【完結】は? 婚約破棄? ……いやあの、私たちそもそも婚約していなかった気が

小倉みち

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頭が痛い

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  どうしよう……。

  めちゃくちゃ頭が痛くなってきたわ。

  アホの相手をするのが本当に辛い。


  しかたなく、私は口答えするのを断念し、丁重にお帰りいただくことにする。

「そうですか。ですが、何度も言っておりますがマリアンヌは休養中です。お帰りください」

「お前のような薄汚いブスがいるところに、マリアンヌを置いてはおけない。さっさと引き渡すんだ」


  誰がブスだ。

  顔だけのお前に言われたくない。


  思わずそう叫んでしまいたくなる心の内を抑え込む。


  不敬罪になるのはごめんだ。

  両親に迷惑がかかる。


「それは困ります。マリアンヌは本当に病気なので。第二王子殿下に移ってしまったら、私たちは責任が取れませんわ」

「お前たちみたいな雑魚はどうでもいい。さっさと愛らしいマリアンヌを渡すんだ」


  ああ。話が通じない。

  私は軽く二回手を叩いた。

「はい、なんでございましょうか?」

  音に反応し、後ろに控えていた他のメイドがスっと前に現れる。

「宮廷に連絡して頂戴」

「かしこまりました」

  彼女はそれだけ言って、私の部屋を立ち去る。

  これで王様の耳にこのことが伝われば、私はこの地獄から開放される。

「まさか、父上に告げ口する気だな!? なんと卑怯な女だな、お前は」

「それはもちろん、このことは王家と我が家の問題ですからね。あなたのお父様にお伝えしなければ、そのことこそ大問題ですわ」

「ぐっ……」

  良い年齢の人間は、こういう場に両親の名前を出されれば、ひとたまりもないだろう。

  そう言えばこの馬鹿王子、つい先日また変なことをやらかして国王に叱られていたようだ。

  ーーが、彼の恋の炎がそんなに簡単に消えることはなかった。

「う、うるさい! そんなことをしても、私の気は引けないぞ!」

「まだ言っているんですか……。はい、第二王子殿下がお帰りになられるそうです。すぐに支度を」

「「かしこまりました!」」

  二人の執事は第二王子の両脇を抱え込んだ。

「な、何をする!? お前たちを不敬罪で訴えてやるぞ!」

「それより先にこちらが不法侵入で訴えますから。さあ、早く帰ってください」

  ものすごく嫌な予感がする。

  いつもであれば、マリアンヌが起きてくる頃合いだ。


  そんなときに、このアホが家に来ていると知ってしまえば……。


  私は焦った。

「はい、それではまた学園でお会いしましょう」

「待て! 話はまだ終わっていないぞ!」

  扉の向こうで、息を飲む音が聞こえる。


  うわ、やってしまった。


  私は頭を抱え、後悔する。


  早めにこの馬鹿を追い出せば良かった。


「その声は……! ジョージ王子、ジョージ王子殿下では!?」

「マリアンヌ、マリアンヌなのか……!」


  ああ、頭が痛い。
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