このときをずっと待っていました ~あなたたちを全員ざまぁしてやりますわ~

小倉みち

文字の大きさ
11 / 16

誘導

しおりを挟む
 陛下の誘導にまんまと引っかかったマリーの顔は、どんどんと青白くなっていた。


「なるほど、そうか」

 陛下は言った。

「お前たちは、私含め、ここにいるすべての者たちに嘘をついたということだな? 嘘によって、この公爵令嬢ディーナを排除しようとしたのか?」

「ち、違います!」

 マリーは慌てて否定する。

「ふむ。それではお前は、両親に虐待をされたという嘘をついたということか?」

「そ、それは……」


 どちらにせよ、陛下に嘘をついたことに相違なかった。


 陛下に嘘をつくという行為は、陛下の真意に基づく行動や言葉を邪魔するというもの。


 陛下の言動の邪魔をするということは、すなわち陛下に対する反逆罪ということだ。


「そうじゃなくて、えっと、その……」


 さすがの愚妹も、自分のしでかした問題に気づいたらしい。


 何か抜け道はないかと、必死に探している。

 その形相が滑稽で、思わず吹き出しそうになった。


「お、脅されていたんです!」


 ようやく抜け道を発見したのか、マリーは苦し紛れに叫ぶ。


「そうです、そうです!」

 いかにも何も考えていなさそうなヘンリー王子も、彼女の言葉に全面同意だった。

 
「脅されていた?」


 陛下は丁寧にオウム返しをする。

「誰にだ?」

「お、お父様とお母様ですわ! 今回の件は、すべて2人に脅されて行ったことなんです。お姉様を脅さないと、暴力を振るうぞなんて言われて……!」


 マリーは、わあわあと彼らを指差しながら喚く。


 相変わらず元気な彼女に対して。

 両親は最愛の娘に裏切られ、唖然としている。


 今まさに自分たちが陥れられそうになっているというのに、弁明する気力もないみたいだ。



 確か彼女は、ヘンリー王子や両親曰く、

「地上に舞い降りた天使」

 だったはずだが。


 今の彼女は、その愛らしい容姿を存分に歪め、髪を振り乱しながら必死に保身に走っている。


「へえ」

 陛下はいかにも納得したように大きく頷く。

「つまり、先ほどまでお前たちがしでかした茶番……いや、失礼。一連の事件の黒幕は、そこの公爵夫妻と言うことだな」

「え、ええ」

「はい。そうです、父上。ですのでどうか、私と可愛いマリーに慈悲を」


「ふむ」

 陛下は神妙な面持ちで、質問を続ける。


「今お前たちが言ったことは、嘘偽りないな?」

「「はい」」

「本当に、嘘ではないんだな?」

「「はい」」

「本当なんだな?」

「もちろんです、父上」


 ヘンリー王子は、一歩前に出てベラベラと言葉を放つ。


「この私が父上に嘘をつくはずがありませんよ」


 両手を広げ、演説者のように仰々しく語る。


「父上がそこまで私をお疑いになるとは、心外です。私は誠実な人間ですから」

「そうか。本当だと言うのだな」

 なおも念を押す陛下。


「ええ、そうですとも」


 いい加減この押し問答が鬱陶しくなったのか、嫌そうな顔をする殿下。


「では、こうしよう」

 陛下は提案した。

「その言葉が真実であれば、お前とそこのマリーの罪を、なかったことにしてやろう。だが、もし嘘をついていた場合――第三王子の称号を剥奪する」


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

【完結】不貞三昧の夫が、『妻売り』すると聞いたので

との
恋愛
神も国法も夫の不貞如きでは離婚を認めない『離婚、暗黒時代』に、庶民の間では『妻売り』が行われていた。 妻を縄で縛り、公開の場で競りを行う『妻売り』は悪習か、やむにやまれぬ者達が捻り出した奇策か⋯⋯。 結婚前から愛人を作り、2度としないと言う約束で結婚したはずなのに⋯⋯愛人を作り続ける夫と離婚できない主人公アイラ。 夫が『妻売り』すると言いながら、競りの参加者を募っている場に遭遇したアイラは⋯⋯何を考え、どんな行動に出るのか。 『妻売り』自体は本当にあったお話ですが、このお話は⋯⋯もちろん、フィクション。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 8話で完結、公開予約設定済み。 R15は念の為・・

公爵家の養女

透明
恋愛
リーナ・フォン・ヴァンディリア 彼女はヴァンディリア公爵家の養女である。 見目麗しいその姿を見て、人々は〝公爵家に咲く一輪の白薔薇〟と評した。 彼女は良くも悪くも常に社交界の中心にいた。 そんな彼女ももう時期、結婚をする。 数多の名家の若い男が彼女に思いを寄せている中、選ばれたのはとある伯爵家の息子だった。 美しき公爵家の白薔薇も、いよいよ人の者になる。 国中ではその話題で持ちきり、彼女に思いを寄せていた男たちは皆、胸を痛める中「リーナ・フォン・ヴァンディリア公女が、盗賊に襲われ逝去された」と伝令が響き渡る。 リーナの死は、貴族たちの関係を大いに揺るがし、一日にして国中を混乱と悲しみに包み込んだ。 そんな事も知らず何故か森で殺された彼女は、自身の寝室のベッドの上で目を覚ましたのだった。 愛に憎悪、帝国の闇 回帰した直後のリーナは、それらが自身の運命に絡んでくると言うことは、この時はまだ、夢にも思っていなかったのだった―― ※月曜にから毎週、月、水曜日の朝8:10、金曜日の夜22:00投稿です。 小説家になろう様でも掲載しております。

逆転した王女姉妹の復讐

碧井 汐桜香
ファンタジー
悪い噂の流れる第四王女と、 明るく美しく、使用人にまで優しい第五王女。

『嫌われ令嬢ですが、最終的に溺愛される予定です』

由香
恋愛
貴族令嬢エマは、自分が周囲から嫌われていると信じて疑わなかった。 婚約者である侯爵令息レオンからも距離を取られ、冷たい視線を向けられている――そう思っていたのに。 ある日、思いがけず聞いてしまった彼の本音。 「君を嫌ったことなど、一度もない」 それは誤解とすれ違いが重なっただけの、両片思いだった。 勘違いから始まる、甘くて優しい溺愛恋物語。

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

処理中です...