10 / 20
障壁① ~ライアン視点~
しおりを挟む
すべては終わったはずだった。
何もかも全部。
俺に逆らう者は誰もいない。
そのはずだった。
愛しのナターシャと結ばれるために、邪魔だった婚約者と父を同時に排除出来る素晴らしい案。
これを思いついたのは、俺の腹心の部下。
その当時、俺は悩んでいた。
俺の心は既にナターシャのものだった。
彼女も、また俺を愛してくれていた。
お互いを深く愛したもの同士は、結ばれなければならない。
しかし俺たちの愛の前に、何よりも高くそびえ立つ障壁が2つ。
1つ目は、俺の婚約者だったヴィクトリア。
彼女は、親が決めた婚約者だった。
もちろん最初は、彼女を大切にしようと思っていた。
幼い、まだ物の分別もついていないころの話ではあるが。
線が細く、色白で、いかにも貴族の令嬢らしい美しさ。
俺だって昔は、彼女を王妃とする未来を描いていた。
しかし彼女を想う気持ちは、運命の相手であったナターシャの登場によって、すっかりと消え去ってしまった。
ナターシャも、美しかった。
しかし彼女の美しさは、令嬢の病的な、不健康そうなものではない。
生命溢れる、健康的な美しさだ。
俺は彼女を見た途端、魂が抜け落ちたみたいに、真っ白になった。
すべてのしがらみから解き放たれたような、生まれ変わったような心地。
俺はあの瞬間、彼女の虜になったのだ。
そして彼女を手に入れたあの日、彼女が俺を愛してくれるようになったあの日、俺はヴィクトリアが邪魔になった。
ヴィクトリアの、今にも消え入りそうな美しさよりも、ナターシャの、野に咲く大輪のひまわりのような美しさの方が、俺には性が合っていたのだ。
俺の気持ちがナターシャに向いたことに気づいたのか、彼女は突然俺たちに介入し始めた。
「婚約者がいる身でありながら」
「みだりに未婚の男女が」
「公然の場では、それらしく振舞ってください」
いちいち俺たちの前に現れては、重箱の隅をつつくようなことを言い出す。
なぜ、この女は俺たちの邪魔をするのか。
俺たちが結ばれるのが、そこまで嫌なのか。
彼女への感情は、婚約者に対する慈しみよりも、段々と苛立ちへ変わっていった。
邪魔だと思った。
この女が、邪魔だ。
この女がいるから、俺はナターシャと一緒になれないのだ、と。
何もかも全部。
俺に逆らう者は誰もいない。
そのはずだった。
愛しのナターシャと結ばれるために、邪魔だった婚約者と父を同時に排除出来る素晴らしい案。
これを思いついたのは、俺の腹心の部下。
その当時、俺は悩んでいた。
俺の心は既にナターシャのものだった。
彼女も、また俺を愛してくれていた。
お互いを深く愛したもの同士は、結ばれなければならない。
しかし俺たちの愛の前に、何よりも高くそびえ立つ障壁が2つ。
1つ目は、俺の婚約者だったヴィクトリア。
彼女は、親が決めた婚約者だった。
もちろん最初は、彼女を大切にしようと思っていた。
幼い、まだ物の分別もついていないころの話ではあるが。
線が細く、色白で、いかにも貴族の令嬢らしい美しさ。
俺だって昔は、彼女を王妃とする未来を描いていた。
しかし彼女を想う気持ちは、運命の相手であったナターシャの登場によって、すっかりと消え去ってしまった。
ナターシャも、美しかった。
しかし彼女の美しさは、令嬢の病的な、不健康そうなものではない。
生命溢れる、健康的な美しさだ。
俺は彼女を見た途端、魂が抜け落ちたみたいに、真っ白になった。
すべてのしがらみから解き放たれたような、生まれ変わったような心地。
俺はあの瞬間、彼女の虜になったのだ。
そして彼女を手に入れたあの日、彼女が俺を愛してくれるようになったあの日、俺はヴィクトリアが邪魔になった。
ヴィクトリアの、今にも消え入りそうな美しさよりも、ナターシャの、野に咲く大輪のひまわりのような美しさの方が、俺には性が合っていたのだ。
俺の気持ちがナターシャに向いたことに気づいたのか、彼女は突然俺たちに介入し始めた。
「婚約者がいる身でありながら」
「みだりに未婚の男女が」
「公然の場では、それらしく振舞ってください」
いちいち俺たちの前に現れては、重箱の隅をつつくようなことを言い出す。
なぜ、この女は俺たちの邪魔をするのか。
俺たちが結ばれるのが、そこまで嫌なのか。
彼女への感情は、婚約者に対する慈しみよりも、段々と苛立ちへ変わっていった。
邪魔だと思った。
この女が、邪魔だ。
この女がいるから、俺はナターシャと一緒になれないのだ、と。
3
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる