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3章
71.「鍛練」
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買い物を終えて孤児院に戻ってからクライの肩掛けアイテム鞄に脱がせたワンピースタイプの服、食料と水筒、小袋に入れたお金、着替え、タオル用の布を入れた。
一応、一つずつ簡単な説明して入れてたらふんふんと横で頷いてくれ、手渡したら大事そうに受け取ってそっからずっと手放さん程度には気に入ってくれたみたいや。
なんかもう、他にも理由つけて貢ぎたいなと真顔で考えながら抱っこをせがんで来るクライを抱き上げ、時間になるまで散歩でもしようかと建物から出て直ぐの庭でフォルクとヴィーダーさんがナチュラルに戦ってた。
「いや!何してんの!?大丈夫!?喧嘩!?遂に解散の危機!?」
「鍛錬ダ!」
「武器持ったら戦いたくなってな!付き合わせてる!」
物凄い速度でフォルクは火の魔法剣で斬り掛かり、ヴィーダーさんはミセリコルデで器用に受けて隙あらば突き込む感じで攻撃し返してる。
互いに怪我も無いみたいやし、二人共猛者なんでいっそ綺麗な稽古に見惚れてたら俺の背後から何かが複数飛んで行った。
キィン!キィン!て、刃物同士がぶつかり合う音と共に物体Xが空中に跳ね上げられて地面に次々と刺さったんで見たら…投げナイフやった。
「やっぱり強いのねぇ。」
振り返ると飄々としながらも感心した雰囲気のリスムスさんが立ってて、何し出かすんやと口をあんぐりさせたら困ったように笑われる。
「大丈夫、毒は塗ってないから。」
「いや、そこちゃいますよ!?」
「え?じゃあ、数が足りなかったかしら?倍ぐらいは最低必要よね。」
「ガチなんかボケなんか分からへーん!危ないでしょって話しですー!」
若干、激しめに主張したら笑い出したんでからかわれてたみたいやった。
フォルクとヴィーダーさんに幸い怪我は無いし、力量を計った上でやってるみたいやけど戦闘の事は良く分からん。
それもそれで、あかんなぁと考え込んでたらリスムスさんが投げナイフを回収してから俺に尋ねて来た。
「ダイチさんも鍛練する?強くなりたいなら練習すれば良いと思うし。」
「なるほど!それは、そうですよね!」
「でしょ?因みに武器は扱えるのかしら?」
「一応、槍とハリセン…打撃武器ですね、持ってるんですけど威力が強すぎて練習には向かんと思いますし、あんまり扱いに慣れてないです。でも、槍覚えたいです。」
「威力が気になる所だけど…場所も場所だし、出来るだけ普通の槍を準備して、フォルクさんとヴィーダーさんどちらが頑丈かしら?」
「俺ダ。呪イノ影響デ、死ナナイ。」
「あらじゃあ、うってつけね。ヴィーダーさんは私と戦り合いましょう。フォルクさん、ダイチさんをお願いするわ。」
「分カッタ。」
断る間も無くトントン拍子に話が決まり、心無しかフォルクが嬉しそうに尻尾を揺らしてるし、俺も練習したいしで結局対戦形式の鍛練をする流れになった。
クライは危ないから離れた場所に椅子を借りてきて座らせたら不安な顔されたんやけど、何回も大丈夫やし、危なかったら止めるって言い聞かせてたら多少嫌がりつつも納得してくれる。
落ち着いた所で【武器召喚】を使って、ごく普通の槍を取り出した後に待たせたフォルクに一言謝って鍛練を開始した。
いきなり戦うんじゃなくて、槍の持ち方、更に本来は左前で構えるらしいねんけど、フォルクが長剣なんで中段右前で構えるように指示を受け、槍は止めを刺す時に突くもんやから基本は叩けと教わってから本格的に始まった。
「お願いします!」
「アア、何処カラデモ来イ!」
返事があるなり軽く踏み出してフォルクの肩を狙って打ち込むと、それはもうあっさりと剣で受け止められる。
直ぐ様、次の攻撃を仕掛けるとまた受け止められ、流されと流石の実力を見せられながら何度か攻撃を繰り返してるとなんか一瞬フォルクが笑ったと思うなり姿がぶれて、気がついたら目の前に剣を構えておった。
「うわ!?」
「危ナイ!」
咄嗟に防御出来ず、反射で後ろに下がろうとしてすっ転びそうになったら腕を掴んで引き止めてくれる。
マジ感謝!て、思ってたら申し訳なさそうな顔された。
「スマナイ、槍ノ弱点ヲ教エヨウトシタンダガ…。」
「いや、ありがとう!接近されたら弱いって事やでな?身を持って体験できたわ。」
「アア…、ソウダ。近ヅカセナイノガ一番ダガ、下ガッテ距離ヲ取ルモ良シ、蹴リヲ入レルモ良シ、何カシラノ対策ハ考エタ方ガ良イ…イッソ。」
「いっそ?」
「ダイチガ恐ク無イナラバ短槍ニシテ、ヴィーダーノ使ッテイル魔法ノヨウナ、連続デ撃チ出セル魔道具ト合ワセタ武器ノ方ガ良イトハ思ウ…。」
考え考え説明してくれる内容を映像にして組み合わせると思い当たるもんがある。
つまり、銃槍か!確かにそれやったら強そうやなと思い至り、流石フォルクやなと感心して見つめたら眉間二皺ガ寄ッテタ。
「自分デ言ッテオイテ何ダガ…嫌ダ。ダイチニハ…」
「フォルク?」
落ち着かない様子で視線が揺れ、掴まれてた腕に力が入り、ついでに尻尾が足元から這うように絡まって来る。
無意識の動作なんやろうけど、待って!なんかゾワゾワとするし、雰囲気が宜しくないよって思ってたら横からフォルクに向けて投げナイフが飛んで来て、それで我に返ったんか寸前で避けて腕も離してくれた。
「そこの二人~。真面目にやらないと夜這いに行くわよ!」
「遠慮します!」
「悪カッタ。」
「即答!?ちょっと、それはそれで傷つくわ!ヴィーダーさんはどう?抱かれない?」
「殺すぞ。」
リスムスさんが場を和ませてくれたんやがプチ切れしたらしいヴィーダーさんにその後、猛攻撃を開始されて若干可哀想やった。
後で労うかと考えてたら、いつもの落ち着いた雰囲気でフォルクが話し掛けて来る。
「スマナカッタ、ダイチ。鍛練ヲ再開シヨウ。」
「気にせんといて。ほな、行くで!」
心に引っ掛かりが無い訳では無いけど、蒸し返すのも違う気がしてゼーゲルさんが来るまで気を取り直して、鍛練に励んでた。
一応、一つずつ簡単な説明して入れてたらふんふんと横で頷いてくれ、手渡したら大事そうに受け取ってそっからずっと手放さん程度には気に入ってくれたみたいや。
なんかもう、他にも理由つけて貢ぎたいなと真顔で考えながら抱っこをせがんで来るクライを抱き上げ、時間になるまで散歩でもしようかと建物から出て直ぐの庭でフォルクとヴィーダーさんがナチュラルに戦ってた。
「いや!何してんの!?大丈夫!?喧嘩!?遂に解散の危機!?」
「鍛錬ダ!」
「武器持ったら戦いたくなってな!付き合わせてる!」
物凄い速度でフォルクは火の魔法剣で斬り掛かり、ヴィーダーさんはミセリコルデで器用に受けて隙あらば突き込む感じで攻撃し返してる。
互いに怪我も無いみたいやし、二人共猛者なんでいっそ綺麗な稽古に見惚れてたら俺の背後から何かが複数飛んで行った。
キィン!キィン!て、刃物同士がぶつかり合う音と共に物体Xが空中に跳ね上げられて地面に次々と刺さったんで見たら…投げナイフやった。
「やっぱり強いのねぇ。」
振り返ると飄々としながらも感心した雰囲気のリスムスさんが立ってて、何し出かすんやと口をあんぐりさせたら困ったように笑われる。
「大丈夫、毒は塗ってないから。」
「いや、そこちゃいますよ!?」
「え?じゃあ、数が足りなかったかしら?倍ぐらいは最低必要よね。」
「ガチなんかボケなんか分からへーん!危ないでしょって話しですー!」
若干、激しめに主張したら笑い出したんでからかわれてたみたいやった。
フォルクとヴィーダーさんに幸い怪我は無いし、力量を計った上でやってるみたいやけど戦闘の事は良く分からん。
それもそれで、あかんなぁと考え込んでたらリスムスさんが投げナイフを回収してから俺に尋ねて来た。
「ダイチさんも鍛練する?強くなりたいなら練習すれば良いと思うし。」
「なるほど!それは、そうですよね!」
「でしょ?因みに武器は扱えるのかしら?」
「一応、槍とハリセン…打撃武器ですね、持ってるんですけど威力が強すぎて練習には向かんと思いますし、あんまり扱いに慣れてないです。でも、槍覚えたいです。」
「威力が気になる所だけど…場所も場所だし、出来るだけ普通の槍を準備して、フォルクさんとヴィーダーさんどちらが頑丈かしら?」
「俺ダ。呪イノ影響デ、死ナナイ。」
「あらじゃあ、うってつけね。ヴィーダーさんは私と戦り合いましょう。フォルクさん、ダイチさんをお願いするわ。」
「分カッタ。」
断る間も無くトントン拍子に話が決まり、心無しかフォルクが嬉しそうに尻尾を揺らしてるし、俺も練習したいしで結局対戦形式の鍛練をする流れになった。
クライは危ないから離れた場所に椅子を借りてきて座らせたら不安な顔されたんやけど、何回も大丈夫やし、危なかったら止めるって言い聞かせてたら多少嫌がりつつも納得してくれる。
落ち着いた所で【武器召喚】を使って、ごく普通の槍を取り出した後に待たせたフォルクに一言謝って鍛練を開始した。
いきなり戦うんじゃなくて、槍の持ち方、更に本来は左前で構えるらしいねんけど、フォルクが長剣なんで中段右前で構えるように指示を受け、槍は止めを刺す時に突くもんやから基本は叩けと教わってから本格的に始まった。
「お願いします!」
「アア、何処カラデモ来イ!」
返事があるなり軽く踏み出してフォルクの肩を狙って打ち込むと、それはもうあっさりと剣で受け止められる。
直ぐ様、次の攻撃を仕掛けるとまた受け止められ、流されと流石の実力を見せられながら何度か攻撃を繰り返してるとなんか一瞬フォルクが笑ったと思うなり姿がぶれて、気がついたら目の前に剣を構えておった。
「うわ!?」
「危ナイ!」
咄嗟に防御出来ず、反射で後ろに下がろうとしてすっ転びそうになったら腕を掴んで引き止めてくれる。
マジ感謝!て、思ってたら申し訳なさそうな顔された。
「スマナイ、槍ノ弱点ヲ教エヨウトシタンダガ…。」
「いや、ありがとう!接近されたら弱いって事やでな?身を持って体験できたわ。」
「アア…、ソウダ。近ヅカセナイノガ一番ダガ、下ガッテ距離ヲ取ルモ良シ、蹴リヲ入レルモ良シ、何カシラノ対策ハ考エタ方ガ良イ…イッソ。」
「いっそ?」
「ダイチガ恐ク無イナラバ短槍ニシテ、ヴィーダーノ使ッテイル魔法ノヨウナ、連続デ撃チ出セル魔道具ト合ワセタ武器ノ方ガ良イトハ思ウ…。」
考え考え説明してくれる内容を映像にして組み合わせると思い当たるもんがある。
つまり、銃槍か!確かにそれやったら強そうやなと思い至り、流石フォルクやなと感心して見つめたら眉間二皺ガ寄ッテタ。
「自分デ言ッテオイテ何ダガ…嫌ダ。ダイチニハ…」
「フォルク?」
落ち着かない様子で視線が揺れ、掴まれてた腕に力が入り、ついでに尻尾が足元から這うように絡まって来る。
無意識の動作なんやろうけど、待って!なんかゾワゾワとするし、雰囲気が宜しくないよって思ってたら横からフォルクに向けて投げナイフが飛んで来て、それで我に返ったんか寸前で避けて腕も離してくれた。
「そこの二人~。真面目にやらないと夜這いに行くわよ!」
「遠慮します!」
「悪カッタ。」
「即答!?ちょっと、それはそれで傷つくわ!ヴィーダーさんはどう?抱かれない?」
「殺すぞ。」
リスムスさんが場を和ませてくれたんやがプチ切れしたらしいヴィーダーさんにその後、猛攻撃を開始されて若干可哀想やった。
後で労うかと考えてたら、いつもの落ち着いた雰囲気でフォルクが話し掛けて来る。
「スマナカッタ、ダイチ。鍛練ヲ再開シヨウ。」
「気にせんといて。ほな、行くで!」
心に引っ掛かりが無い訳では無いけど、蒸し返すのも違う気がしてゼーゲルさんが来るまで気を取り直して、鍛練に励んでた。
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