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妖精王
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妖精王と私は、旧知の中だった。
我が公爵家の領地の森にひっそりと住まう妖精たち。
その中の王が、彼。
彼の名前は知らない。
誰も、彼のことを「妖精王」と呼んで親しんでいる。
私もその中の1人で、かつて森の中で迷子になって以来、背の高くて人間味のしない彼をそう呼んでいる。
妖精王は、不思議な生き物だった。
この世のものとは思えないほど美しい顔を持った男。
彼は瞬時にしてすべての他者を魅了するような、そんな強い力を持っていた。
なぜか私はそんな妖精王に気に入られ、この短い人生の中、何度か彼に助けてもらったことがあった。
彼は不愛想だが、優しい心の持ち主である。
その辺の人間よりも、よっぽど素晴らしい人格者だった。
しばらく見えないと思っていたら――。
「もともと妖精は、人間の営みに過干渉してはいけないという掟がある」
と、彼は泣き止んだ私に説明してくれた。
「なくしもののありかを教えたり、道に迷った幼い子どもを案内してやったりすることくらいであれば、神も目を瞑ってくださるが……。お前をあの闇から救ってやることは、どうしても出来なかった。すまない」
謝罪する妖精王。
私はその言葉を聞いて、さらに申し訳なくなる。
妖精王が悲しんでいる。
私のせいで、妖精王が――。
「謝るな」
私が口を開こうとすると、妖精王はそれに先んじて私の言葉を押し留めた。
「お前は何も悪くない。神もそう言っておられる」
「……」
「お前を助けてやれなかったのが、私の後悔。何度も神を説得し、ようやくお前を救う許可を得られた。もう遅いかもしれないが」
「いいえ……。そんなことは」
「どうだ? ヴィクトリア」
妖精王は私の身体から離れ、尋ねる。
「ここは黄泉の世界。本来死んだ者は、ここでゆっくり塵となり、世界を構成する物質となる。が、我が力を持ってすれば、お前をもう一度蘇らせることが出来る。問おう。お前はもう一度、人間として生を受け、生きたいと願うのか?」
我が公爵家の領地の森にひっそりと住まう妖精たち。
その中の王が、彼。
彼の名前は知らない。
誰も、彼のことを「妖精王」と呼んで親しんでいる。
私もその中の1人で、かつて森の中で迷子になって以来、背の高くて人間味のしない彼をそう呼んでいる。
妖精王は、不思議な生き物だった。
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なぜか私はそんな妖精王に気に入られ、この短い人生の中、何度か彼に助けてもらったことがあった。
彼は不愛想だが、優しい心の持ち主である。
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しばらく見えないと思っていたら――。
「もともと妖精は、人間の営みに過干渉してはいけないという掟がある」
と、彼は泣き止んだ私に説明してくれた。
「なくしもののありかを教えたり、道に迷った幼い子どもを案内してやったりすることくらいであれば、神も目を瞑ってくださるが……。お前をあの闇から救ってやることは、どうしても出来なかった。すまない」
謝罪する妖精王。
私はその言葉を聞いて、さらに申し訳なくなる。
妖精王が悲しんでいる。
私のせいで、妖精王が――。
「謝るな」
私が口を開こうとすると、妖精王はそれに先んじて私の言葉を押し留めた。
「お前は何も悪くない。神もそう言っておられる」
「……」
「お前を助けてやれなかったのが、私の後悔。何度も神を説得し、ようやくお前を救う許可を得られた。もう遅いかもしれないが」
「いいえ……。そんなことは」
「どうだ? ヴィクトリア」
妖精王は私の身体から離れ、尋ねる。
「ここは黄泉の世界。本来死んだ者は、ここでゆっくり塵となり、世界を構成する物質となる。が、我が力を持ってすれば、お前をもう一度蘇らせることが出来る。問おう。お前はもう一度、人間として生を受け、生きたいと願うのか?」
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