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いっしょう!
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「まあ予想は付いたけれど、国王や王妃が目をつぶっているのをいいことに、この離宮では窃盗が横行していたのね。ケリー様がご存命だった時には、まだマシだったようだけど」
闇の使徒が持ち帰った報告書を読み、アリーはため息をついてこめかみを揉み解した。
「国王アガイルはただの馬鹿、王妃ベルフィアの悋気に怯えているだけにしても。王妃の方には、積極的な殺意を感じるわ……」
窃盗だけならまだしも、この離宮に配分されているはずの予算が、すべて使途不明になっている。これはケリーが生きているときからだったようで、母子はこの古びた離宮でぎりぎりの生活を送っていたようだ。
「ここで真面目な働きをすると、王妃に目を付けられるということね。仕事をさぼり、盗みを働いたほうが褒められるって、なんだそりゃ」
スティラは一応は第5王女ということもあって、冷遇はしていても処刑するということは難しかったのだろう。
栄養不足による衰弱ならば、単なる病死ということで簡単に片が付く。
「ケリー様はご病気であっという間に儚くなったそうだけれど、それもちょっと怪しいわね。ずっと具合が悪くても、侍医にもかからせて貰えなかったに違いないわ」
アリーは報告書をテーブルに置き、深い息を吐いた。
「この離宮から金目のものがほとんど消えて、旨味が無くなったと判断したクソ使用人たちは、ことが発覚する前に仕事場を移ったのね。まあいくらクソでも、目の前で王女様が亡くなるのを見るのは忍びないだろうし。でも一部のクソは、食料や日用品をくすねにやってくると」
クソクソ言いすぎて、本当に自分がかつて公爵令嬢だったのか自信が持てなくなってくるが、クソなものはクソだから仕方がない。
「そこでわたしが雇われた……スティラ様の最後を押し付けるために」
アリーは口元に手をやった。ど田舎の男爵令嬢だと思って、随分舐めた真似をしてくれる。
「今の王宮治安判事は誰だったかしら。うん、そうね。聖女ミアが我が物顔で王宮を闊歩していた時は、国王派のシーリアン伯爵だったわ。でも今はまだ、王弟ラドフェン公爵派のガッシム伯爵……」
アリーはにやりと笑った。
国王アガイルと、その弟ラドフェン公爵は大変仲が悪いのだ。それぞれの母である正妃と側妃の仲が犬猿よりもなお悪かったせいもあるが、弟ラドフェン公爵の方がすべてにおいてちょっとだけ優秀だから。
「聖女ミアは降臨していないから、ラドフェン公爵はまだ正気なはずね。王宮治安判事のガッシム伯爵にこの情報を流せば、食らいつく可能性はある」
アリーの名前を出さないで、告発する方法はいくらでもある。逃げた使用人が良心の呵責に耐えかねて──という設定にするのが、一番面倒がないだろう。
アリーは闇の使徒が持ってきた報告書を書き写した。出所がアリーだとバレないように、魔法の痕跡は消しておかねばならない。
そして窓を開き、ぴいっと口笛を吹いた。
暗闇の中から、わらわらと動物たちが湧いてくる。うさぎに犬、狼に蛇とバリエーション豊富だ。
<うわー、すごい。知識だけはあった「口寄せ」魔法、やってみたら出来ちゃった>
自分のチートすぎる魔力に感動しながら、アリーは「わたしのお使いをやってみたい子、こちらへどうぞ!」と小声で叫んだ。
『ご主人、それは私の役目だ』
やけにカッコいい声が聞こえて、一羽の鷹がすうーっと降りてきた。
「うわ、ものすごく素敵ねあなた。じゃあお願いするわ。この手紙をガッシム伯爵の屋敷に投げ込んできて。できたら、伯爵本人の手に直接渡るようにしてほしいんだけど」
『お安い御用だ、ご主人』
鷹はアリーの手にある手紙を口で受け取り、意気揚々と空へと羽ばたいていった。
闇の使徒が持ち帰った報告書を読み、アリーはため息をついてこめかみを揉み解した。
「国王アガイルはただの馬鹿、王妃ベルフィアの悋気に怯えているだけにしても。王妃の方には、積極的な殺意を感じるわ……」
窃盗だけならまだしも、この離宮に配分されているはずの予算が、すべて使途不明になっている。これはケリーが生きているときからだったようで、母子はこの古びた離宮でぎりぎりの生活を送っていたようだ。
「ここで真面目な働きをすると、王妃に目を付けられるということね。仕事をさぼり、盗みを働いたほうが褒められるって、なんだそりゃ」
スティラは一応は第5王女ということもあって、冷遇はしていても処刑するということは難しかったのだろう。
栄養不足による衰弱ならば、単なる病死ということで簡単に片が付く。
「ケリー様はご病気であっという間に儚くなったそうだけれど、それもちょっと怪しいわね。ずっと具合が悪くても、侍医にもかからせて貰えなかったに違いないわ」
アリーは報告書をテーブルに置き、深い息を吐いた。
「この離宮から金目のものがほとんど消えて、旨味が無くなったと判断したクソ使用人たちは、ことが発覚する前に仕事場を移ったのね。まあいくらクソでも、目の前で王女様が亡くなるのを見るのは忍びないだろうし。でも一部のクソは、食料や日用品をくすねにやってくると」
クソクソ言いすぎて、本当に自分がかつて公爵令嬢だったのか自信が持てなくなってくるが、クソなものはクソだから仕方がない。
「そこでわたしが雇われた……スティラ様の最後を押し付けるために」
アリーは口元に手をやった。ど田舎の男爵令嬢だと思って、随分舐めた真似をしてくれる。
「今の王宮治安判事は誰だったかしら。うん、そうね。聖女ミアが我が物顔で王宮を闊歩していた時は、国王派のシーリアン伯爵だったわ。でも今はまだ、王弟ラドフェン公爵派のガッシム伯爵……」
アリーはにやりと笑った。
国王アガイルと、その弟ラドフェン公爵は大変仲が悪いのだ。それぞれの母である正妃と側妃の仲が犬猿よりもなお悪かったせいもあるが、弟ラドフェン公爵の方がすべてにおいてちょっとだけ優秀だから。
「聖女ミアは降臨していないから、ラドフェン公爵はまだ正気なはずね。王宮治安判事のガッシム伯爵にこの情報を流せば、食らいつく可能性はある」
アリーの名前を出さないで、告発する方法はいくらでもある。逃げた使用人が良心の呵責に耐えかねて──という設定にするのが、一番面倒がないだろう。
アリーは闇の使徒が持ってきた報告書を書き写した。出所がアリーだとバレないように、魔法の痕跡は消しておかねばならない。
そして窓を開き、ぴいっと口笛を吹いた。
暗闇の中から、わらわらと動物たちが湧いてくる。うさぎに犬、狼に蛇とバリエーション豊富だ。
<うわー、すごい。知識だけはあった「口寄せ」魔法、やってみたら出来ちゃった>
自分のチートすぎる魔力に感動しながら、アリーは「わたしのお使いをやってみたい子、こちらへどうぞ!」と小声で叫んだ。
『ご主人、それは私の役目だ』
やけにカッコいい声が聞こえて、一羽の鷹がすうーっと降りてきた。
「うわ、ものすごく素敵ねあなた。じゃあお願いするわ。この手紙をガッシム伯爵の屋敷に投げ込んできて。できたら、伯爵本人の手に直接渡るようにしてほしいんだけど」
『お安い御用だ、ご主人』
鷹はアリーの手にある手紙を口で受け取り、意気揚々と空へと羽ばたいていった。
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