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3章
70.「旅支度」
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準備して貰った支度金を受け取り、ついでに商店街の場所も教えて貰って、更に治療院を回る件をザシャさんに相談してからクライを肩車して意気揚々と出発する。
治療院に関しては突然訪ねて怪しまれへんようにゼーゲルさんが書状を届けた際に一緒に付き添ってくれるように手配してくれるそうで、一旦待機って事になった。
やから、予定通りに旅装を整えに向かったんやけど俺とクライより何故かリスムスさんがテンション上げ上げで、小規模ながら品揃えの良い服屋兼布屋な店に到着すると理由が瞬時に分かった。
「生き返るわ!布!服!布!服!先ずは布を見ましょう!既製品も一先ず買うとして、何着かは作らせて頂戴!」
両手をワキワキワキワキしながら荒ぶる鬼神が如く、肩車から下ろしたクライに年配の店の人に許可を得るや否や色んな材質と色の布を宛てがい出す。
「この子ったら元々の素材が良いから何でも似合いそうなのよね。ダイチなら絶対旅支度させると思ってたけど、行かないならちょっと貴方ごと誘拐して服屋に連行するぐらいには創作意欲を掻き立てられてたの!」
「ああ、だから詳しく言うてないのにスパスパ交渉してくれてたんですね。決定事項として!」
「そうなの!我ながら偉かったと思うわ!己の欲望万歳ね!」
うきうき、らんらん、るんるんるんのリスムスさんと若干、驚きながらも動いたらあかんと本能で理解してるっぽいクライとの微笑ましい生地選びを俺とフォルクとヴィーダーさんが遠巻きに眺めてると眼光が鋭いリスムスさんが此方をぐりんと振り向く。
「フォルクさんには少し遊ばせて貰ったけれど、三人共、いつでも良いからこの旅のご褒美として着せ替えに付き合って欲しいわぁ。全員、正装ってのも映えるでしょうし、着崩した感じも美味しそう、うふふふふふふ。」
「ちょ、リスムスさん…!?」
若干、どす黒いオーラーが見えるのは気のせいやろうか?
戸惑いながらフォルクとヴィーダーさんをチラ見すると遠い目をしてはる。
「大丈夫ダ、ダイチ。俺ガ防イデイル内ニ逃ゲロ。」
「何だったら再起不能にしてやるから、心配すんな。」
「皆、待って!仲間内で争うネタそろそろ止めよう!悲しみしか生まんで!?」
傍目から見ると和気藹々な雰囲気で、時々意見を求められながらクライの布選びは終わり、既製品の服も流れで購入した。
沢山買ってくれたからと快く着替えるスペースを借りられて、早速、今着てるワンピースタイプの服から着替えさせる。
子供用の簡易な下着を上下と白の半袖シャツに黒のズボン、ローブっぽい見た目のシンプルな灰色の上着を装着させたらはい完成!
「うん。ええんやないですか?」
「そうね。下着と服の予備も買ったし、後は革靴とアイテム袋系の鞄と【結界】系のアクセサリーも一応欲しいかしら。流石に武器は扱えないわよね?」
「そうですね、武器は流石に持ったこと無いでしょうし…、逆に持った事あったら謎が深まりますわ。」
「やる気があんなら別に教えてやるがな。多少の護身にはなるだろうよ。」
ヴィーダーさんが上着の中から物凄く自然かつ俊敏な動作で取り出した短剣の柄をクライに差し出すときょとんとしてから首をプルプル左右に振られてた。
「やっぱり、普通に考えたら無理やでな。後、凄い違和感無く武器出すの凄いですねヴィーダーさん。」
「褒めてんのか引いてんのかどっちかにしろ。…素質はありそうなんだがな、無理強いはしねぇ。」
「褒めてますよ。え、クライ素質あるんですか?」
「そうか。多分な。」
謎の並行会話をしながら短剣を素早く戻す姿も見て、クライに視線を戻したらモチモチのほっぺが可愛いなぁとしか思えん…!
しかも、じっと見つめてたらにこーっと嬉しそうにはにかむんで、むぎゅっと抱き締めてから抱え上げる。
「とりあえず、武器は置いといて買い物続けましょうか。」
「そうね、終わったら作業…と言いたい所だけど、迎えを待って治療院に行くのよね?今だったら騒ぎも落ち着いてそうだけど、念の為、全員で行きましょうか。」
「ありがとうございます。じゃあ、毎度になるけど皆も宜しくな。」
「アア、勿論ダ。」
「今更だな。」
何だかんだ徐々に打ち解けて来てるんやないかなと独り言ち、次の目的地の靴屋で子供サイズの靴をゲットしてからアイテムショップで目的の鞄も買えたんやが、【結界】系のアクセサリーが手に入らんかった。
「武器なら召喚できるんやけどな…、アイテムは盲点やった。」
「私も不覚だったわ。【結界】は護身用として人気だし、この非常時に品切れになるのは当たり前よね。」
「仕方ガナイ。幸イ、クライハダイチカラ余リ離レタガラナイシ、前衛ニ出ナケレバ然程問題ハ無イダロウ。」
「そうだな。正直、そいつに攻撃が届くような状況は全員危ない時だろうよ。」
最もな意見に頷きつつ、クライを可能な限り危険な目に合わせたくないと思うと闘志みたいなもんが湧き上がって来る。
「俺も、もっと強くならなあかんな…。」
心からそう思ったのは何時ぶりやろうか、思わず呟いた言葉にフォルクが力強く頷いてくれた。
治療院に関しては突然訪ねて怪しまれへんようにゼーゲルさんが書状を届けた際に一緒に付き添ってくれるように手配してくれるそうで、一旦待機って事になった。
やから、予定通りに旅装を整えに向かったんやけど俺とクライより何故かリスムスさんがテンション上げ上げで、小規模ながら品揃えの良い服屋兼布屋な店に到着すると理由が瞬時に分かった。
「生き返るわ!布!服!布!服!先ずは布を見ましょう!既製品も一先ず買うとして、何着かは作らせて頂戴!」
両手をワキワキワキワキしながら荒ぶる鬼神が如く、肩車から下ろしたクライに年配の店の人に許可を得るや否や色んな材質と色の布を宛てがい出す。
「この子ったら元々の素材が良いから何でも似合いそうなのよね。ダイチなら絶対旅支度させると思ってたけど、行かないならちょっと貴方ごと誘拐して服屋に連行するぐらいには創作意欲を掻き立てられてたの!」
「ああ、だから詳しく言うてないのにスパスパ交渉してくれてたんですね。決定事項として!」
「そうなの!我ながら偉かったと思うわ!己の欲望万歳ね!」
うきうき、らんらん、るんるんるんのリスムスさんと若干、驚きながらも動いたらあかんと本能で理解してるっぽいクライとの微笑ましい生地選びを俺とフォルクとヴィーダーさんが遠巻きに眺めてると眼光が鋭いリスムスさんが此方をぐりんと振り向く。
「フォルクさんには少し遊ばせて貰ったけれど、三人共、いつでも良いからこの旅のご褒美として着せ替えに付き合って欲しいわぁ。全員、正装ってのも映えるでしょうし、着崩した感じも美味しそう、うふふふふふふ。」
「ちょ、リスムスさん…!?」
若干、どす黒いオーラーが見えるのは気のせいやろうか?
戸惑いながらフォルクとヴィーダーさんをチラ見すると遠い目をしてはる。
「大丈夫ダ、ダイチ。俺ガ防イデイル内ニ逃ゲロ。」
「何だったら再起不能にしてやるから、心配すんな。」
「皆、待って!仲間内で争うネタそろそろ止めよう!悲しみしか生まんで!?」
傍目から見ると和気藹々な雰囲気で、時々意見を求められながらクライの布選びは終わり、既製品の服も流れで購入した。
沢山買ってくれたからと快く着替えるスペースを借りられて、早速、今着てるワンピースタイプの服から着替えさせる。
子供用の簡易な下着を上下と白の半袖シャツに黒のズボン、ローブっぽい見た目のシンプルな灰色の上着を装着させたらはい完成!
「うん。ええんやないですか?」
「そうね。下着と服の予備も買ったし、後は革靴とアイテム袋系の鞄と【結界】系のアクセサリーも一応欲しいかしら。流石に武器は扱えないわよね?」
「そうですね、武器は流石に持ったこと無いでしょうし…、逆に持った事あったら謎が深まりますわ。」
「やる気があんなら別に教えてやるがな。多少の護身にはなるだろうよ。」
ヴィーダーさんが上着の中から物凄く自然かつ俊敏な動作で取り出した短剣の柄をクライに差し出すときょとんとしてから首をプルプル左右に振られてた。
「やっぱり、普通に考えたら無理やでな。後、凄い違和感無く武器出すの凄いですねヴィーダーさん。」
「褒めてんのか引いてんのかどっちかにしろ。…素質はありそうなんだがな、無理強いはしねぇ。」
「褒めてますよ。え、クライ素質あるんですか?」
「そうか。多分な。」
謎の並行会話をしながら短剣を素早く戻す姿も見て、クライに視線を戻したらモチモチのほっぺが可愛いなぁとしか思えん…!
しかも、じっと見つめてたらにこーっと嬉しそうにはにかむんで、むぎゅっと抱き締めてから抱え上げる。
「とりあえず、武器は置いといて買い物続けましょうか。」
「そうね、終わったら作業…と言いたい所だけど、迎えを待って治療院に行くのよね?今だったら騒ぎも落ち着いてそうだけど、念の為、全員で行きましょうか。」
「ありがとうございます。じゃあ、毎度になるけど皆も宜しくな。」
「アア、勿論ダ。」
「今更だな。」
何だかんだ徐々に打ち解けて来てるんやないかなと独り言ち、次の目的地の靴屋で子供サイズの靴をゲットしてからアイテムショップで目的の鞄も買えたんやが、【結界】系のアクセサリーが手に入らんかった。
「武器なら召喚できるんやけどな…、アイテムは盲点やった。」
「私も不覚だったわ。【結界】は護身用として人気だし、この非常時に品切れになるのは当たり前よね。」
「仕方ガナイ。幸イ、クライハダイチカラ余リ離レタガラナイシ、前衛ニ出ナケレバ然程問題ハ無イダロウ。」
「そうだな。正直、そいつに攻撃が届くような状況は全員危ない時だろうよ。」
最もな意見に頷きつつ、クライを可能な限り危険な目に合わせたくないと思うと闘志みたいなもんが湧き上がって来る。
「俺も、もっと強くならなあかんな…。」
心からそう思ったのは何時ぶりやろうか、思わず呟いた言葉にフォルクが力強く頷いてくれた。
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