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工学部卒が現世の知識を役立てるならこれしかありません
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今日は学校です。
お昼休み、私はマヤに声をかけた。きた先輩の話からすると、マヤは現在小説を書いている恵都先輩が入ってるはず。マヤと一緒に図書室に行く。エリンさんには図書室の入口で待ってもらい、2人であまり人のこない奥の書棚まで行った。
「恵都先輩、お久しぶりです。M高第77期生、文芸部の後輩の鹿野愛梨です。」
マヤ、目をつぶって考える。そして、嬉しそうな笑顔を浮かべ、
「ありちゃん!久しぶりー。」
「恵都先輩。」
私はマヤに抱きついた。現実だったら抱きつくことなんて絶対にない間柄。私のメンタルが弱り果ててるのがわかる。
「ありちゃん、どうしたの?泣いてる?」
「先輩、辛いです。アリアの毎日、辛すぎです。」
「慣れたら楽しいわよ。私、学園祭のミスコン優勝してモテモテなの。ありちゃんも美人さんだよー。」
「見た目変わって美人になっても誰も話しかけてくれません(泣)」
「アリアは完璧な人だから話しかけにくいのかもね。」
「先輩、カーテシーがわかりません。ダンスのステップもわかりません。どうやって覚えました?泣きたいです。」
「あー、それ、私は平民出自だから出来ない知らないでなんとかなってる。アリアは公爵家で躾られてたからキレかったね。あのレベルを要求されると確かに辛いね。」
えーん。毎日毎日めっちゃ練習してる。受験勉強の方が座って出来る分楽だったよー。
「ところで、先輩、なんでサブキャラのマヤになったんですか?」
「だってさ、きたさんから『続きを書いて終わらせて』って小説を引き継いだけど、なんか興味ないテーマなのに長くてさ。エタる直前の話だけささっと読んだんだけど、主人公マヤと悪役令嬢アリアが頻出してるじゃない。主人公って書かれてるからマヤがヒロインの話だと思ったのよね。」
うんうん。それはわかる。主人公と呼ばれるこがサブキャラで悪役が主役な話って意味が分からない。
「私はマヤ、私はマヤ、って思いながら寝たら、こうやってマヤになれたの。それで、こっちで寝たら現世に戻るから、思い出しながらスマホでポチポチ書いてる。」
「え!スマホで書けるんですか?」
「うん、『私も小説家』ってサイトがあって、誰でも小説書き放題、読み放題なの。」
「はあ。」
「でね、BLもあるの。読むだけじゃなく私も早く書きたいわー。ルイハリーとかアルフィエリオットとか。ハリーは攻めでも面白いの書けそう。想像だけで萌えるわー。」
でた。腐女子。
恵都先輩が本能のまま動いてストーリーを壊してるから、きた先輩はコミケ知らずの私を送りこんだのね。
ん?ちょい待て。
「先輩、そのBLネタ、もう小説に書かれたんですか?」
「それが、ジャンルを変えることができないから書けないのよ。この話は恋愛じゃないといけないの。」
ほっ。私の婚約者はとりあえずは無事なのね。ただでさえ辛い環境なのに、婚約者がゲイだった、なんてことになったら悲惨すぎる。
「でも婚約者を男にとられて弾劾裁判もおもしろいパターンよね。」
しまった。エラい方向にボールを投げてしまった。
「小説、いまどうなってるんですか?」
「ありちゃん、現世で読んで。10歳から始まるから長くて長くて。」
「私、ずっとこっちなんですけど・・・」
「?私はこっちで寝たら現世に戻るよ。」
「私は戻りません。」
?なんでだろ?
「きたさんが書いてる時はアリアが主役だったのよ。で、私が12年生になった半年ほどを書いてるんだけど、何したらいいかよくわからないから、主役マヤが5人の攻略対象者を順に落としていく様を書いたの。そして、5人全部落としたからネタ切れ中。」
「その5人の中に私の婚約者は・・・・・・」
「ルイ?もちろん落としたわよ。」
あちゃー、だからアリアはショックで出てこないのか。
「ルイだけ返して下さい。」
「人の気持ちだからねぇ。私にはどうにもできないわ。」
「小説に、『ルイはマヤにあきて、愛するアリアの元に戻った』ってただそれだけ書けばいいのでは?」
「ちゃんと理由がないと読者が納得しないでしょ。イベント、考えてよ。攻略対象をぜーんぶ落としちゃって、やることないから書くこともなくって、仕方がないからアリアを消そうと彼女の靴の裏に漏を塗ってみたのよね。」
で、私アリアは滑って転んで死にかけたのね。ストーリー行き詰まったら登場人物を殺すって、お前はあだち充か⁈
「でも、すごいですね。女性の好みが違うであろう5人全員を落とせるなんて。後学までにどういう手を使ったのか教えてください。」
「ふ、ふ、ふ、ふ、ふ。現世の知識よ!胃袋をつかんだの。マヨネーズ最強!」
現世の知識かー。でも私の知識、アプリ作ったりExcelやAccessが出来てもコンピュータが普及してないとどうにもならない。工学部あかんわー。
自分の知識で出来ることをいろいろ考えてふと思いついた。
「先輩、コイルを出して下さい。」
「コイル?何するの?」
拳を握りしめ、力強く宣言した。
「エジソンになります。」
「だめだめだめだめだめーー。却下ーー。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
弾劾裁判まであと10日
お昼休み、私はマヤに声をかけた。きた先輩の話からすると、マヤは現在小説を書いている恵都先輩が入ってるはず。マヤと一緒に図書室に行く。エリンさんには図書室の入口で待ってもらい、2人であまり人のこない奥の書棚まで行った。
「恵都先輩、お久しぶりです。M高第77期生、文芸部の後輩の鹿野愛梨です。」
マヤ、目をつぶって考える。そして、嬉しそうな笑顔を浮かべ、
「ありちゃん!久しぶりー。」
「恵都先輩。」
私はマヤに抱きついた。現実だったら抱きつくことなんて絶対にない間柄。私のメンタルが弱り果ててるのがわかる。
「ありちゃん、どうしたの?泣いてる?」
「先輩、辛いです。アリアの毎日、辛すぎです。」
「慣れたら楽しいわよ。私、学園祭のミスコン優勝してモテモテなの。ありちゃんも美人さんだよー。」
「見た目変わって美人になっても誰も話しかけてくれません(泣)」
「アリアは完璧な人だから話しかけにくいのかもね。」
「先輩、カーテシーがわかりません。ダンスのステップもわかりません。どうやって覚えました?泣きたいです。」
「あー、それ、私は平民出自だから出来ない知らないでなんとかなってる。アリアは公爵家で躾られてたからキレかったね。あのレベルを要求されると確かに辛いね。」
えーん。毎日毎日めっちゃ練習してる。受験勉強の方が座って出来る分楽だったよー。
「ところで、先輩、なんでサブキャラのマヤになったんですか?」
「だってさ、きたさんから『続きを書いて終わらせて』って小説を引き継いだけど、なんか興味ないテーマなのに長くてさ。エタる直前の話だけささっと読んだんだけど、主人公マヤと悪役令嬢アリアが頻出してるじゃない。主人公って書かれてるからマヤがヒロインの話だと思ったのよね。」
うんうん。それはわかる。主人公と呼ばれるこがサブキャラで悪役が主役な話って意味が分からない。
「私はマヤ、私はマヤ、って思いながら寝たら、こうやってマヤになれたの。それで、こっちで寝たら現世に戻るから、思い出しながらスマホでポチポチ書いてる。」
「え!スマホで書けるんですか?」
「うん、『私も小説家』ってサイトがあって、誰でも小説書き放題、読み放題なの。」
「はあ。」
「でね、BLもあるの。読むだけじゃなく私も早く書きたいわー。ルイハリーとかアルフィエリオットとか。ハリーは攻めでも面白いの書けそう。想像だけで萌えるわー。」
でた。腐女子。
恵都先輩が本能のまま動いてストーリーを壊してるから、きた先輩はコミケ知らずの私を送りこんだのね。
ん?ちょい待て。
「先輩、そのBLネタ、もう小説に書かれたんですか?」
「それが、ジャンルを変えることができないから書けないのよ。この話は恋愛じゃないといけないの。」
ほっ。私の婚約者はとりあえずは無事なのね。ただでさえ辛い環境なのに、婚約者がゲイだった、なんてことになったら悲惨すぎる。
「でも婚約者を男にとられて弾劾裁判もおもしろいパターンよね。」
しまった。エラい方向にボールを投げてしまった。
「小説、いまどうなってるんですか?」
「ありちゃん、現世で読んで。10歳から始まるから長くて長くて。」
「私、ずっとこっちなんですけど・・・」
「?私はこっちで寝たら現世に戻るよ。」
「私は戻りません。」
?なんでだろ?
「きたさんが書いてる時はアリアが主役だったのよ。で、私が12年生になった半年ほどを書いてるんだけど、何したらいいかよくわからないから、主役マヤが5人の攻略対象者を順に落としていく様を書いたの。そして、5人全部落としたからネタ切れ中。」
「その5人の中に私の婚約者は・・・・・・」
「ルイ?もちろん落としたわよ。」
あちゃー、だからアリアはショックで出てこないのか。
「ルイだけ返して下さい。」
「人の気持ちだからねぇ。私にはどうにもできないわ。」
「小説に、『ルイはマヤにあきて、愛するアリアの元に戻った』ってただそれだけ書けばいいのでは?」
「ちゃんと理由がないと読者が納得しないでしょ。イベント、考えてよ。攻略対象をぜーんぶ落としちゃって、やることないから書くこともなくって、仕方がないからアリアを消そうと彼女の靴の裏に漏を塗ってみたのよね。」
で、私アリアは滑って転んで死にかけたのね。ストーリー行き詰まったら登場人物を殺すって、お前はあだち充か⁈
「でも、すごいですね。女性の好みが違うであろう5人全員を落とせるなんて。後学までにどういう手を使ったのか教えてください。」
「ふ、ふ、ふ、ふ、ふ。現世の知識よ!胃袋をつかんだの。マヨネーズ最強!」
現世の知識かー。でも私の知識、アプリ作ったりExcelやAccessが出来てもコンピュータが普及してないとどうにもならない。工学部あかんわー。
自分の知識で出来ることをいろいろ考えてふと思いついた。
「先輩、コイルを出して下さい。」
「コイル?何するの?」
拳を握りしめ、力強く宣言した。
「エジソンになります。」
「だめだめだめだめだめーー。却下ーー。」
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弾劾裁判まであと10日
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