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15話
しおりを挟む翌日、目が覚めるとカーテンの隙間から日光浴しているアリコーンの姿が見えた。
「おはよう、アリコーン」
≪おはよっ! イザベラ、よく眠れた?≫
「うん。アリコーンは眠れた?」
こくっとうなずくアリコーンを見て、わたくしは笑みを浮かべた。起き上がるのと同時に、コンコンコン、と扉をノックする音が聞こえる。誰だろう? と思ったら、フランクリン家のメイドの声が聞こえた。
「入ってちょうだい」
「失礼します、お嬢様。ランシリル様より、これを渡すように、と」
子爵家で働いていたメイドのエマ。持っているのは白、赤、緑、紫、黒の布。
「これは……?」
肌触りの良い布。困惑していると、エマが微笑みを浮かべながら、
「本日は、この布を使って服を作るようにとのことです」
「……神殿だものね」
ドレスで過ごすのは色々大変だろうし……。
「作り方は教えていただきましたので、一緒に作りましょう」
「うん。みんなは?」
「フランクリンの使用人たちは全員、服作りです。旦那様は研究へ」
「お母様は?」
「昨日のうちに作られたようで、今は刺繍をなさっています」
……お母様、すごい。
アリコーンがベッドに近付いて来て、布を見るとすんすんと匂いを嗅いでからぴたっと角を布に押し当てた。
「アリコーン?」
≪イザベラを守ってくれますようにってお祈りしたの!≫
「そっか、ありがとう。……じゃあ、張り切って作らないとね」
「裁縫箱はこちらに用意しております。お嬢様、私もここで作らせて頂いて良いですか?」
「もちろんよ。この部屋広いし……、みんなでワイワイ作るのも良いかもね」
そう言うとアリコーンはパタパタと翼を動かした。アリコーンって人と一緒に居るのが好きみたい。この子だけかな? それでも、嬉しそうにしているのを見るのは楽しい。
「それでは、その前に着替えましょうか」
「そうね、お腹も空いたわ」
「ふふ」
アリコーンが目を瞑っているうちに、わたくしは着替えを済ませた。やっぱり神殿でドレスを着ているのはちょっと変な感じがする。そして、食堂に向かう。アリコーンも一緒だ。食堂の場所はヒューバートとジェレミーが教えてくれた。
「食事の時間は決まっていますか?」
「いえ、いつでもお使いください。割と自由なんですよ」
「なるほど……。あ、あなたたちも食べましたか?」
「……実はまだでして。良かったら一緒にどうですか?」
「はい、一緒に食べましょう」
食事はワイワイとするほうが好きだから、ジェレミーの提案を受け入れた。すると、彼らは目を瞬かせた。
「どうしました?」
「いや、貴族のお嬢さんって聞いていたんで、ちょっと意外だな、と」
「そうですか?」
……一体どんなことを想像していたんだろう?
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