【完結】異世界でお菓子屋さんを始めました！

異世界でお菓子屋さんを開きました 第三章 本編(和菓子編 後半)

第14話 助けを求め…走る①

…………………………………………………………… 

第14話　助けを求め…走る①
………………………………………………………………
 


「はぁっ…はぁっ…」

息を切らし、私はある目的地へ
走り続ける…

黒夜ちゃんが、時間稼ぎをしている間に
間に合わなきゃっ

オキニス君達がいる、呉紅店主のお店へ！

…黒夜ちゃん…

大丈夫かなっ…

私に心配かけまいと、
笑顔を見せて…雛美火様の足止めを…
私を守ってくれた…

黒夜『真澄…本当に苦労をかけて…
駄目な父親で本当にごめん…ごめんね…
さあっ走って…【彼がいる場所】に向かって！』

……私の本当のお父さん…

……あまりの内容に
正直、驚いたけど…

あの時の黒夜ちゃんの真剣な顔や
声色を見て聞いて、
嘘なんかじゃないんだって理解した。

本当の事なんだって…

母さんは知っていたのかな、
私のお父さんが黒夜ちゃんだって…

…一時期、2人は気まずい様子だったけど、
最近の2人はなんだか、仲睦まじい。

その時には母さんは…もう…



全てが終わったら、

2人と…ちゃんとお話がしたい
私の出生の事、黒夜ちゃんの事、
他愛のない話だって…

空いた家族の時間を埋めるように
これからは3人で暮らしたい

それと…雛美火様の件について、
黒夜ちゃんが言った事は本当なのか

黒夜ちゃんと私達を引き離した事…
母さんと私を殺そうとした事…

もし、本当なら…


「…………っ…悲しいな…」


……でも、見て見ぬ振りは駄目よ…
しっかり、事実だったら受け止めないと…



とりあえず…今はっ……

呉紅店主の元へ急がなきゃ！！

今、こうして黒夜ちゃんが時間稼ぎを
している内に、間に合える様に…

彼が命懸けで私を守っている
無駄にしてはいけない！

万が一、間に合わなかったら…
雛美火さんに捕まったら
きっと、私はみんなに会えない。

クモード王国で待っている、ピンキーさん
ヨーグルさん、ココレットちゃんに職場の仲間…ルビーさんに…王国のみんな…

牡丹王国まで助けに来てくれた、
ダージリンさん、シリンヌ王子…

そして、大好きなオキニス君に……


いや…絶対に嫌…
雛美火さんに捕まりたくないっ
捕まったら、何もかもおしまいだ…

…雛美火さん…

私の事を好きになってくれて、
ありがとうございます…だけど私は

心に決めた人が…好きな人がいるんです。
彼と隣で笑って過ごすって
決めているんです…

だからっ…

私の事はどうか諦めて下さいっ


………………………………………………………………


……………………………………………


………………………………


「はあっ…はあっ…」

息を切らしながら走り続ける。
呉紅店主のお店まで あともう少し…

逃げ切らなきゃ…そう思い、
すぅと呼吸をした瞬間、


ドカーン！！！

激しい爆発音がした。

「……………えっ」

一度、立ち止まり
びっくりして爆発音がした方向を
見ると…

もくもくと煙が上がっていて…
なんと、場所は……

「黒夜ちゃん……」

私が先程いた場所…
そして今は黒夜ちゃんがいる。

「…………っそんな……」


今の爆発で…まさか黒夜ちゃん……



ううん……そんな訳ない、
黒夜ちゃんは絶対に生きている。

なに弱気になっているの…
私ができる事は黒夜ちゃんの無事を
祈るだけしか出来ない。

役立たずでごめんなさいっ…


どうか、黒夜ちゃん…無事でいて！！


そう強く祈り、私は力のある限り
再び走り出した。