだ。


 私はその瞬間、全部を理解した。


 この本に書かれていることをすれば、私は奴らに仕返し出来る。

 あの連中に復讐出来るんだわ。


 その日から、来るべきときに向けて、私は動き始めた。


 すべてはそう、あの人たちを心身ともにぶっ壊すために――。

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