愛される奇蹟

こうらい ゆあ

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自分が好きになった人が、同じように好きになってくれる
これってドラマとか本では当たり前のことなのに、現実がそうだとは限らない
しかも、同性のノンケを好きになったところで、愛して貰えるなんて奇跡としか言いようがない


姉の結婚式を眺めながらそんなことを思ってちょっと泣ける
ここで泣いたら絶対シスコンだって言われるから絶対泣かない
いや、姉貴のことはめっちゃ好きだし、仲良いけどさ...

初恋が叶わないってのはホントなんだなぁ~

って、オレこんなロマンチストだっけ?

二人の幸せそうな顔に嬉しいような寂しいうな...複雑な心境のまま式が終わった



近所でも評判になるくらい家族仲は良いと思う
反抗期ってのもなく、姉貴とは趣味とかも合うから仲が良いしオレの性癖についても相談したくらいだから...

そう、オレの恋愛の対象が男性なのも知っている
ただ、その好きになった相手がまさか姉の恋人だとは流石に言えなかった...

姉貴が初めて春人さんを連れてきた時は、こんなんが姉貴の彼氏なんてあり得ん!ってキレてたのに...
何度も会ううちに、天然だけどしっかりしてるところとか、犬に好かれるのに苦手なところとか、優しくて頼りになるところとか...
いつの間にか、オレの方が惹かれてしまっていた

オレの初恋は、始まる前に終わっていた

「姉貴、春人さん、結婚おめでとう!
姉貴、ドレス綺麗だな!めっちゃ馬子にも衣装って感じ!!」
言った瞬間に拳が飛んできて、見事に顎に当たる
目の前にキラキラと星が見える程のクリティカルヒット

「ぐあ....」
ガクッと膝から崩れ落ち、顎を抑える

「花奈ちゃん、今日はお淑やかな花嫁様でいたいって言ってたのに、いつも通りだね」

身内にとっては日常的な光景にケタケタ笑いが上がるものの、周りの来客はちょっと引いてた...


幸せそうな二人を見て、涙を誤魔化すように伸びをし
「二次会まで時間あるし、ちょっと休憩してくる
姉貴、今日このホテルで冬弥の撮影があるらしいけど、ファンだからって結婚式ほっといて見に行ったりするなよ~」

拳を握る姉貴から笑いながら小走りで逃げるように会場を後にした



広いホテルの中庭をアテもなく歩く
「色々、ヤバかった...」
溢れ落ちる涙を手の甲で拭う
跡が残らないようにしないとな...

花のアーチェを抜けると少し開けた場所に出た
色とりどりの花が咲き誇り、穏やかな日差しが差し込んでくる
御伽噺のような綺麗な場所
光の降り注ぐ広場の真ん中にポツンとベンチが置いてあり、人が横たわっていた
薄く光の透ける金色の長い髪が風に揺らぎ、絵に描いたような綺麗な人
「...キレイだな...」
つい言葉が声に出してしまい、慌てて口を手で押さえる

眠っていた彼女が目を覚まし、こちらを見てくる
不思議な青色の瞳が印象的でついじっと眺めてしまう

「なんで泣いてるの?」
起き上がりこちらに向かってくる彼女...?
想像よりも声がハスキーなような...ってか、デカくない!?
思っていたよりもずっと背が高いことに驚いていると、そっと涙を拭われる
「えっ...、あ、えっとこれは...」
慌てて手の甲でゴシゴシ拭っていると両手を抑えられ、目元にキスをされる
「オレが一緒にいてあげるよ」
耳まで真っ赤になり、頬が熱い
パクパクと口を開閉して何か言いたかったのに声にならない

「冬弥、どうしたんだ?知り合い?」
撮影スタッフらしき人がこっちに来る

ん?撮影?
「えっ...、とうや...?って、あの...と冬弥?」

驚きのあまり目を見開き、慌てて逃げようとするが、がっしり手を握られていて逃げ出せない
「あのっ、すみません!オレ、迷い込んでしまって...
あ、姉貴の結婚式でここのホテル使ってて、散歩してたら...あぁっ!ホントすみませんでした!!」
手を握られたまま頭を下げて謝り倒す
「冬弥、とりあえず手を離したげなよ。ってか、お前も勝手に動くなって...」

呆れた声が聞こえるが、自分の心臓のバクバク音に頭が回らない
ヤバい、姉貴よりもオレの方がやらかしてるじゃん!

手が離れて自由になると、再度頭を深く下げてお辞儀をし
「本当っーにすみませんでした!!!」
大声で謝罪をし、中庭を走って逃げるように去った
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