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Day.2
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しおりを挟む森の静けさが、夜の深まりとともに濃くなっていく。
開けた丘の上で、二人は肩を並べて立っていた。
空には無数の星が広がり、澄んだ夜気の中で静かに瞬いている。
微かに冷たい風が吹き、遠くでは川の流れる音がぼんやりと響いていた。
少年は息を呑みながら、空を見上げたまま口を開く。
「僕、こういう映画みたいな綺麗な星が見たかったんだ。」
青年はふっと息を吐きながら、隣で視線を夜空へと向ける。
「……映画みたいな星って、どんなの?」
少年は少し考えるようにして、言葉を探す。
「こういうのだよ。空いっぱいに広がってて……どこまでも続いてる感じ。」
青年は微かに口元を緩める。
少年は嬉しそうに笑い、肩をすくめた。
その時、夜空にひとすじの光が走る。
「あっ、流れた!」
少年は思わず指をさし、青年へ振り向く。
「ねぇねぇ、何をお願いした?」
青年は意表を突かれたように眉をひそめる。
「……お願い?」
「ほら、流れ星に3回お願いすると叶うっていうじゃん。」
青年は言葉を濁しながら、夜空へと視線を戻す。
「あ……そっか。忘れてた。」
少年はそれを聞いて、小さく息を吐き、肩をすくめる。
「もったいないなぁ。」
その瞬間、またひとすじの流れ星が夜空を横切る。
二人はそれをただ見つめた。
願いは、言葉にしなかった。
だけど、きっと心のどこかで、同じことを考えていた。
冷えた風が少し強くなり、葉がかすかに揺れる。
少年は薄いパーカーを引き寄せながら、小さなくしゃみをした。
「そろそろ戻る?」
青年が言うと、少年は名残惜しそうに空を仰いだ。
「うん……でも、今日はいい日だったね。」
青年はふっと息をつく。
「……そうだね。」
ゆっくりと細い道を歩く。夜の空気は澄んでいて、足元で草の感触が微かに伝わる。
車へ戻ると、窓ガラスに冷えた夜の空気が薄く曇っていた。
青年は静かにエンジンをかける。
少年は助手席に座りながら、窓越しにもう一度夜空を見上げる。
遠くの空には、またひとつ流れ星が輝いていた。
旅はまだ終わらない。
それでも、この夜の時間が何かを変えた。
そして、それは言葉にしなくてもわかることだった。
車は、静かな道へと再び走り出した。
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