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夏の残像
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しおりを挟む夏の陽射しが強く、民宿や飲食店が並ぶ通りには観光客の姿がちらほらと見えた。
園部海はゆっくりと歩きながら、時折誰かをじっと見つめ、または探すように周りを見渡した。
見慣れたはずの景色。それなのに、何か違和感を探し続けてしまう。
それが、彼の夏の日常だった。
実家の自室は、潮風が入り込み、ほんのりと熱を帯びていた。
机の上には開かれたままのパソコン。
その画面には、持ち出し禁止の警察資料。過去の事件のデータが映し出されている。
部屋の隅で腕を組みながら、それをじっと睨む男の姿。
園部修。海の父は、苦々しい表情を浮かべていた。
そして、扉が静かに開く。
海が戻ってきた。
その瞬間、修の目が細められる。
「親父……」
バツが悪そうに、海はパソコンの画面を閉じた。
気まずい沈黙。
修はふっと息を吐き、視線を逸らした。
「何をしてる。」
低い声が落ちる。
「……調べ物。」
海は曖昧に答えながら、椅子に腰を下ろした。
しかし、その言葉に修はわずかに眉をひそめる。
「お前はこの町の警察じゃないだろ。」
海は苦笑しながら、指先で机の端を軽くなぞる。
「でも、未解決だ。」
その言葉に、修の目が鋭くなった。
「これは、この地域を管轄する警察が動くべき案件だ。余計なことはするな。」
「親父もこの事件を担当したんだろ?過去の事件が未解決のままでいいのか?」
海は顔を上げ、父をまっすぐに見た。
「俺は、どうしても知りたいんだ。」
修はしばらく何も言わず、ただ海を見つめていた。
やがて、深いため息をつく。
「お前が何を考えているかは知らないが、出過ぎた真似はするな。」
その言葉の奥に、警告と親としての気遣いが含まれていた。
海は目を伏せる。
「分かってる。」
そして、パソコンの電源を落とし、静かに息を吐いた。
修はその様子を見つめながら、ふと口を開いた。
「それ、消しとけ。」
その言葉には、父としての甘さが滲んでいた。
海は一瞬だけ驚いたように顔を上げたが、すぐに小さく頷いた。
「……分かってるよ。」
修は何も言わず、ただ静かに部屋を出ていった。
残された海は、パソコンを見つめながら、胸の奥に小さな波紋を感じていた。
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