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エリートオメガ受佐美の秘密
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攻田の部屋。
重たい扉が閉まる音に、受佐美は思わず肩をすくめた。
「……な、なんで……。」
攻田はスーツの上着を脱ぎながら、余裕の笑みを浮かべる。
「こっち、座ってください。」
拒もうとした足を、柔らかい声に導かれるようにソファまで運んでしまう自分が悔しい。
受佐美はソファの端に腰を下ろし、膝をぎゅっと抱え込んだ。
「本当に……バラされたら困るんだ。」
「どうしようかなぁ。」
攻田はすぐ隣に座り、腕をソファの背に回して包囲するような姿勢を取る。
逃げ場がなくなり、受佐美の心臓は速くなる一方だった。
「こういう時、何を差し出せばいいか……わかりますよね?」
低い声が耳元に触れ、受佐美はびくりと震えた。
「……金なら……いくらでも……。」
「そういうことじゃない。」
スルリと顎先を指で持ち上げられ、目が合う。
逃げたくても逃げられない。
いやらしい笑みでもないのに、全身が熱くなっていくのを感じた。
「……っ、頼む……。」
「あー、そんな顔するんだ?」
攻田がわずかに笑う。
「可愛いな、先輩。」
恥辱と怒りがないまぜになり、受佐美は必死に顔をそむける。
しかし、背中に触れる大きな手がじわりと力を込める。
「もう、フェロモン……だだ漏れですよ。」
「……う、うそ……っ。」
鼻先が触れるほどの距離で、攻田が囁く。
その声の余裕が、逆に恐ろしい。
体は熱を帯び、思考が鈍る。
「俺が黙ってる代わりに……体で払ってもらおうかな。」
「……や、やめ……。」
言葉とは裏腹に、胸の奥がドクンと跳ねる。息が上がり、抗う声もどこか弱々しくなる。
「ほら、素直に……。」
攻田の指が髪をすくい、そっと首筋をなぞった。
小さく声が漏れる。
その瞬間、自分がもう限界近いことを思い知らされ、受佐美は必死に唇を噛んだ。
「先輩、可愛いですよ。もっと……俺に見せてください。」
ソファのクッションがきしむ音だけが、静かな部屋に響いていた。
重たい扉が閉まる音に、受佐美は思わず肩をすくめた。
「……な、なんで……。」
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「こっち、座ってください。」
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受佐美はソファの端に腰を下ろし、膝をぎゅっと抱え込んだ。
「本当に……バラされたら困るんだ。」
「どうしようかなぁ。」
攻田はすぐ隣に座り、腕をソファの背に回して包囲するような姿勢を取る。
逃げ場がなくなり、受佐美の心臓は速くなる一方だった。
「こういう時、何を差し出せばいいか……わかりますよね?」
低い声が耳元に触れ、受佐美はびくりと震えた。
「……金なら……いくらでも……。」
「そういうことじゃない。」
スルリと顎先を指で持ち上げられ、目が合う。
逃げたくても逃げられない。
いやらしい笑みでもないのに、全身が熱くなっていくのを感じた。
「……っ、頼む……。」
「あー、そんな顔するんだ?」
攻田がわずかに笑う。
「可愛いな、先輩。」
恥辱と怒りがないまぜになり、受佐美は必死に顔をそむける。
しかし、背中に触れる大きな手がじわりと力を込める。
「もう、フェロモン……だだ漏れですよ。」
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その声の余裕が、逆に恐ろしい。
体は熱を帯び、思考が鈍る。
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「……や、やめ……。」
言葉とは裏腹に、胸の奥がドクンと跳ねる。息が上がり、抗う声もどこか弱々しくなる。
「ほら、素直に……。」
攻田の指が髪をすくい、そっと首筋をなぞった。
小さく声が漏れる。
その瞬間、自分がもう限界近いことを思い知らされ、受佐美は必死に唇を噛んだ。
「先輩、可愛いですよ。もっと……俺に見せてください。」
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